日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

UVカット水着に見る、社会の変化

2012-04-07 19:55:30 | マーケティング
4月に入ったというのに、まだまだ花寒の日が続いている。
気の早い小売の店頭や通販のカタログは、既に「夏」が始まっている。
そんな通販のカタログを眺めていたら、「この商品ニーズって?」と思う商品があった。
それが、今日のタイトル「UVカット水着」だ。
それも、通常のビギニ水着+長袖のボレロ+トレンカ(甲の無いタイツだとお考え下さい)という、完全フル装備のUVケア水着なのだ。
「日焼けは絶対嫌!」という人向けの水着だとお考え頂きたい。

「最近は、地球温暖化だけではなくオゾンホールの問題で、UVケアをしないと皮膚がんのリスクが高くなるんじゃないの?」という、ご指摘はあると思う。
確かにUVケアは皮膚がんのリスクを下げる、と言われている。
ただ今現在は、オーストラリアのようなオゾンホールの影響が大きい地域に限られている。
その意味で、日本ではまだまだUVケア=シミなどの美容ケアという意味合いのほうが強いと思う。

では何ぜそこまで完全防備をしてまで、水着を着たいの?という疑問が出てくる。
その答えは、カタログの対象が若い女性向けではなく、既婚者向けだという点が大きい。
この水着を着たい女性は、積極的に海などに行きたいというよりも、子どもたちと一緒に海水浴に行くという女性だと、想像できるのだ。
とすれば、大人の女性向けだけではなく、お子さんとお揃いの水着も商品ラインナップとしてあっても良いと思う。
その理由は、大人のシミの多くは、10代までの受けた日焼けの影響が大きい、といわれているからだ。
美容の主流が「美白」というだけではなく、日焼けによる様々なリスクが指摘されている今、子どもの頃からのUVケアが大切、というコトになる。
そのように考えると、来シーズンは「ママと子どもの完全防備UVケア水着」が、登場するかも知れない。

しかし考えてみれば、30年近く前は「美しく日焼けした肌」は一つのステイタスだった。
「日焼けサロン」などが無い時代だからこそ、「美しく日焼けした肌」というのは、リゾート地にセカンドハウスを所有していて、長期のバカンスだけではなく毎週末のように出かけ、マリンリゾートを十分楽しめるだけの経済力がある、という一つの証明のように言われていた。
今や死語となった「ヤングエグゼクティブ(略して「ヤンエグ」)」という言葉が、もてはやされた時代でもあり、日本のバブル経済前の話だ。
と言っても、日本ではこのような若い経済的成功者などいなかったので、あくまでもスタイルだけを真似た一種のブームで終わったに過ぎなかったが。

それが30年くらいの時間の経過で、もてはやされたライフスタイルは、チョッと恥ずかしい感のあるスタイルのようになり、オゾンホールなどの環境問題などもあり、「UVケア」は今では当たり前のコトになった。

それだけではなく、このような水着の登場は「海の家」の作りにも変化を及ぼすかも知れない。
夏のワンシーズンの建物というコトもあり、簡単な作りになっている「海の家」だが、大きなしっかりとした屋根やUVカットガラスの「眺めの良い簡易ハウス」で、(建築法などの問題で簡易設置は難しいかも知れないが)その大きな屋根にはソーラーパネルが設置されている「エコな海の家」が早晩登場するかも知れない。