経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

地域で生まれた技術が地域のニーズに結びつき、地域振興の期待を背負って事業を展開する

2010-03-07 | 知財発想法
 一昨日、中小企業のための知的財産経営シンポジウムin大阪が開催されました。年度末のお忙しいなか多くの方にご参加いただき、誠に有難うございました。
 今回ゲストスピーカーとしてご登壇をいただいたのが、株式会社井之商の井上社長様と、中野BC株式会社の中野社長様です。両社の共通項として興味深かったのが、いずれも地元の強い応援が得られている、知財が地域振興としっかり結びついているという点です。環境問題に熱心な滋賀を拠点に太陽の自然光を建物内に採り入れる‘スカイライトチューブ’開発した井之商さん、梅やみかんという和歌山の特産品を活かしてユニークな製品を開発する中野BCさんは、いずれも地元の自治体や企業が様々な形で熱心に応援してくれるそうです。知的財産権がどうこうという前に、地域で生まれた技術が地域のニーズに結びつき、地域振興の期待を背負って事業を展開しているという、大変興味深い2つの事例でした。もちろん知的財産権が果たす役割というのもあって、井之商さんの場合は、スカイライトチューブは施工現場から出てくる様々なアイデアを取り入れながら進化を続けている製品なのですが、そのアイデアをパートナーである施工業者さんからも募り、そのアイデアについて施工業者さんと共同で特許出願等をする。出願があたかも杯を酌み交わすような役割を果たし、施工業者さんとの結びつきを深めているとのことです。中野BCさんは以前に他社に先に特許を出願された苦い経験があり、それ以来、研究所の体制整備とあわせて知財の管理にも力を入れるようになったとのことです(地元の熱い期待を背負っている以上、そんなところで取りこぼせない、といったところでしょうか)。
 もう一つ印象的だったのが、以前に不動産事業も経験されたという中野社長様が、「利益を上げて地域貢献をするという点では同じであるはずなのに、不動産で1億円利益を出すよりものづくりで1千万円利益を出すほうが地域の強い応援が得られるものです」とお話されていたことです。まさに特許法の目指さんとする「産業の発達」を具現されているなぁ、と。

 次は広島にて、中小企業のための知的財産経営シンポジウムin広島を12日に開催予定です。

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