日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

オシム監督倒れる

2007-11-17 13:47:13 | スポーツ
昨日、サッカー日本代表監督・イビチャ・オシムさんが脳梗塞のために倒れた。
このニュースを聞いて驚いたサッカーファンは、多いことだろう。

日本代表監督に就任した時、「日本オリジナル」と言うコンセプトを打ち出した。
知っている方も多いと思うが、オシムさんの祖国は旧ユーゴスラビアだ。
しかしオシムさんは「私は、サラエボ人だ」と言うコトはあっても、国名を言うことはない。
それは、祖国を紛争によって失なったからなのではないか、と言われている。
オシムさんが生まれ・育ったサラエボさえも、かつてのような美しい町並みや冬季オリンピックが行われた会場などは、内戦によって跡形もなく破壊されてしまっている。
だからこそ、ナショナリズム的な思考ではなく、日本人の体格や思考を重要視した「オリジナル性」のあるチーム作りを目指しているのではないだろうか?

オシムさんが初めて日本に来たのは、1964年の東京オリンピックの時だ。
ユーゴスラビア代表FWとしての来日だった。
このときオシムさんは、「日本人の質の高いホスピタリティーに、とても感激した」と言っている。
その後、名将と言われるほどの実績を残しての来日だった。
日本代表監督就任に至る過程においては、川渕さんの暴走のようなコトもあったようだが、そのようなコトとは関係なく、オシムさんは淡々とそして熱心に「日本オリジナル」のサッカーを目指してきた。
ジェフ千葉監督当時から、試合後などのコメントはユーモアとシニカルさがあり「オシム語録」として、サッカーファンだけではなく様々な分野の人たちからも注目されてきた。
今でも、朝日新聞には「今月のオシム」と言うタイトルで、その語録が掲載されている。

冷戦時代でありながら、東西ドイツが一つの国として唯一参加した大会でもあった東京オリンピックは、オシムさんにとってもとても幸せな時代だったのではないだろうか?
その「幸せ」な時間を過ごすコトができた日本で倒れられたオシムさんのサッカーへの思いだけではなく、人や故郷に対する思いに私たちが応えることができるとすれば、オシムさんの目指したサッカーを体現するだけではなく、日本人の持っている質の高いホスピタリティーを戦火で苦しむ人たちに提供する事ではないだろうか?
アメリカ寄りの発想ではなく、「和を以って尊びとす」と言う社会思考を持った支援と言うことだ。

オシムさんの故郷であるサラエボは、第一次世界大戦勃発のキッカケとなった街でもある。
だからこそ、平和な日本社会の中でサッカーができる幸せを、十分感じ取って欲しいと思っている。
どうか、回復される事を!