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つれづれの記

日々の生活での印象

日本語での数表現ー基数詞 b

2011年12月15日 00時28分44秒 | 日記

2011年12月14日(水) 日本語での数表現―基数詞 b 

 

 

③漢式と和式の併用

現在の日本では、実生活上では、桁の概念が不要な1~10迄については、漢式の数え方だけでなく、和式の数え方が、以下の様に、併用されている。 4 よん と、7 なな は、立派に、現役なのだが、他の数詞は、特別な場合しか使われない。

 

数字  1  2  3  4    5  6  7  8  9     10

漢発音 いち に  さん し    ご  ろく しち はち く・きゅう じゅう

和発音 (ひい ふう みい よ)・よん ( い む)  なな  (や  ここ     とお)

                 

一方、11以上の数についても、4と7の所で、漢式と和式が併用されているのだ。

 

数字  11    12   13    14    15    16  

漢発音 じゅういち じゅうに じゅうさん じゅうし  じゅうご  じゅうろく 

和発音                  じゅうよん       

 

数字  17    18    19   20

漢発音 じゅうしち じゅうはち じゅうく にじゅう

和発音 じゅうなな

 

以下、21以降についても、4と7の所で、漢式と和式が併用されている、のは同様だが、問題となる、40台、70台を見ると、以下の様に、双方が使われるものの、漢式よりも、むしろ、和式の数詞が使われることが多いように思われる。

          和式(漢式)      漢式(和式)

    44  よんじゅうよん(し)  しじゅうし(よん)

    47  よんじゅうなな(しち) しじゅうしち(なな) 

    74  ななじゅうよん(し)  しちじゅうし(よん)

    77  ななじゅうなな(しち) しちじゅうしち(なな)

 

100を越えた数字についても、4,7の関連は、以下の様に、殆ど、和式になる。

中には、和式しか使われない場合もあるなど、ややこしい事になっている。

  100台 ひゃく○○

   147 ひゃくよんじゅうなな  ひゃくしじゅうしち(なな)とは言わない

   177 ひゃくななじゅうなな  ひゃくしちじゅうしち(なな)とは言わない

  400台 よんひゃく○○     しひゃく とは言わない

   444 よんひゃくよんじゅうよん  

   447 よんひゃくよんじゅうなな  

  700台 ななひゃく○○     しちひゃく とは言わない

  777 ななひゃくななじゅうなな  

 

1000を越えた数字についても、4,7の関連では、和式だけである。

4000台 よんせん   しせん とは言わない

7000台 ななせん   しちせん とは言わない

万、億、兆についても、4,7の関連では、和式だけである。

   4万 4億 4兆 よん○○  し○○ とは言わない

7万 7億 7兆 なな○○  しち○○ とは言わない

 

④ 4,7での和式併用の理由は何?

見て来たように、基数詞では、漢数詞による漢式が基本なのだが、4,7に関しては、和式も併用されている訳だ。でも、4は、(し)ではなく、殆ど(よん)で、7も、(しち)より(なな)が多くなっている。

これは、どのような理由からだろうか。以下は、自分勝手な推測である。

先ず、考えられることは、発音の難易だ。各基数詞の発音時の先頭は、漢式では、以下のように発音される

1 2  3  4  5  6  7  8  9  10

漢式 i ni sa si go ro si ha ku jyu

和式         yo       na

漢式では、4(si)と、7(si)は、発音(si)が一緒で、区別が紛らわしいことがあるように思う。この部分を和式にすると、前記のように、4(yo)と、7(na)になり、全体として、先頭に同じ発音が無くなるのだ。

このことが、漢式を基本としながらも、4、7に関しては、和式が根強く残る、大きな理由のように思われる。

もう一つ考えられる理由は、4(し)は、死(し)に繋がるので、4(し)を忌み嫌うという、日本人独特の感覚だ。このことから、特に、4は、(し)ではなく、(よん)と発音されることが多いように思う。

 

⑤ まとめ

以上、見て来たように、現在の日本語での基数詞は、漢式を基本としながらも、4、7の所で、和式が併用される形になっていて、場合によっては、和式しか使われない時もある、と言う、複雑なシステムになっている、と言える。

 

今回の整理をベースに、次回は、いよいよ、厄介な助数詞についても触れることで、この春入学した小学校での、孫の苦戦ぶりに、思いを致すこととしたい。

 

 

(記事一覧)

漢字の世界―漢字遊び           (2011/2/28) 

  漢字の世界 その6 デザイン遊び     (2011/1/8)

漢字の世界―年賀状の中の名前       (2011/1/3)

