半「やっとアルデヒド地獄から抜け出しまして(笑)」
梅「よかった、良かった」
松「これで名人戦が語れる」
半「ありがとう。山崎豊子の『大地の子』も、やっと主人公の陸一心が開放されて、ああよかったー」
松「あッ」
半「半分読んだところだけど、イテッ、あ、イテテテテッ! イテェよ! なにすんだよ、梅!」
梅「今日は将棋の話をしてください」
半「… 」
竹「えっと、棋聖戦第4局が今日なんですが」
松「あっ、そうだ! 半さん、ネット中継!」
半「… 」
梅「あれ、はぶてた?」
半「… 」
竹「あっ、もう終わってる」
松「佐藤3-1で防衛、棋聖戦6連覇!」
梅「強ええなあ、羽生世代」
竹「棋譜、棋譜!」
松「半さん」
半「自分でやれば?」
梅「まだ酒、ぬけてないのかよー!」
半「イテッ! あう! …ほい、棋譜」
松「佐藤のゴキゲン中飛車だ。超急戦の定跡形だ」
竹「この形は、棋聖戦挑戦者決定戦の渡辺・久保戦でもでたよね。だから渡辺明も自信のある形のはず」
梅「△5四歩!」
松「見ない手だなあ。歩切れになるから… 佐藤の新手か?」
竹「新手だね、きっと」
梅「わああ、すごいねこの佐藤の指し方!」
竹「うん」
松「こんな指し方で勝っちゃうんだ、強い!」
半「『将棋世界』の新刊見る? 8月号」
竹「見せて見せて」
半「自分でめくれ」
梅「… 」
竹「ク、ク、キイーッツ、だめだ、くちばしと羽じゃ本は無理だよー」
松「半さん!」
半「やっぱおれがいないと無理か」
梅「性格なおせー」
半「いちばん面白かったのは、棋聖戦の第1局を、佐藤康光と渡辺明の両方にインタビューしてふりかえっている記事なんだけど、ほら、これ」
松「へー」
竹「ふーん」
半「この将棋は、角換り腰掛銀の先後同型ってやつなんだけど、先手が攻めきるか、後手が受けきるかって将棋になる。先手が勝ちって結論がでれば、この形は指されなくなるはずだけど…」
松「いまだ結論がでない」
半「そういうこと。で、先手が仕掛けて、それから、飛車先の歩を交換して、▲2六飛と引く… これが2003年に指された堀口新手だ。佐藤・渡辺戦もこうなった。」
竹「堀口一史座?」
松「ちがう、堀口弘治七段だ」
半「そう」
松「女流の中倉姉妹は知ってるだろ。その師匠だよ」
梅「へえー」
半「で、今日の似顔絵はその堀口弘治七段。」
梅「おっさんだ」
半「おっさんだよ。46歳だから。でも堀口さんは若い時からおっさん顔だったな。この人も解説を生で聞いたことがある。とっても聞きやすい声だったな」
竹「その人が指した新手なの、▲2六飛…」
半「うん。それまでは▲2九飛とか▲2八飛だったけど、どうも先手が攻め続けられない… それが▲2六飛で…」
梅「攻めが続くようになったの?」
半「そうなんだ。で、ことし3月のA級順位戦丸山・郷田戦も同じだ。そのときは先手の丸山さんが快勝している」
松「ということは…先手優勢?」
半「かどうかわからないけど、それっぽい。棋聖戦の佐藤は、丸山さんと同じように指した。ほら、ここ、読んでみて、佐藤さんの発言」
竹「〔本譜は▲1二歩を選びましたが、丸山さんがA級の首がかかった一番で指した手ですから正しいのかな、と(笑)。 何といっても、丸山さんは角換りのスペシャリストですからね。私も相当痛い目にあっていますし(笑)。〕」
松「へーえ」
梅「でも、この丸山・郷田戦は渡辺明も知っていたんだろ?」
半「だよね」
松「知っていて、後手番をもって指した、ということは…」
梅「なにか秘策がある、ということになる」
竹「渡辺さんの研究に、佐藤がハマる可能性もあるってことだね」
梅「うん。だから怖いだろう、佐藤さんも」
半「実際、渡辺の研究どうりに進んだ。このあとの、渡辺の△3五角。これでやれるんじゃないか、というのが渡辺のカンだったんだ。」
