アメリカでは、この秋の大統領選に向けての民主党、共和党の代表候補者選びが、始まっている。
共和党では、泡沫候補と思われていたトランプ氏が(思わぬ)善戦をしている。
過激な発言が人気を呼んでいるようだが、政治家としては疑問符が付く気がしてならない。
少なくとも、世界で一番影響力のある立場であるアメリカ大統領が、「過激発言だけで人気」になっている人物でよいのか?という、米国民の良識を信じたい気持ちもある。
ただ、早々にブッシュ氏が候補者辞退をした、というのは良かったかもしれない。
そして民主党(もちろん、米国の民主党だが)の候補者は、2人に絞られたといっても過言ではないだろう。
一人は、初の女性大統領の期待がかかるヒラリー・クリントン氏。
もう一人は、最高齢候補者と言われるサンダース氏だ。
ヒラリー氏の場合、ご主人のクリントン氏の側で「大統領」という仕事を見てきているので、その責任の重さなども十分承知をしているだろう。
一方サンダース氏だが、高齢であるにも関わらず(と言っては、失礼だが)、支持者は若年層に多いと言われている。
その理由の一つが、大学などの授業料の無償化を政策の一つとして挙げている点がある。
「大学の授業料無償化」というのは、サンダース氏の政策の一つなのだが、本丸ともいえる政策は「1%の富裕層に、もっと社会的責任(=高い累進課税による納税)を負ってもらい、経済格差を小さくする」という点だ。
この「1%の富裕層」という言葉で思い出されるのが、数年前にあった「私たちは99%」を合言葉としておきた「ウォール街占拠」だろう。
このときも活動の中心は、学生ローンで苦しむ学生たちであった。
だからこそ、サンダース氏の「大学の授業無償化」というのは、若年層から高い支持を得ているのだ。
今朝の朝日新聞に、トマ・ピケティ氏のコラムが掲載されていたのだが、サンダース氏のような政治家の登場というのは、「政治の変革期なのでは」という指摘をされていた。
朝日新聞:(ピケティコラム@ルモンド)米大統領 サンダース氏は新時代を開くか(デジタル会員のみの購読ページ)
というのも、ピケティ氏だけではなくコトラー氏も指摘をしているのだが、現在の米国の税体系は富裕層有利になっている、と言われている。
このような状況をつくりだしたのは、中曽根さんと仲の良かったレーガン大統領の時に始まり、パパ・ブッシュ氏の時により広がり、民主党時代にやや改善されたもののブッシュ氏(こちらは息子の時)に再び広がり、この結果、米国の税収は大きく減り、社会的経済格差が広がったと、ピケティ氏もコトラー氏も指摘をしているのだ。
(中曽根氏以降の自民党も少なからず、この「レーガノミクス」をお手本にしているのでは?と、感じる部分がある。)
とすれば、サンダース氏の登場はピケティ氏が指摘するように、政治の大きな変革期だとも思える。
そして残念ながら、日本の民主党にはサンダース氏のような変革者が、登場していないように感じる。
同じ「民主党」という名前ながら、この違いには残念さを感じざる得ない。
来月あたりには党名変更があるようだが、党名変更よりも今の民主党に必要なのはサンダース氏のような「変革者」なのでは?という、気がする。