浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

八正道と作善止悪

「御垂訓

2020-11-16 00:36:43 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

        恩師のご著書「講演集」より

           講演集、 二

       或るお年寄りとの対話


先週の日曜日、Fの地に招いていただきました。
三階の広間が会場になっていましたが、
エレベーターがありませんでした。
或るおじいちゃんが両側から抱えてもらってやっと部屋に
入って来たのですけど、

入るなり机の前に倒れてしまって息絶え絶えだったのです。
ちょっと息を整えてから私の前の机に坐られましたが、
ひどい喘息の発作で苦しそうでしたので、
「喘息を止めましょう」と言って光を与えますと、
忽ち発作は止まりました。
半時間ほどそのまま話をさせてもらってから、
「おじいちゃん、喘息は止まりましたね」と声を掛けますと、
「いや、わしはじっとしてたら、喘息は出ないのや」
と言うのですね(笑い)。

「じっとしてたら出ないというけど、今まで出てましたよ」と言いますと、
「家でじっとしてたら出ないのや、こうして階段を上がって
来て動いたから出たのや」とおっしゃるのです。
「まあ、それは結構でしたね」と言ったのですが、その方は家にいても喘息が
出て苦しくて堪らないから会場に来ておられるのです。
以前から苦しいので助けてあげて下さいということで、名刺に書いたものを
渡してあったのですが、いつもその名刺にお祈りして、
「長尾先生助けて下さい」
と言い続けておられたというのです。

それが、私に「あんたなあ、喘息が止まったのはあんたに関係ない」と
言われるのですよ。
「今私が、どうぞこのおじいちゃんに光をお与え下さいといって
神様に祈ったのを見たでしょう」と言っても、
「そんなことで治るはずはない」と言い張っていますから、
「では、おじいちゃん一度階段を下りて、
走って上がってきて下さい」と言いますと、
「そんなことをして苦しゅうなったらわしは叶わんから、
そんなことはしない」と、しぶっています。

「でも、しなくては分からないから、行ってきて下さい」と言うと、
おじいちゃんはしぶしぶ出て行かれたのです。
ところがおじいちゃんは、
「不思議だなあ、わし走って上がってきたのにどうもないわ」ということで、
それからそのおじいちゃんと私との愉快な対話が始まりましてね。
もう皆さん、大笑いされました。
「わしは朝一時間と晩一時間ずっと毎日神さん仏さんを拝んでいる。
あんたも拝んでいるのかい」と言われるから、「私は拝んだことはありません。
私が祈るのは、朝の祈りはトイレの中です。

夜の祈りはお風呂です」と言いますと、
「まあ勿体ない。あんたようそんなことするなあ」と、
びっくりされます。
「しかし、私はお尻を出して神様にお祈りしても神様は聞いて下さいます。
生まれたままの姿でも神様は聞き入れて下さいます。
おじいちゃんは、神様を拝もうと思ったら、歯を磨き、
手を綺麗にして拝んでいるでしょう。
でも神様は聞いてくれないでしょう」と言うと、
「そのとおりや。どうしてこんなに差があるのか、
一度聞かしてくれえ」と、まるで叱られているみたいなものでした。


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