日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

マーケティングとイノベーション

2016-02-11 18:40:19 | ビジネス

ネット上の様々なコラムなどを読んでいると、意外なところで「マーケティング」という言葉を目にすることがある。そしてそれらの多くは、マーケティングの本質ともいえる内容を伝えていることが多い。
偶然見かけた「THE PAGE」で見かけたコラムもまた、とても興味深くわかりやすくマーケティングを説明しているように感じた。

THE PAGE:なぜ新iPhoneにワクワクしなかったのか?小泉進次郎氏の発言から考える

ご存じのとおり、小泉進次郎氏は自民党の中でもやや変わった存在感を持っている議員さんだ。
「親の七光り」で当選を果たしたかもしれないが、父親である小泉純一郎氏とは違う発言を自分の言葉でする若手議員として、注目をされている。
今週、イクメン気取りで「育児休暇」を訴えながら、不倫をしていたと週刊誌にゴシップを書かれた某氏とは、随分違う、という印象がある。

その小泉進次郎氏が、東日本大震災の復興に携わる立場の中で「マーケティング」という言葉を、何度も聞き実際いくつかの被災地は「マーケティング思考」によって、復興を始めているという内容だ。
記事は、その後新しいiPhoneがなぜワクワクしなかったのか?(=生活者の興味を引くコトができなかったのか?)ということについて、書かれている。

記事全体を読んでいくと「マーケティングにとって重要なことは、イノベーションを起こすことである」ということが、なんとなくわかってくると思う。
しかし「イノベーション=変革・革新」を起こす、ということはとても難しい。
なぜなら、現在の私たちの暮らしは、すでに数多くの商品やサービスがあふれているからだ。
「数多くの中から、選び出す」というワクワク感は確かにあるが、そのような「ワクワク感」は持続する感覚のものではない。

何より「ワクワク感」が、イノベーションを起こすわけではない。
また、イノベーションというと真っ先に思い浮かべる「これまでに全くなかったモノ・コトを創る」という意味でもない、ということがわかる。
生活者にとって「問題を解決するモノ・コト」が、マーケティングであり、イノベーションを生むということなのだ。
言い換えれば「暮らしを楽しくする」という視点で、社会の問題点を見つけることで、イノベーションが生まれるということかもしれない。
そしてそのような視点は、ビジネスパーソンだけではなく、小泉進次郎氏のような政治にかかわる人や行政に携わる人達にも必要なコトなのだと思う。


スマートウォッチは、時計?それとも・・・。

2016-02-10 18:47:22 | ビジネス

何を今更!と、言われそうなタイトルだ。

先日、auが子ども向けの「通話ができる時計」について、エントリをした。
auニュースリリース:身につけるから、忘れない!国内初!通話もできるキッズウォッチ「mamorino Watch(マモリーノ ウォッチ)」登場

この子供向けの通話ができる時計なども、「スマートウォッチ」の一つだと思う。
ただ、昨年appleが満を持して発表した?「applewatch」など、いわゆる「スマートウォッチ」の話を、その後聞かないような気がしている。
実際使っていらっしゃる方は、案外多いのかもしれないのだが、少なくとも私の周囲にはスマートウォッチを使っている人を見かけることがない、という状況だ。

とはいえ、まだまだ生まれたばかりの市場ということを考えると、これから先利用する人は増えてくる可能性はある。
そのような期待があるのだろう。
先日FM番組を聞いていたら、時計メーカーが相次いで「スマートウォッチ」を発表している、という話があった。
その中でも、タグ・ホイヤーやカシオなどに注目が集まっているという。

タグ・ホイヤーにしてもカシオにしても、得意とする時計は「アウトドア向け」の時計だ。
セイコーやシチズンなどが得意とするような「ドレスウォッチ」と呼ばれるような、エレガンスなデザインではない。
衝撃などに強く、生活防水以上の防水機能を持ち、機種によっては方位磁石のような機能やストップウォッチなどスポーツの場面でも使えるような機能を持っているタイプがある。
もちろん、文字盤そのものも読みやすいようなデザイン。バックライトで、暗がりでも見やすいようになっている。
そのような機能をすでに持っている時計を得意としているタグ・ホイヤーやカシオが、スマートウォッチの市場に参入するのは、意外なことではないかもしれない。

というのも、アウトドア機能が充実している時計ほど、緊急の連絡などを要する場面に遭遇する人が使っているからだ。
もちろん、街中でおしゃれ感覚で使っていらっしゃる方も多いとは思うのだが、「時計」というモノづくりの発想が、ドレスウォッチと呼ばれる時計を得意とするメーカーとは、発想が違うからだ。

ドレスウォッチなどを得意とするメーカーが、「スマートウォッチ」の市場へ参入する可能性は高い。
この場合、今までの時計デザインと違和感なく使える、ということを重視し様々な余分なモバイル機能をそぎ落とした物になるのかもしれない。
元々appleなどとは発想が違うと思うし、違っているほうが当たり前だと思う。
今の「スマートウォッチ」は、ガジェットという感覚でとらえられているが、時計メーカーが参入積極的に参入してくるとことで「ガジェット⇒時計」へと、ユーザー感覚が変わっていくかもしれない。
そのような状況になって初めて「スマートウォッチ」という、市場が拡大する時のような気がする。


今年も「爆買い」は、続くのか?