漢字の世界 その4 柊の花        (2010/12/20)

広州アジア大会              (2010/12/4)

漢字の世界 その2 国名など       (2010/11/19)

漢字の世界 その1 塒という字      (2010/10/30)

 

日本語の表記 その4 ローマ字入力    (2010/8/27)

日本語の表記 その3 人名のローマ字表記 (2010/8/18)

日本語の表記 その2 たちつてと     (2010/8/8)

日本語の表記 その1 駅名は分りやすい? (2010/8/1)

 

 

 

 

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日本語での数表現ー基数詞 a

2011年12月15日 00時02分58秒 | 日記

2011年12月14日(水) 日本語での数表現―基数詞 a

 

 

国際的にも、日本語は、複雑で難しい言語の一つ、と言われる。当ブログでは、これまで、主に、日本語の表記や、漢字の世界について、いくつかの記事で触れて来た。

(末尾の記事一覧 参照)  

 

今回は、日本語での数表現について、述べて見たい。 この話題を取り上げた、一寸した理由は、以下である。

当ブログのプロフィールとして、孫が、小学校就学前に、書いてくれた似顔絵を使用しているが、この絵は、誕生日祝いに貰ったものだ。そこには、筆者の誕生日として

 3がつ 9にち

と書き込んであった。この、9にち とあるのを見て、“ここのか と言うのは、子供には難しいんだ” と思った。

 

     

  プロフィールの元絵                              部分拡大

 

 因みに、孫自身の誕生日は、

7がつ 21にち

なので、こちらは、なんら難しくは無い。

 このことが、長い間、気になっていたのだが、今回漸くにして、当ブログで、日本語での、数に関する話題を、取り上げることとなったものである。

 

物の本や、ネット情報によれば、言語の中で、数に関する言葉は、「数詞」と言われるようだ。 数詞は、以下の様に、分類される。

 

 

基数詞 数え方の基本となる数詞  日本語の例   英語等の例

1 2 3   one  two  three

序数詞 順序を表す数詞      2等 第3位   first  second  third  fourth 

                 第25回    twenty-fifth

反復数詞 回数を表す数詞     3度 17回  once  twice  thrice

three-times

集合数詞 複数のものからなる        3人組      duo  trio  quintet

          組を表す数詞  

倍数詞  何倍であるかを表す数詞 2倍  五重  single double  triple

soro  duet 

mono-  di-  bi-  tri-

助数詞  数える時の単位となる言葉  家1軒 木5本  one house   five trees

 

今回は、これらの中の、基数詞について、本稿で、触れることとしたい。

 

なお、序数詞、反復数詞、集合数詞、倍数詞については、例示の様に、日本語では、基数詞の1、2,3の前後に、

位、回、組、倍 

等の助数詞を付けて言うので、専用の言葉はない。然るに、英語等では、

   first , twice, trio, duet

など、全く別の専用の言葉が存在するのだが、これらについては、これ以上は触れない。

 

又、日本語の場合は、物を数える時に付ける、物の名前とは別の、専用の助数詞/接尾語があるので、厄介なのだが、英語等では、物の名前そのものを使うので簡単である。

この、助数詞/接尾語については、いずれ改めて、詳しく触れる予定である。

 

①数え方の基本ー基数詞

まず、数える時の基本となる基数詞について、述べて見たい。小学校1年の時、算数の時間に、

文字としての数字       例 4

言葉としての数詞(発音)   例 し

数の映像イメージ       例 ●●●● 

の3つが、明確に区別できるように、子供たちに、教えるという。

 

現在の日本語では、1~10までは、以下の様になり、

 

 数字  1  2  3  4  5  6  7  8  9      10 

 発音 イチ  ニ  サン シ  ゴ  ロク シチ ハチ ク・キュウ  ジュウ 

 

11以降については

 数字   11     12    13    14   ------------

 発音  ジュウイチ  ジュウニ  ジュウサン  ジュウシ ------------

 

 数字   21   ---- 41  ------- 71

発音  ニジュウイチ シジュウイチ  シチジュウイチ 

等となる。

このような数え方は、中国での、 漢数詞を基本とした数え方(以下漢式)に基づいてい

る。

表記する数字も、以前は、漢数字

    一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 十一 十二 --------

だったのだが、現在は、アラビア数字

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 --------

が、基本となっている。

 

②日本古来の数え方

日本には、古来からある、やまとことば(原日本語)での、以下の様な数え方(和語の

数詞 以下和式)がある。 

   数字  1   2   3   4   5   6   7   

発音1 ひい  ふう  みい  よ   い   む   なな    

発音2 ひとつ ふたつ みっつ よっつ いつつ むっつ ななつ

            みつ  よつ  いつ  むつ

                    

   数字  8    9    10

発音1  や   ここ   とお

発音2 やっつ ここのつ  とお

     やつ

発音1と発音2の、語幹は同じで、発音2は、発音1に、数を表す、○○つ を付け

たもの、と言える。

 

11以上については、調査不十分だが、昔は、以下の様に数えたという。

 17個=10(とお)とあまり7(ななつ)/10(とお)と7(ななつ)

 13日=10日(とおか)あまり3日(みっか)

 37年=30年(みそとせ)あまり7年(ななとせ)

このように、古来の和式では、桁ごとに助数詞を繰り返し、あまり をいれる等、かなり冗長である。

これに対し、漢式では、

17個=10(じゅう) 7(しち)個  

13日=10(じゅう) 3(さん)日

37年=30(さんじゅう)7(しち)年

と、数字を桁ごとに、基数詞で読み、最後にまとめて、助数詞/接尾語を付ければいいので、合理的で、極めて簡潔である。このようなことから、桁の概念が入る、11以上についての、和式の数え方は使われなくなっている、のであろう。

 先進文化圏であった中国から、後進国の日本に、漢語、漢字が伝わる以前の、日本の言葉(やまと言葉)がどのようなものであったかは、色んな研究や説があるようだ。

一説では、体系的な言葉は無かったとも言われ、仮名文字の発明等に見られるように、漢語、漢字の翻訳から、日本文化は始まった、という説もある位だ。当時の日本では、日常的に使う数詞としては、1~20位までしか無かった、とも言われている。

 

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原子爆弾と原発事故の放射能

2011年12月11日 23時04分20秒 | 日記

2011年12月11日(日) 原子爆弾と原発事故の放射能

 

 

丁度、今日から9か月前に当たる、この3月11日、巨大地震に起因する原発事故で、大量の放射性物質が、大気中や周囲環境に飛散し、広範な放射能汚染が引き起こされた。

終戦後66年が経過した、この8月の、広島、長崎の原爆記念日は、原発事故があったことで、いつもとは異なる時間となった。

その辺のことを、当ブログの以下の記事で触れている

  鎮魂の夏 その2 原爆と原発と (2011/8/21)

 

その後間もない、この8月の終わりになって、原子力安全・保安院から、広島の原爆と、福島の事故原発の両者の、放射性物質の飛散量を比較した試算値が、公表されたのである。

それによれば、最も危険な放射性物質である、セシウム137で比較すると、原発事故の方が、原爆よりも、なんと、168.5倍も放出されている、という、信じられない数字なのには驚かされた。

原爆は、死の灰や、黒い雨と恐れられたように、自分としては、原爆の方が、比較にならない位、深刻で、広範な放射能被害をもたらしている、と信じていたのである。前記のブログにも、そう、書いているのだ。

それゆえ、上述の資料が公表され、報道されて以来、このことが、ずーっと気になっていて、その内、良く調べて見ようと思っていた課題なのだが、今回、漸く取り上げた次第である。

 

先の公表資料等によれば、事故以来、すっかり有名になった、放射性物質の主な核種について、原発事故と原爆とでの放出量を比較すると、以下の様になる、と言う。

試算に当たって根拠としたデータは、原爆は、以前、国連科学委員会がまとめた数値、原発事故は、この6月に、炉心解析による試算値、のようだ。

単位TBq:テラベクレル(ベクレルは放射能を表す単位 

テラは1兆で、10**12)

 

  核種            福島原発事故      広島原爆  倍率

放射性セシウム137    15000TBq     89TBq 168.5

 (半減期30年)

放射性ヨウ素        160000TBq  63000TBq   2.5

(半減期8日)      

放射性ストロンチウム90    140TBq     58TBq   2.4

(半減期28年)

これらの数値は、この4月に、事故レベルを、レベル5から、レベル7に変更した時に公表された数値と、異なっているが、ここでは、気にしないこととする。

 

世界初の原子爆弾が投下されたのは、広島はウラン爆弾、長崎はプルトニウム爆弾と言われるが、原爆の持つエネルギーは、莫大なものだが、その構成比率は、厚労省のHPによれば、以下のようである。

 

即ち、爆風や熱線として、建物や構造物を破壊し、人体を傷つけ、各地に火災を発生させるのに、原子爆弾の85%ものエネルギーが使われたのである。 これらのエネルギーを、軍事用でなく、平和利用とすべく進められてきたのが、原子力発電であるのは言うまでも無い。放射線のエネルギーは、全体の、僅か15%でしかないのは、驚きである。

同サイトには、原爆投下時の、放射線量についての推定値が、公表されており、広島の場合は、下図になる。

 

爆心地から至近距離にある場所については記述が無いが、3.25kmの地点で、一般公衆の線量限界 1.0mSv/年 程度とある。福島の場合は、原発から20km圏の外でも、年間被曝量が20mSvを超える地点が多くあったことと比較すると、放射線量に関しては、福島の深刻さが窺える。

でも、広島、長崎の後、原子爆弾の開発が大幅に進み、上記サイトによれば、その後に開発された核爆弾の威力は、広島、長崎の、何万倍にもなり、放射線量では、何百万倍にもなっている、と言われるようで、核爆弾は、桁外れに、人類の脅威となっているのだ。

原爆投下から9年後の1954年、マーシャル諸島のビギニ環礁付近での、米国の水爆実験により、第五福竜丸が被曝したのは、爆風や熱線によるものではなく、放射性物質が降下した、いわゆる、死の灰によるものだ。

放射能や放射線量で見ると、原爆よりも、福島の原発事故の方が、ずっと、ずっと大きいと言うことを再認識するとともに、それだけ、復興までに、極めて、長い時間がかかることを、覚悟しなければならない。

 

放射線の人体への影響についての研究やデータの蓄積は、広島、長崎での経験は勿論のこと、米国スリーマイル島や、旧ソ連チェルノブイリでの、原発事故の経験やデータ、核実験に関するデータ等がある訳だが、これまで、公開されていない部分もあり、データ不足・事例不足で、放射能汚染に関する医学的な因果関係や、社会生活への影響等について、はっきりしないことが多いのだ。

今回の日本の状況は、言葉は不適切だが、進行中の、巨大な人体実験場、社会実験場と言え、原発事故後、福島や国内で進められている、放射能検査や規制、健康調査や、除染作業等の、経験やデータは、他では得られない、貴重なものとなる。

唯一の被爆国である日本にとっては、原発事故は、極めて不幸で、厳しい大事故なのだが、起こってしまった以上は、冷静に開き直って、これを機会として捉え、地道で継続的な、調査やデータ収集を、組織的に行うことである。

そこから得られる知見や情報を、後世への遺産として、今後の人類の、原子力をめぐる活動に、大いに役立つようにしなければならない。

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冬の苺

2011年12月08日 13時17分10秒 | 日記

2011年12月8日(木) 冬の苺

 

昨日の7日は、24節気の「大雪」で、寒さも一段と厳しくなってきた、この頃だ。そんな中で、この冬は、寒さに負けない苺(いちご)達の、嬉しいニュースがある。

10月上旬に、園芸店で、苺の苗4株を、買い求め、円形の鉢と、長方形のプランターに、それぞれ、二株づつ、植え付けた。来春に、開花して、実がなるのを楽しもう、との魂胆だ。

所が、土壌や日当たりが良かったのか、その中の1株が、10月末になって、開花し、可愛い実を付けたのである。

 

   花                           実

こんな寒い時期に、実がなるとは、思ってもいなかったのだ。実が、直接土に触れない様にと、枯れ草の布団を敷いて挙げた。途中で、駄目になるのでは、と思いきや、次第に実が大きくなり、最近では、鮮やかな赤に色付き、美味しそうになって来たのである!

 おいしそう!

うるさい鳥達に見つかり、食べられては大変と、家人が、黒い木綿糸を周囲に張って、ガードしてあげている。人様の方が、先に頂けますように、と願うばかりだ。

 

一方、長方形のプランターに植えた方は、当初は、盛んにランナーが伸び、狭い中で、あちこちに、根づいている。こちらの株も、その後、花をつけ、沢山の実がなっている。やはり、実も成長し、赤くなるだろうか。

 あちこちに伸びたランナー

ランナーから根付いたものは、その内、ポットに取って、北風が来ない、日当たりのいい場所に保管し、来春に定植すれば、結構、おいしい苺が、楽しめるかもしれない。

この震災で、被災地である、宮城県の名取市の苺ハウスが流されたが、周囲の協力で、苺の苗を何とか集め、再開にこぎつけられた、という話があった。 

苺の苗は、こんな風に、ランナーから作るのだろうか。

 

ここ数年、屋上庭園では、ブラックベリー、ラズベリー、タイベリー、イエローベリー等の、木苺類を楽しませて貰っている。

今回の、いちごは、草性だが、ストローベリーと呼ばれるように、木苺類とは、同じ、ベリー仲間として、来春、賑やかに勢揃い出来るのが、待たれるところである。

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大関 稀勢の里

2011年12月07日 23時52分29秒 | 日記

2011年12月7日(水) 大関 稀勢の里

 

