ケイの読書日記

個人が書く書評

芥川龍之介「奉教人の死」

2013-08-08 11:26:55 | Weblog
 前回の志賀直哉といい、今回の芥川龍之介といい、どうしてこういう渋い短編を、最近よく読むのかというと、図書館にそういったコーナーが作られていたからです。

 そう、今、夏休みだから、読書感想文を書く子のために、こういった純文学系の短編作家の専用コーナーを作っているんだなと、勝手に類推している。

 読書感想文かぁ…、今もあるのかなぁ、自分の子どもの頃、夏休みの宿題の中で、読書感想文が最大の難関で、最後まで残っていて本当にイヤだった。
 今は、子どもも塾の夏期講習や部活で忙しいから…と、読書感想文の宿題が無いかもね。



 この「奉教人の死」は、芥川龍之介の有名な切支丹もの。奉教人というのはキリスト教徒の事。

 キリスト教が禁止になる前の長崎で、教会の前に捨てられていた子ども『ろうれんぞ』。彼が賢く美しい若者に成長すると、同じ教会に通ってくる娘に言い寄られるが、ろうれんぞは頑なにそれを拒む。
 そのうち、娘が妊娠している事が発覚。「父親はろうれんぞ」と告白したため、ろうれんぞは教会を追放され、貧民屈に身を落とす。

 長崎で大火事があり、大混乱に陥る人々。その時、娘の生んだ赤ん坊を、わが身を捨てて助けたのが、ろうれんぞ。人々は「わが子を救うために」と感動したが、焼けただれたろうれんぞの亡骸には、美しい2つの乳房が…。


 赤ちゃんを生んだ娘は嘘をついていたのだ。そして、ろうれんぞは、その罪を一人でかぶって放逐されたのだ。言い訳せずに。

 芥川龍之介のことだから、粗筋については、どこかにタネ本があるんだろう。
 しっかし、判らんかね。女だという事が。お城に住む若様じゃあるまいし、薄手のぼろをまとっただけなんだから、隠しようがないと思うけど。
コメント
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