2016-02-08 17:07:55 | ビジネス

今日あたりから、春節のお休みで日本を訪れる中国人観光客が、増え始めるそうだ。
今朝のFMを聞いていたら、上海からの直行便がある静岡空港などは「歓迎」の幟でお出迎え、空港に近い浜松のホテルなどは80%の宿泊予約という状況らしい。
東京近辺での宿泊ができない場合は、浜松のような首都圏へのアクセスも比較的便利で、途中、富士山の絶景がみられることもあって、宿泊地として人気になっているのかもしれない。

昨年の流行語大賞にも選ばれた「爆買い」は、ご存じのとおり春節の休暇で日本を訪れた中国人観光客が、様々な日本製品を買いあさる(というと失礼かもしれないが)ことから、生まれた言葉だ。
しかし、その「爆買い」も今年は違ってくるのでは?という記事が、先日Yahoo!のトピックスで取り上げられていた。

ニューズウィーク:銀座定点観測7年目、ミスマッチが目立つ今年の「爆買い」商戦

拙ブログでも昨年暮れに清水寺で見た「中国人観光客の姿」をエントリしたのだが、「買い物」だけでは満足できなくなってきているのでは?という、気がしている。
そしてどうやらその傾向は、日本を訪れる中国人観光客ばかりではないようだ。
朝日新聞の隔週日曜日に入る「GOLBE」の「見出しを読み解く」に、昨年のニューヨークでの「クリスマス商戦」の出来事が掲載されていた。

GOLBE「見出しを読み解く」:消費者たちは物より体験-小売業者には悪い知らせ

米国だけではなく欧州であっても、クリスマス商戦というのは1年で一番物が売れるシーズンだ。
日本のように様々なイベント企画をし、季節ごとの商戦プランを立てるということがほとんどない欧米では、クリスマスに物が売れないということは、小売業者にとって大打撃だといってよいと思う。
まさにクリスマス商戦というのは、小売業にとって一番の稼ぎ時のはずなのだ。
ところが、生活者の消費傾向が大きく変わり始め「物」から「体験」へと変わってきているという。
おそらく、日本でも同じような傾向は見え始めているのではないだろうか?

その一方で、Amazonがワインを購入する人に対して、「ソムリエ電話無料相談サービス」を始めている。
Amazon:Amazonソムリエ
ワインの好きな方はとても多いと思うし、趣味が高じて「ソムリエ」の資格まで取ってしまった、という方もいらっしゃるのでは?と想像するのだが、それでもワインを購入するときには「ソムリエ」のような人に相談をしたい、と思う人が多いということなのだろう。
そしてこのようなサービスこそ、対面販売を得意とする小売業の本領なのではないだろうか?
「物を買わせる」のではなく「モノを買う体験のお手伝いをする」という、発想が今の小売には必要なことのような気がする。
そのための「ソムリエのようなプロ」の育成が、必要なのかもしれない。


糖質制限ダイエットも何のその!お米サンド

2016-02-06 21:05:29 | ビジネス

日経新聞のWEBサイトを見ていたら、なるほど!と思う記事があった。
日経新聞(日経TRENDY):吉野家がお米サンド専門店 満腹感で男性リピーターも

ここ数年、JAを中心に「お米を食べよう!」という推進キャンペーンが、いろいろ展開されている。
昨年話題になった商品の一つに「ライスミルク」や、昨年暮れあたりから時折コンビニなどで目にするようになった「米麹ドリンク(「甘酒」の一種だと思われる)」が挙げられると思う。
ただ、これらの商品は一部の人たちから注目されることはあっても、市場として広がっていないという現実があると思う。
なぜならこれらの商品には「美容」というキャッチコピーが付いており、一部の女性の間でしか話題にならなかったからだ。

その一方で数年前は「糖質制限ダイエット」、昨年あたりからは「ケトン体ダイエット」など、お米など「穀物類=炭水化物」を制限したり食べないほうが、健康になる(あるいは、ダイエットになる)と話題になることが多くなってきているように感じてる。
このような「健康ブーム」が、さらに米離れを促進している背景となっているのでは?と、思うときがある。

