日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

日本という国を見直す

2011-09-02 20:08:51 | CMウォッチ
今日の全国紙に、宝島社の30段広告が掲載されている。
30段広告というのは、新聞2面を使った真中の頁に掲載される大きさの広告だ。
「宝島社 いい国つくろう 何度でも」
その大きな広告のキャッチコピーが「いい国つくろう。何度でも」。
使われている写真は、第二次世界大戦後米軍の厚木基地に降り立ったマッカーサー司令官。
コーンパイプを口にくわている、有名な写真だ。

実は、この宝島社の広告だけではなく先々週、先週と同じ30段広告(+15段広告(=全面広告))を全国紙に掲載した企業があった。
旭化成ホームズ(「へーベルハウス」)の「昨日まで世界になかったものを。」だ。
先々週は、夜明けのオランダの風車小屋の風景。
先週は、日が落ち、富士山の裾野に広がる家路を急ぐ車や家々の明かりが灯る風景。
どちらも雄大な写真だった。
特に、先週の「愛する国に住むということ。」は、キャッチコピーと写真がマッチしたとても印象深い広告だった。
旭化成グループのテレビCM「昨日まで世界になかったものを。」シリーズも、個人的には好きなCMの一つで、使われている楽曲(「さよならの向こう側」)と映像がとても合っていると感じている。

こちらの広告は、もちろん宝島社の広告とは主旨が違う。
宝島社の広告は、企業広告でありながら「(震災や原発事故で元気を無くした)日本を元気にしたい」という、メッセージが込められている。
その意味では、企業広告の枠を超えた意見広告のようなトコロもある。
一方、旭化成ホームズ(「へーベルハウス」)の広告は、あくまでも企業広告であり、自社の技術を伝える内容になっている。

だが、「愛する国に住む」というキャッチコピーから受ける印象は、「日本という国が大好きだ」というコトだ。
「震災があっても、この国を愛し、この国で生きていく・・・」そんな気持ちになる(気持ちに気づかされる)広告だと思う。

宝島社は、戦後の復興の象徴の一つであるマッカーサーの写真を使い「いい国をつくる」というメッセージを発信し、一方旭化成ホームズは富士山という日本を象徴する山と家々やクルマのヘッドライトの灯りで「この国で生きている」というコトを表現している。

どちらも「日本を見直し、この国で生きる」というコトを考えさせる、広告だと思う。





ネット動画配信「Hulu」で変わるコト

2011-09-02 07:05:31 | ビジネス
昨日の新聞各社のWEBサイトに、「ネット動画配信『Hulu』が配信開始」という記事が掲載されていた。
「Hulu」というネット動画サイトがどのようなサイトなのか、まったく知らなかったのだが、どうやら海外の映画やドラマ専門の動画配信サイトのようだ。
それも月額1,500円程度で、見放題!というコトらしい。

このニュースを聞いて、最初に考えたのは「テレビがどうなるのか?」というコトだった。
もちろん、テレビ局の番組=コンテンツそのものにも影響が出てくると思うが、まず影響を受けるのは「テレビ」という機器だろう。
以前から言われていた「ネットが受信できるテレビが、これから主流となってくる」というコトが、いよいよ本格化して来るのでは?と、簡単に想像できるからだ。

それだけではなく、今家電メーカー各社が力を入れている「HDD付け」のような「録画テレビ」の位置付けも、気になるトコロだ。
もちろん、スポーツ中継などは今回の「Hulu」は対象としていないので、スポーツファンにとっては「見れないスポーツ番組を録画する」という需要は、充分あるだろう。
なんと言っても、日本の場合「スポーツ観戦=テレビ観戦」という場合が、欧米に比べるとけた違いで多いからだ。

だが、他のドラマなどは録画する手間を省けるなどの、メリットがある。
この場合、日本のテレビ局が配信するという条件付きとなるが、お盆の頃(だったと思う)「民放各社がオンデマンド配信をする」という報道があったことを考えれば、この「Hulu」の進出も、このような動きを考えてのコトだと考えられる。
とすれば、闇雲に「HDD付き(外付けを含む)」というセールスポイントは、セールスポイントではなくなってしまう。
少なくとも、インターネットが受信できるテレビであれば、海外映画やドラマのファンからすれば、余り必要がない機能となってしまう。
「あれば便利」という感じだろうか?

と同時に、ブルーレイやDVDレコーダーなどは、どんな位置付けとなるのだろう?と、考えてしまうのだ。
「外付けHDDテレビ」や「ネットテレビ」の登場で、これまでのような「録画し、録画を見る」という機能そのものが、テレビ本体に移っていく可能性がある。
それだけではなく、i-Padのようなタブレット端末でも視聴可能というコトを考えれば、「テレビで見る必要性」も揺らいでくる可能性まである。
かつて、ソニーの「ウォークマン」が、「音楽を外に持ち出した」ようなコトが映像でも起きる可能性があるということだ。

もう一つは、やはり「レンタル店」だろう。
海外の映画やドラマに限定されるということで、邦画や日本のドラマのDVDなどは関係なさそうだが、少なからず影響は出てくるだろう。
もう一つ、気になるのはこれまでテレビ局各社が、人気番組をDVD化して販売するというビジネスモデル(と言うべきか?)も、どうなっていくのだろうか?
もちろん、DVD+オリジナルグッズ販売という方法そのものは、残っていくとは思うのだが、オンデマンド視聴が増えてくれば、「視聴率」そのものの意味も変わってくるだろうし、「Hulu」の登場によって、ドラマなどの番組制作そのものを見直すコトが出てくるだろう。

その様に考えると、扱われたニュースの大きさは小さくても、様々なトコロで与える影響は大きいかもしれない。
そして「ライフスタイルの変化」を起こすキッカケとなるかも知れない・・・と、感じている。