経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

視点をどこに置いて「戦略」を考えるか

2006-10-05 | 書籍を読む
 「知財革命」を読んでみました。重いタイトルの割には、読みやすい本です。この本は国レベルの視点で書かれているので、経営本として企業レベルの「知財戦略」を考えたいと思って手に取った人には、ちょっとミスマッチになるかもしれません。
 こういった知財系の書籍や論文などを読んで思うのは、「知財戦略」について議論する際には、視点をどこに置くかをはっきりさせておかなければ混乱するということです。
 国レベルに視点を置けば、知財戦略とは特許制度や裁判制度、中小企業支援や人材育成施策といった話になってきます。企業の経営レベルに視点を置けば、知財戦略として考えるべきことは、研究開発の方向性や参入障壁形成の基本方針といったことになるでしょう。さらに、企業の部門(知財部)レベルに視点の置けば、どうやって強固な特許網を築くかといった戦略が議論の対象になってきます。
 「知財戦略」の特殊性は、こういったレイヤーの異なる戦略が、全て「知財戦略」とひっくるめて言われていることにあると思います。「経営戦略」と言えば、経営レベルに視点を置いた「経営戦略」のことですし、「人事戦略」「財務戦略」といった場合には、経営レベルに視点を置いた「経営戦略」として議論されていることが多いと思います。ところが、「知財戦略」については、むしろ国レベルや部門レベルの議論が先行していて、経営レベルの知財戦略と混同されやすい状況にあるのではないでしょうか。尤も、経営レベルの知財戦略は、極めて個別性の高い性格のものなので、そもそも企業の枠を超えた議論の対象にはなりにくいものなのかもしれませんが。


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