日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

生活文化を知る難しさ

2011-09-29 11:08:39 | ビジネス
朝の新聞チェックをしていたら、興味深い記事があった。
大正製薬、「リポビタン」の欧州展開断念 市場分析失敗(紹介記事はasahi.com)

ご存じの様にドリンク剤の「リポビタン」は、その市場を創り出したロングセラー商品であり、ヒット商品でもある。
実際、ドラッグストアーに行けば、1コーナー設けてありドリンク剤の百花繚乱状態。
最近ではカロリーオフや女性用だけではなく、子供用と言うのも登場し、たかがドリンク剤と侮っていると、その飲用目的の多さに驚くコトもある。

しかし、海外に目を転じると・・・と言うのが、今回の問題だ。
私の知っている海外と言っても、20年ほど前に仕事で行った香港が最後なので、今の外国のスーパーマーケットやドラッグストアーに、どのような商品が置いてあるのは知らない。
まぁ、日本人が海外旅行に出かけて現地のスーパーマーケットやドラッグストアーに、足を運ぶと言う方は余り多くは無いと思うが、私の中ではドリンク剤のイメージが無いのだ。

その様な売り場が無い、と言うコトもあるが、欧米人が「ドリンク剤を飲む」というイメージが無い。
「ドリンク剤を飲んでまで、仕事に励む」というイメージそのものが無いのだ。
「仕事に励む」と言うよりも、「無理をしてまでがんばる」というイメージが無い、と言った方が正しいかもしれない。

一方、アジアに目を向けると、そのイメージが湧いてくる。
何となくだが「無理をしてもがんばる」という感覚があるのは、アジア特に東アジアの人たちのようなイメージがある。
アジア人の勤勉さ、真面目さと言うコトもあるのかもしれないが、「生活文化の違い」という方が合っている様な気がする。
良い・悪いではなく、生活感の違い・生活文化の違いというコトだ。

その違いを上手に読み取れず、市場からの撤退、だと思う。
逆に言えば、欧州で他社(=地元企業の)のドリンク剤がヒットしたから、大丈夫だろうと言う期待値の高い思い込みがあった、と言うコトなのでは?

この記事を読んで、思い出したコトがある。
それは、日本に過去何度か進出しながら撤退をしている「バーガー・キング」だ。
現在は、東京など首都圏を中心に展開をしている様だが、バーガーキングが撤退を繰り返した大きな理由は「日本人向けでは無かった」という点があった。
バンズだけではなくハンバーガーそのものの大きさや、味付けなど、余り日本人向きでは無かった。
もしかしたら、今でも試行錯誤の状態でいるかもしれない。

マーケティングの難しさは、数字では無いトコロまで読み取るコトだと、改めて知る記事だった。