恩師のご著書「講演集」より
講演集、 二
黄金の光と暗い想念
先の続き・・・
そして、香川県から徳島県へと、
あの大きな大坂峠を越えて入っていきました。
峠にさしかかった夕方、まだ暗くはなっていなかったのですけど、
左側は山肌で、中に道が通っており、右側は谷でやはり切り立った崖で、
ガードレールが付けてあって谷へ落ちないようになっています。
山を切り開いた峠を車が登っていき、
私は助手席に乗せてもらって左側を見ますと、
山肌がちょうど車の黄色いヘッドライトでパァーッと
照らしたように黄金色で、ずっと光っているのです。
すごく光っています。
山肌が全部光っています。
それで、「ああひょっとしたら後からバスかトラックが来て、
黄色いライトをつけて追いかけてくるのかなあ」と思って
後を何回も見たのですけど、何も来ません。
その峠を越えるまでずっとものすごく光っていたのですね。
四国の旅から帰って何日か経って、
一緒にいってくれた方々と又お会いした時、運転してくれた方が、
「先生、あの峠を越える時、気が付きましたか」と言うのです。
「あ、お宅も気付きましたか」と言うと、
「私、運転していましたから、前のほうがパァーッと光って、
ちょうど黄金の光ですから、
あの強い黄色のライトで照らしたような光なので、バスが来たのだと思って、
何回もバックミラーで後を見ました」と、
やっぱり同じことを言っているのですね。