松「で、佐藤は?」
半「佐藤はそれを見て、びっくりした。それなら▲2三飛成りで簡単に先手が良くなると思っていたから…。だけど、あんまり渡辺が自信をもってそこへ誘うものだから、かえって怖いよね(笑)」
松「でも、結局▲2三飛成りと指した」
半「うん。これでいいはずだ、とね。」
竹「ほんとうはどうだったの」
半「先手がやっぱり良くなったんだ。つまり…」
梅「渡辺明の研究に穴があった…?」
半「穴っていうか、まあ、ここ、読んで。渡辺さんの発言」
竹「〔村山君と焼肉食べに行っちゃったのが敗因で(笑)。 焼肉なんか食べてないで、さっさと帰って研究すべきでした〕」
梅「はは。なるほど」
松「つまりちゃんと研究していたら、あの△3五角は指さなかったと」
半「うん」
梅「でも、そのあとも迫力のある追い込みが続いて、面白かった」
竹「そうだね。この二人はそういう戦いになるね」
松「佐藤が先行して、ドトウの渡辺が終盤力で追い込む、ってね」
梅「竜王戦では、そのドトウの追い込みが成功した」
半「佐藤が先行するのは、佐藤ヤスミツの将棋が『つくる将棋』だからじゃないかな。二人とも終盤力には自信があるだろう。でも、このレベルだと序・中盤で差をつけられたら、終盤の腕力が発揮できなくなる。だから渡辺明のほうは、序・中盤の研究が必要なんだ、きっと。」
松「渡辺は勝負術がすごいと思う」
竹「ウン」
梅「でも、棋聖戦は終わったんだよな」
松「名人戦も… あれ?」
竹「あ、『名人戦をふりかえる』なのに、棋聖戦をふりかえっちゃった」
半「ホントだ。なんでだろ?」
ね「いやー、やってますね!」
梅「… 」
ね「それで、どうなりました、名人戦の話? やっぱ森内の△7二香ですかねえ」
竹「ねのさん…」
松「今日はもう終わりました」
梅「それに君、呼んでないし」
ね「そ、そんなー」
松「じゃ」
ね「えー!」
梅「よかった、良かった」
松「これで名人戦が語れる」
半「ありがとう。山崎豊子の『大地の子』も、やっと主人公の陸一心が開放されて、ああよかったー」
松「あッ」
半「半分読んだところだけど、イテッ、あ、イテテテテッ! イテェよ! なにすんだよ、梅!」
梅「今日は将棋の話をしてください」
半「… 」
竹「えっと、棋聖戦第4局が今日なんですが」
松「あっ、そうだ! 半さん、ネット中継!」
半「… 」
梅「あれ、はぶてた?」
半「… 」
竹「あっ、もう終わってる」
松「佐藤3-1で防衛、棋聖戦6連覇!」
梅「強ええなあ、羽生世代」
竹「棋譜、棋譜!」
松「半さん」
半「自分でやれば?」
梅「まだ酒、ぬけてないのかよー!」
半「イテッ! あう! …ほい、棋譜」
松「佐藤のゴキゲン中飛車だ。超急戦の定跡形だ」
竹「この形は、棋聖戦挑戦者決定戦の渡辺・久保戦でもでたよね。だから渡辺明も自信のある形のはず」
梅「△5四歩!」
松「見ない手だなあ。歩切れになるから… 佐藤の新手か?」
竹「新手だね、きっと」
梅「わああ、すごいねこの佐藤の指し方!」
竹「うん」
松「こんな指し方で勝っちゃうんだ、強い!」
半「『将棋世界』の新刊見る? 8月号」
竹「見せて見せて」
半「自分でめくれ」
梅「… 」
竹「ク、ク、キイーッツ、だめだ、くちばしと羽じゃ本は無理だよー」
松「半さん!」
半「やっぱおれがいないと無理か」
梅「性格なおせー」
半「いちばん面白かったのは、棋聖戦の第1局を、佐藤康光と渡辺明の両方にインタビューしてふりかえっている記事なんだけど、ほら、これ」
松「へー」
竹「ふーん」
半「この将棋は、角換り腰掛銀の先後同型ってやつなんだけど、先手が攻めきるか、後手が受けきるかって将棋になる。先手が勝ちって結論がでれば、この形は指されなくなるはずだけど…」
