日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

新しい価値を生み出し続けているキットカット

2012-04-05 14:28:35 | ビジネス
日経新聞のWEBサイトをチェックしていたら、「ネスレ日本 三陸鉄道再開の思いを乗せ」という記事があった。
記事が掲載されていたのは「新商品」の紹介。
昨年の「東日本大震災」で大きな被害を受けた、三陸鉄道の支援の限定キットカット販売の記事だった。

ネスレ日本のキットカットのサイトを見てみると「三陸鉄道 キット、ずっとプロジェクト」というコンテンツがあり、様々な動画を見てこの「キット、ずっとプロジェクト」が、意外なところからスタートしていることに気が付いた。
サイト内にある「さん鉄のあったかイイ話」の動画の中にある「橋上駅長・キット、復旧かなう」篇に、震災直後三陸鉄道へ送られた支援物資の中に「キットカットの箱」があり、その箱に「キット、復旧かなう」というメッセージが付いていたという、内容がある。

おそらく、世界中で販売されているキットカットの中で、日本国内だけは他の国で販売されているキットカットとは違う付加価値を持っているのでは?と、考えている。
それは年末から年明けに掛けて登場する「受験応援・キット、サクラサク」や、自治体として初めて破綻した「夕張応援キットカット」のように、地域限定・販売期間限定と銘打ちながら、その時々で、個人から自治体や今回の三陸鉄道のような企業にいたるまで、「キット・・・」という言葉に願いや希望を架けて、多くのメッセージを伝えるツールとなってきている、という点だ。

今回、ダンボール箱で支援物資として送った方は、「復旧・復興を願っている」とか「三陸鉄道に再び乗りたい」という思いを届けるために、「キットカット」を選んだとすれば、10年近く展開してきた「キット、サクラサク」のキャンペーンが、キャンペーンという企業の仕掛けではなく、市民の中に根付いたモノだったと考えるのだ。
しかし「キット、サクラサク」のキャンペーンも元々は、受験をする友人や先輩たちに「合格しますように」という思いを伝えるツールとして、始まったもの。
企業が、意図的に仕掛けたキャンペーンではなかった。

逆にネスレ日本が、その「思いを伝えるツールとしてのキットカット」というアイディアを、顧客から頂き、様々なカタチに展開をしている、と言ったほうが良いのかも知れない。
ただ、アイディアを頂くだけではなく、積極的に支援・応援をするという企業の姿勢が、多くの人から共感を得る結果となり、「チョコレート菓子・キットカット」ではなく「思いを伝える、キットカット」という、これまでには考えられなかったような付加価値性を創ることになったのではないだろうか。

おそらくこのような付加価値性を持つチョコレート菓子は、世界広といえども日本のキットカットだけのような気がする。
その意味で、顧客とコミュニケーションを図りながら新しい付加価値を創る、お手本のような気がする。