「ホヤ」をご存じですか。海産の動物で、その形態から「海のパイナップル」といわれている。
九州人はまず知らない。一度だけスーパーの鮮魚コーナーで見かけた。手にしてレジに行くと、係のパートのおばさんが「これ、何ですかね」と訊く。
多分、買ったのは私ぐらいか。それ以来、スーパーで見かけない。そもそもその時にどうして仕入れたのだろうか。
ただ、知らないのは九州人だけではない。浜松町駅の近くに秋田屋という居酒屋があった。今でもあるかな。壁に「三陸名産 ホヤ」の貼り紙がある。注文すると店の従業員が「食べたことがありますか」と念を押す。注文しても「なんだ、この味は」と言って食べない客が多いそうだ。
北海道や東北では、ホヤの産地だけに知られた食材である。そうそう、ソウルの屋台でもあった。韓国語で「モンゲ」という。とにかく、酒の肴となる一品だから飲んべぇにはありがたい。
たしかに独特の味で形容しがたい。口に合うまでは時間がかかる食べ物だ。タイで初めてパクチーを食べて顔をしかめた敬遠したが、今ではパクチーは大好物だ。ホヤもそんなものだ。
今年も宮城県三陸町の鮮魚店からカタログが届いた。早速、注文しよう。