日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ライセンス契約とブランド

2016-02-12 20:06:06 | マーケティング

今日のYahoo!のトピックスに「ヤマザキナビスコの社名変更」という、記事がUpされていた。

ヤマザキナビスコニュースリリース:ライセンス契約終了に伴う商号変更等のお知らせ

一昨年(だったと思う)、衣料品メーカーの三陽と英国バーバリー社とのライセンス契約が終了し、バーバリー社は日本法人を立ち上げ、三陽はバーバリー社の代わりに同じ英国の衣料品ブランド・マッキントッシュ(appleのPCのコトではない)との契約を発表している。
最近では、うがい薬の「イソジン」が明治からムンディファーマ社へ、製造販売が移管された(販売に関しては塩野義製薬が行うようだ)。

株式会社明治 プレスリリース:50年以上にわたる普及実績と知見により「明治うがい薬」新発売
ムンディファーマ:「イソジン®」ブランド製品販売提携のお知らせ

現在でも「イソジン」と検索をすると、株式会社明治の「イソジン公式サイト」が表示されるのだが、ライセンス契約終了し、新ブランド名で商品が発売される4月1日からは、「イソジン」から「明治のうがい薬」のサイトとなるのだろう。

このように、長い間日本の企業が育ててきたブランドが、ライセンス契約終了とともに商品の取り扱いが無くなったり、「イソジン」の場合のように親しまれてきたキャラクターが、新しい商品へと引き継がれるというケースがある。
「イソジン」の場合、商品名はもちろんだがキャラクターの「カバくん」に対しての認知度が高く、「うがい薬」と言えば「イソジン」。「イソジン」と言えば「カバくん」という、連想ができるほど親しまれてきたブランドであり、キャラクターであった。
それが「イソジン≠カバくん」となってしまうと、買い手側は混乱してしまう可能性がある。
ヤマザキナビスコにしても、左上にある「赤い三角マーク」のパッケージを見るだけで、「オレオ」だとか「リッツ」=ナビスコの商品だとわかるほど、親しみがあるマークとなっているはずだ。
それほど、定着したブランドやキャラクターの影響は大きい。

ライセンス契約というのは、契約期間中に「ブランドを育てていく」ということが、ビジネスの中心となる部分がある。
もちろん、すでに有名なブランドのライセンス契約の場合は、ライセンス契約により自社のイメージアップを図ったり、認知度を上げるということになるのだが、上述した3社に関しては「ブランドを育て、市場を創ってきた」という部分のほうが大きい。
その意味では、ライセンス契約を終了するということは、企業としてのダメージが大きい。
ただし明治の場合は、キャラクターである「カバくん」を引き続き使うことができるので、逆に販売を担当する塩野義製薬のほうが、一新したブランドイメージを創るのが厳しいと思われる。
ヤマザキナビスコの場合、Jリーグの「ヤマザキナビスコ杯」というスポーツイベントにも影響を与えそうだ。

ライセンス契約というのは、ブランドそのものだけではなくキャラクターなど、日ごろ生活者が目にしたり、耳にしたりする部分での影響が大きくかかわってくる。
だからこそ「ブランド」や「キャラクター(商品マスコット)」などは、「(数字では)見えない資産」と言われるのだ。