そんな「健康ブーム」に対抗するかのような、「お米サンド」というファーストフード。
確かに、米飯を中心とした食事というのは、テーブルについて食べるというのが基本だ。
「何かをしながら、食べる」ということは、できない。
「おにぎり」という究極の「フィンガーフード(「手づかみで食べれる」とか「手でつまんで食べられる」という意味)もあるが、基本的には「お茶碗で食べる」のが、米飯の基本だろう。

そこに、「サンドイッチ」という新しい「お米のフィンガーフード」であり「お米のファーストフード」が、登場したことは、お米の新しい食べ方となるかもしれない。
ご存じの方も多いと思うが、モスバーガーでは随分前から「ライスバーガー」という商品を販売しているので、まったく「新しいお米の食べ方」とは言えないかもしれないが、「手軽さ」という点と米飯をシート状にし「低カロリーで満腹感がある」というアイディアは、新しいと思う。

私自身はやったことはないのだが「糖質制限ダイエット」をやっていた知人の話では、「ダイエット効果はあるけど、ごはんを食べないと空腹との闘いになって、辛い」ということだった。
やはり「空腹感」というのは、「飽食の時代」と言われる現代では「辛さ」になるのだ。
その「辛さが解消でき、低カロリーで満腹感がある」というのは、実は多くの人が求めていたことなのではないだろうか?

もう一つ考えられるのは、実はこの「お米サンドイッチ」で使われる「お米シート」、自宅でも作れるかもしれない、という点がある。
お料理好きな方なら、大体想像ができると思うのだが「冷やごはん」をラップに挟み、綿棒などで押しつぶしながらシート状にして、フライパンで焼く「簡単おせんべい」と作り方が似ているのだ。

お米の消費拡大にはつながりにくいかもしれないが、海外へもアピールできる新しい「ごはんメニュー」だと思う。


子供向け商品は、高齢者向け商品?

2016-02-04 19:32:52 | アラカルト

auが、子供向け腕時計型端末を発売する、と毎日新聞のWEBサイトにあった。
毎日新聞:KDDI 子ども向け腕時計型端末 迷子防止お知らせ機能
KDDI:身につけるから、忘れない!国内初!通話もできるキッズウォッチ「mamorino Watch(マモリーノウォッチ)」登場

このような商品を見て感じることの一つに、子ども向けの商品のいくつかは高齢者向けの商品ではないか?という点だ。
さすがにこの腕時計のデザインでは、高齢者は身につけにくいと思う。
ただ、表示の見やすさやGPS機能、防水・防塵・耐衝撃などに加え、防犯ブザーや一定の距離を離れるとブザーが鳴る、といった機能などは、子どもだけではなく認知症などにより徘徊が心配される高齢者を見守る家族にとっても、必要と感じる機能なのではないだろうか?
もしこれらの機能に「活動計」のような機能が加わると、独居老親を遠距離で見守る家族にとっては、安心を提供することになると思う。

何より、今のような「少子高齢化」が進む状況では、子ども向け市場よりも高齢者向け市場のほうが、市場そのものは大きい。
そしてその市場は今後30年以上は、拡大することはあっても縮小していくことは、考えにくい。
家族形態も、以前のような「大家族」から「核家族」になり、今や二人世帯や一人世帯が目立つようになってきている。
その中心が高齢者であるということを考えると、高齢者向けサービスというのは時代が必要としてるモノなのではないだろうか?

何より、今の高齢者はとても元気で活動的だ。
たとえ認知症になったとしても、「その人らしさ」を重視する介護などが求められるようになってきている。
そう考えると、子どもの見守りツールと高齢者の見守りツールというのは、基本的な部分では共通するところが多い。
「高齢者だから」と、特別なことを考えるのではなく子どもが道に迷うように、認知症の高齢者が道に迷うと考えれば、「子供向け商品」を言う枠が無くなり、より幅広い人たちが使えるツールとなるはずだ。
そのような発想で、モノづくりを考える時代になってきているような気がする。


仮想通貨は、一般化するのだろうか?

2016-02-03 19:30:28 | ビジネス

先日三菱東京UFJ銀行が、仮想通貨利用を検討している、という報道があった。
朝日新聞:注目集める仮想通貨の中核技術「フィンテックの本命」

今年初め「今年の注目のビジネスキーワード」として、拙ブログでも紹介した「フィンテック」。
「金融=ファイナンス」と「技術=テクノロジー」を合わせた、造語「フィンテック」だが、私自身はユーザー目線のファイナンスとIT技術への利用が中心だと思っていたのだが、どうやら現在の銀行が考える「フィンテック」は、違うようだ。

ところで「仮想通貨」というと、何を思い出されるだろう?
昨年だったと思うのだが、「ビットコイン」と呼ばれる仮想通貨の取引所が、突然閉鎖され世界中で問題となった。
まだまだ事件の全容がわかったわけではないようだが、この取引所(というのだろうか?)を運営していた男性が、集めたお金を好き勝手に使ってしまった、という報道もあった。
そのため「仮想通貨」というと、この時のイメージがありどうも良い印象がない。
むしろ、日本のメガバンクの一つである三菱東京UFJ銀行が「仮想通貨の利用」となると、心配される方のほうが多いのではないだろうか?