松「いまだ結論がでない」
半「そういうこと。で、先手が仕掛けて、それから、飛車先の歩を交換して、▲2六飛と引く… これが2003年に指された堀口新手だ。佐藤・渡辺戦もこうなった。」
竹「堀口一史座?」
松「ちがう、堀口弘治七段だ」
半「そう」
松「女流の中倉姉妹は知ってるだろ。その師匠だよ」
梅「へえー」
半「で、今日の似顔絵はその堀口弘治七段。」
梅「おっさんだ」
半「おっさんだよ。46歳だから。でも堀口さんは若い時からおっさん顔だったな。この人も解説を生で聞いたことがある。とっても聞きやすい声だったな」
竹「その人が指した新手なの、▲2六飛…」
半「うん。それまでは▲2九飛とか▲2八飛だったけど、どうも先手が攻め続けられない… それが▲2六飛で…」
梅「攻めが続くようになったの?」
半「そうなんだ。で、ことし3月のA級順位戦丸山・郷田戦も同じだ。そのときは先手の丸山さんが快勝している」
松「ということは…先手優勢?」
半「かどうかわからないけど、それっぽい。棋聖戦の佐藤は、丸山さんと同じように指した。ほら、ここ、読んでみて、佐藤さんの発言」
竹「〔本譜は▲1二歩を選びましたが、丸山さんがA級の首がかかった一番で指した手ですから正しいのかな、と(笑)。 何といっても、丸山さんは角換りのスペシャリストですからね。私も相当痛い目にあっていますし(笑)。〕」
松「へーえ」
梅「でも、この丸山・郷田戦は渡辺明も知っていたんだろ?」
半「だよね」
松「知っていて、後手番をもって指した、ということは…」
梅「なにか秘策がある、ということになる」
竹「渡辺さんの研究に、佐藤がハマる可能性もあるってことだね」
梅「うん。だから怖いだろう、佐藤さんも」
半「実際、渡辺の研究どうりに進んだ。このあとの、渡辺の△3五角。これでやれるんじゃないか、というのが渡辺のカンだったんだ。」
松「で、佐藤は?」
半「佐藤はそれを見て、びっくりした。それなら▲2三飛成りで簡単に先手が良くなると思っていたから…。だけど、あんまり渡辺が自信をもってそこへ誘うものだから、かえって怖いよね(笑)」
松「でも、結局▲2三飛成りと指した」
半「うん。これでいいはずだ、とね。」
竹「ほんとうはどうだったの」
半「先手がやっぱり良くなったんだ。つまり…」
梅「渡辺明の研究に穴があった…?」
半「穴っていうか、まあ、ここ、読んで。渡辺さんの発言」
竹「〔村山君と焼肉食べに行っちゃったのが敗因で(笑)。 焼肉なんか食べてないで、さっさと帰って研究すべきでした〕」
梅「はは。なるほど」
松「つまりちゃんと研究していたら、あの△3五角は指さなかったと」
半「うん」
梅「でも、そのあとも迫力のある追い込みが続いて、面白かった」
竹「そうだね。この二人はそういう戦いになるね」
松「佐藤が先行して、ドトウの渡辺が終盤力で追い込む、ってね」
梅「竜王戦では、そのドトウの追い込みが成功した」
半「佐藤が先行するのは、佐藤ヤスミツの将棋が『つくる将棋』だからじゃないかな。二人とも終盤力には自信があるだろう。でも、このレベルだと序・中盤で差をつけられたら、終盤の腕力が発揮できなくなる。だから渡辺明のほうは、序・中盤の研究が必要なんだ、きっと。」
松「渡辺は勝負術がすごいと思う」
竹「ウン」
梅「でも、棋聖戦は終わったんだよな」
松「名人戦も… あれ?」
竹「あ、『名人戦をふりかえる』なのに、棋聖戦をふりかえっちゃった」
半「ホントだ。なんでだろ?」
ね「いやー、やってますね!」
梅「… 」
ね「それで、どうなりました、名人戦の話? やっぱ森内の△7二香ですかねえ」
竹「ねのさん…」
松「今日はもう終わりました」
梅「それに君、呼んでないし」
ね「そ、そんなー」
松「じゃ」
ね「えー!」