はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

名人戦をふりかえる

2007年07月04日 | しょうぎ
半「フー、なんか調子わりィー」
松「どうしました」
半「土曜日に酒のんでさ」
松「それがまだ残っているんですか」
半「だいたい酒、弱いから。アセトアルデヒドがまだ未処理で。そういう体質なんだな」
竹「どのくらい飲んだの?」
半「ビールコップ3杯…」
梅「えっ、それだけ?」
半「それだけなんだよ。1、2杯くらいなら、と油断して3杯のんじゃった」
竹「よわッ」
半「飲むとろくなことがないね。こころが荒んでくる。他人のちょっとした言動に腹がたって、そいつのセリフがぐるぐるまわって。こっちもケンカはしたくないからそれ以上そのことには触れない、けどそうすると、そいつは自分が俺をこんな気分にしたことをまったく気づかずにいるわけだ。それがもまたイライラさせる。俺はビールを3杯しか飲んでいないのに、その3杯は3杯ともそいつが注いだとおもうとそれがまた腹たって…」
松「そりゃ、飲まないほうがいい」
半「そうだろ。わかってんだけどね。酒の味は好きなんで、つい…」
竹「えっと、今日は名人戦第7局をふりかえるということで…」
梅「そうそう」
半「居酒屋ってどうしてコーヒー飲めないのかねえ。それもイラつかせるんだよなー。だってね、俺は酒のめない、タバコも数年前にやめたから、飯食ったあとはコーヒーで落ち着きたいんだよ。なのにコーヒーのメニューはない。持ち込むわけにはいかんだろ? なのに別のやつは酒のんでタバコ吸ってしゃべりたいことしゃべって… くっそーっ、てわけさ」
梅「名人戦…」
半「そう、名人戦! その話ができるやつもいない、そういう席で4時間、長いよー。そのあとカラオケいったそうだけど、俺はかえったよ。帰って借りていたDVDを見た。でもさー、やっぱ酒はいっていると集中度が低いから何回も巻き戻して…」
竹「なに観たの?」
松「あッ、聞くなよッ」
梅「…」
半「『父親たちの星条旗』。 硫黄島の戦い、太平洋戦争の話だ。硫黄島の戦いは、もう日本に勝ち目はなくてね、日本をまもるのに大事な島なので2万人の兵を送ってまもろうとしたんだけど」
梅「ああ…あ」
半「アメリカのほうは圧倒的な兵力を送って…。日本は、でも、もうそれ以上は援軍を送れないから、でも守り抜けって指令がくる。で、結局ほとんどの兵隊が、穴のなかで死んでしまう。でもさあ、アメリカの兵隊だってたくさん死んでいる。日本人は勝ち目のない戦いで、ほぼ全員が死んで、でもアメリカ兵は、前線の人たちだけ死ぬ。アメリカ兵は死者5千人だったかなあ。勝ちいくさなんだけど死んでいくってのも、つらいなあって思ったよ」
松「… 」
竹「で、それを観て寝たんですね」
半「うん。寝て、起きて、NHK杯観た」
梅「ああ! 面白かったねえ、中田功阿久津主税戦!」
松「うん。面白かった。藤井の解説がまた…」
梅「わらったなあ。『これはプロなら一目で詰みとわかります。阿久津五段の勝ちです。でも、あれ? ほんとに詰んでいるのかなあ。やってみましょう。あれ? つんでないですね、逆転です』って」
竹「あんときの、逆転された阿久津さんの顔!」
半「中田功は、トシとるにつれ、かっこよくなるね。背が高いのがいいな」
松「中田さんの次の対戦がたのしみだ」
半「それであの日は、そのあと…」
梅「あ、もういいです、それは」
半「読みかけの本を…」
竹「本のタイトルは?」
松「バカ、聞くなって!」
竹「ご、ごめん」
半「山崎豊子の『大地の子』。これがまたかわいそうなっていうかつらい話で…」
梅「はあ…」
松「名人戦…」
半「主人公は陸一心っていうんだけど、中国の戦争孤児でさ、もとは日本人なんだけど、中国人に育てられて、この中国人がいい人でさあ、それで大学にも行って優秀な成績で、鉄鋼の高炉を開発する仕事につくんだけど、文化大革命の時代で、ラジオをもっていたということで、取調べをうけるんだ。ラジオなんてだれでも持っていたんだけど、陸一心は日本人だってことで、そのラジオを使ってスパイをしているだろうって言われるんだ。新型の高炉の情報を日本へながしたってことで。陸一心は日本語さえ話せないんだけど。そのラジオにはそんな機能はないし、だいたい新型高炉っていっても、日本の高炉のほうがずっとすすんでいたのに。そんな感じで捉えられ、親にもそれを伝えられない。で、拘束されているうちに、脱走幇助の罪とか、どんどん罪をかぶせられて奥地へ送られていく…」
竹「わーん(泣)」
梅「うおー(泣)」
松「もう、もうやめてくださいー(泣)」
半「な、悲しいだろ。まだ全体の5分の1読んだところだけど。でもこの中国人の養父がいいひとなんだー。」
ね「あっ! おくれて、すいませーん!」
竹「あ、ねのすけさん」
梅「呼んでないし。」
ね「いやー、名人戦第7局をふりかえるんですか。それで、どこまで話たんですか? え? どこまで?」
梅「…」
竹「…」
松「なんか…」
梅「疲れちゃったなあ…」
半「そうだねえ」
松「そうだねって… アンタが…」
ね「え、どうしたんです?」
松「なんか…」
竹「今日は、やめますか」
梅「そうだな」
ね「えーっ!! なんでですか、なんでですか!?」
半「うーん、なんでかな。でも、やめるか」
松「じゃあ…、解散!」
ね「なんでーッ!」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする