ケイの読書日記

個人が書く書評

中野京子 「絵の中のモノ語り」 角川書店

2022-12-04 16:16:17 | その他
 提灯、煙草、百科事典、釘、案山子、箒、ホタテ貝、ワイン、バジル、猫、ハチドリ、蝶、ドラゴン、甲冑、日傘、長剣などなど、絵の中に描かれている32のモノとそれにまつわる物語

 32の絵画がドンと載っていて、それに関する文章は多くないので、すごく読みやすい。32の短編は、それぞれが独立しているので、どこから読んでもOK。ぱらぱらとページをめくって、気に入った絵の所から読んでも楽しい。

 その中で、私が一番印象に残ったのは、ルノワール「猫を抱く少年」
 ルノワールといえば、胸をはだけたふくよかな女性像を思い浮かべる。が、この絵の少年は、背中を見せ猫を抱きしめながら、顔だけこちらを向けたヌード像。この絵は、若き日のまだ印象派グループができる以前のピエール・オーギュスト・ルノワール(1841-1919)が描いた、後にも先にも唯一の男性ヌード像らしい。

 ルノワール自身は、丸々として健康的な女性ヌードが好きだったが、この絵は、誰か裕福な紳士が囲っている少年をルノワールに大金を握らせ描かせたのだろう。筆者の中野京子は「交差された脚が強調するヒップの丸みが妖しいエロスとなってたちのぼる」と説明しているが…そうかな?
 私、この絵を見て、そんな魅力的な少年には思えなかったなぁ。失礼な事を書くけど、脚が太い!! ダイコン脚!! 少年の脚とは思えない。私のように運動が不得手な女のドテ脚です。全体のバランスも良くないと思う。上半身がほっそりして、下半身がドテっとしている。確かに顔はキレイだけどね。

 そうそう、すね毛はないしわき毛もない。脱毛してる?あっても描かないんだろうか?ただ、体毛は現代では嫌われるけど、本来なら体臭と同じくセックスアピールに効果があったようだ。

1868年 油彩キャンバス 123.5X66cm 所蔵:オルセー美術館
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