 

この所、大相撲で、立て続けに、新大関が誕生した。一足先に大関になったのが、「万理一空」の琴奨菊である。これについては、当ブログの、下記記事で触れている。

がぶり寄りの大関誕生 (2011/10/5)

大関琴奨菊は、先の、九州で開催された11月場所(11/13~11/27)から登場し、緊張する初めての場所としては、11勝5敗という、立派な成績を残し、関係者をホッとさせた。

 

先場所での、もう一人の注目力士は、関脇稀勢の里である。稀勢の里は、先行する2場所の成績が、22勝で、大関の目安とされる、33勝を達成するためには、今場所で、11勝すれば、条件をクリアする事となっていた。

稀勢の里の所属する、鳴門部屋の師匠である、鳴門親方(元横綱 隆の里)が、場所直前に亡くなると言う、厳しい状況でのスタートとなった。

それもあってか、途中での、黒星も多く、14日目を終わって、10-4の成績であり、3場所通算で、32勝と、大関推挙の目安に、1勝足りないという結果である。

 

でも、日本相撲協会は、千秋楽の結果如何に関わらず、稀勢の里を、大関として推挙すると、公表したのである。直近3場所の成績と、数場所の相撲内容をみての判断である。

自分としては、稀勢の里の相撲ぶりは気にいっており、実力的にも大関の力は十分にあると思っている。特に、1年前の九州場所で、白鵬の連勝記録を止めた力量や、直前の9月場所で、白鵬を小手投げで裏返した一番は、他の、大関陣が不甲斐ない中で、白鵬と対等に渡り合える、白鵬に次ぐ力を持った力士だろう。

今場所の白鵬戦は、いいところまで行ったが、残念ながら、負けてしまった。これが勝てていたら、文句なしであっただろうか。

 

協会が、早々と大関推挙を公表した時、自分は、咄嗟に、千秋楽の琴奨菊戦で、八百長の疑いが持たれるのを、避けたかったこともあるのでは、と思った。

琴奨菊は、一足先に大関に昇進し、その地位で、既に10勝したのだから、千秋楽は、稀勢の里に負けてやってもいいのでは、という、温情もあろうし、世上も、それを、期待するかもしれない。

でも、実際に、琴奨菊が勝ったら、“あれは、八百長だったのではなかったか” という、批判も出てこよう。この所、八百長問題で振りまわされた協会としては、このような空気を避けたかったことも、あったのではないか。

これまでの相撲内容の素晴らしさは勿論だが、こんなこともあって、推挙の目安に1勝足りなくとも、大関に推挙するということを、決めたようにも思われる。

 

千秋楽の結果は、琴奨菊の勝ちに終わったが、都合で、テレビ中継を見られず、夜のスポーツ番組でも、見られなかった。決まり手は、あまり聞き慣れない、渡し込みとあり、映像を見られなかったのは、心残りではあるが、両者、思い切り戦った、熱戦だったと思う。この所、琴奨菊との対戦では、負けが続いている稀勢の里としては、悔しい一番だったろう。

 

予告通り、協会の臨時理事会で、稀勢の里は大関に推挙され、11月30日、鳴門部屋宿舎に使者が訪れ、その旨が伝えられた。

この伝達式では、どのような口上で受けるかが楽しみなのだが、稀勢の里関は、

「ありがとうございます。謹んでお受けいたします。大関の名を汚さぬよう、精進します」

と述べたようだ。

 (伝達式 ネットより借用)

この所、定番となっている4字熟語は出なかったのだが、周囲から勧められた口上に拠らずに、シンプルで、率直な思いを込めたかったようだ。

稀勢の里の相撲は、ガチンコ相撲などと言われ、まともに、正面から当たるのが多いようだが、新大関の、得意の組み手や技は何であろうか。

 

大関魁皇の引退後は、大関以上に、日本人力士が誰も居ないと言う、国技としては、異常とも言える、残念な状態であった。

先場所は、白鵬の9回目の全勝記録が達成できなかったのも、残念ではあるのだが、二人目の日本人大関が誕生した事は、やはり、嬉しい。 協会としても、少し、事を急いだようにも思えるがーー。

白鵬関一人が支える大相撲を、一日も早く解消し、来年の1月場所からは、横綱・大関陣が、互いに、堂々と渡り合い、“名を汚さぬ”熱戦が展開されてこそ、大相撲への国民の関心も高まると言うものだ。

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