とはいうものの、現在検討されているのは、三菱東京UFJ銀行間の取引決済だけでの利用、ということなので今現在については預金者にはあまり関係の無いことなのかもしれない。
ただ、この報道で説明されている内容が、イマイチ理解できない。
というのも、銀行間での決済で利用することと、「フィンテックの本命」と言われる「ブロックチェーン」との関係が、よく理解できていないからだ。

銀行の本支店間を結ぶホストコンピューターにデータを一元管理化するリスクを、分散させるために「ブロックチェーン」を活用する、ということのようなのだが、データの一元管理を分散させることと「仮想通貨」が、結びつかないのだ。
詳しい方は、ぜひ教えていただきたい。

何よりこの報道を知った方の多くは、昨年の「ビットコイン」の事件のことを思いだされたのでは?
「仮想通貨」という「お金」を投資目的で利用し、金融工学に基づき人工知能を活用し、運用をするのでは?ということだ。
昨年の事件の背景には、このような「投資話」が絡んでいた、と記憶している。
だからこそ、三菱東京UFJ銀行が「仮想通貨」の利用を考えているのであれば、わかりやすい説明が必要なのではないだろうか?

ただ「フィンテック」そのものの利用が、このような銀行などの金融側の目線であれば、「フィンテック」そのものの市場は一般化するまでに時間がかかるような気がする。
なぜなら、市中のお金を集めることで「金融」は動くからだ。
市中のお金というのは、私たち生活者のお金のこと。
もちろん巨額なお金を動かす投資家のほうが、目に見える影響は大きいかもしれないが、様々なカタチで日々「お金」を動かしているのは、生活者だからだ。


完全自動運転は、どのメーカーが創りだすのか?

2016-02-01 21:16:05 | ビジネス

昨年あたりから、話題になりつつある「自動運転ができる自動車」。
既にGoogleが、youtubeなどで映像を公開しているし、youtbueで「自動運転」と検索すると様々な自動車メーカーも「自動運転」の開発の積極的である、ということがわかる。
今年のビジネスキーワードである「人工知能」などと組み合わせることで、思いのほか早く実現できるかもしれない。

ところでこの「自動運転」で、一番大切な点は何だろう?
走り出すことだろうか?それともカーブを曲がること?
確かにカーブを曲がることも、人が不快感を感じさせないように適切に減速をし、カーブを曲がるようにしなくてはならないだろう(車酔いの激しい私にとっては、このカーブを曲がることが車酔いの原因の一つだ)。
自動車のCMでおなじみの曲がりくねった山道を走る、という場面では当然「曲がるための安全性」が、必要になると思う。

ただそれよりも重要なことは「止まる」ということだと思う。
ここ数年様々な自動車メーカーが、「自動停止」の機能を搭載した車を発表している。
しかし現実は、テレビCMのような訳にはいかないようだ。
先日偶然見た「自動ブレーキシステム」の映像を見て、そう感じたのだった。

映像で見るかぎり、欧州車の中でも「高級車」と呼ばれる車でも「自動停止」そのものは、難しいようだ。
日本車に限って言えば、スバルの「アイサイト」のように、止まるクルマもある。
実はこの「アイサイト」は、「自動停止」だけの機能ではない。
走行する前の車に追従するような、自動運転ができる機能にもなっている。

随分前、NHKの「サイエンスZERO」だったと思うのだが、「渋滞を解消する技術」として紹介されていた機能が、この「自動追従」という技術だったと記憶している。
NHK サイエンスZERO:進化するクルマ~ロボットカーが未来をひらく~
このとき、技術協力をしていたのがスバルだった。
このころの研究から、性能を上げるための様々な研究がされ、今現在のようなシステムに至ったのだと思う。

そう考えると、今現在は日本車が「自動運転」の開発については、一歩先を進んでいるように思う。
もちろん、欧州車だけではなくGoogleのようなIT企業も、参入をしてくるだろう。
Googleの強みは、何といっても「Google earth」や「Google MAP」のようなGPS機能と地図データだろう。
もしかしたら、既存のIT企業と自動車メーカーが、共同で開発をするようになるかもしれない。

ただ「自動運転」が可能になっても、「運転をする」という楽しみは残す必要があると思う。
なぜなら、マツダのCMのように「運転をする」ということは、単に「好きな時に好きな場所に行く」というだけではないからだ。
「クルマを運転する楽しさ」が無くなってしまえば、クルマを運転する魅力も、半減してしまうのではないだろうか?