経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

÷、+、さらに×

2010-03-19 | その他
 今日は知財とは関係のない独り言です。先ほどまであるIT企業の経営者の方の飲み会に参加させてもらっていたのですが、やっぱり経営者というのは考えていることが深く、哲学的で、本当にいい勉強&刺激になりました。

 仕事というものの捉え方について、これを割り算で考えようとする人達がいます。一定の量の仕事の存在を前提にして、頭数が何人だから自分に回ってくるのはいくら、これはいけそうだ、厳しくなってきた、みたいな発想です。市場分析としては理に適っているように見えるんだけれども、実際に戦っている当事者(特に経営者)はあまりそういう発想でものを考えません。そういう話を聞くと、その昔受験生だった頃「共通一次試験の全体の平均点がいくら」とニュースを耳にしたときに、「それがどうした」と言いたくなった感覚を思い出します。仕事というのは、割り算ではなく足し算で考えるもの割り当てられるものではなく積み上げていくものだと。これはおそらく、経営者か否かという立場の問題ではなく、自らが属する組織は個々人の積み上げによって支えている、という意識(=当事者意識)があるかどうかにつながるものであり、経営者に当事者意識が欠けていては話になりませんが、組織の強さというのはしっかりと当事者意識を持っている人がどれだけいるか、によってかなりの部分が決まってくるのかもしれません(少なくとも特許権が何件あるかということよりはるかに影響は大きい)。
 これが経営者ということになると、どうも足し算だけでは足りず、掛け算ができることが差になってくるようです。掛け算、すなわち人や組織、ネットワークを活かして相乗効果を生み出していくというか。こういう話って、掛け算ができる人(=ベテランの経営者)には「割り算ではなく足し算、さらに掛け算」だけで意味が通じてしまうので、おそろしい限りです。


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2 コメント

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請求項での足し算と掛け算 (久野敦司)
2010-03-22 06:59:07
経営者が、事業計画をたてるときに最初から経営資源の間の掛け算の実現可能性を見抜いて、それを実現できるように組織やビジネスモデルを構築するとすれば、それは特許の世界での請求項の設計に似ていると思いました。請求項の設計は経営者がやっている事に比べればはるかに複雑度が小さく簡単ではあると思いますが、進歩性の高い請求項は、請求項を構成する個々の構成要素のもたらす効果の足し算を超えた掛け算となるような相乗効果や思いがけない効果の発揮が必要です。
知財業界でも、当事者意識というか志というものが、受験勉強だけに関心が向かっている人には、無くなっていると思うことがよくあります。そのあたりの事を下記サイトにまとめてみました。

http://www.patentisland.com/memo276.html
http://www.patentisland.com/memo275.html
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Unknown (土生)
2010-03-22 19:38:41
久野様

コメント有難うございます。
請求項の記述にも、足し算と掛け算の違いがあるとは思いが及びませんでした。
ご紹介いただいたメモの内容は、まさにそのとおりであると思います。事業、さらには社会に関心が向いていれば、足し算、さらには掛け算で考えるようになるのは必然であり、決められた枠の中に閉じこもっていると思考も割り算的になりがち、とでもいいましょうか。
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