本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

代用漢字

2019-12-09 08:58:48 | Weblog
 過日、PISAの調査結果で日本の読解力が急落して大きな問題となった。ただし、書物や新聞を読んでいた人たちの読解力に落ち込みがなかったそうだ。
 それで新聞の記事は鬼の首をとったようにはしゃいでいた。でも、その新聞にちょいと文句もある。

 新聞は常用漢字から11文字を捨てた。「謁、虞、且、箇、遵、但、腸、朕、附、又、濫」がそうだ。
 たしかに法律用語に使われているので常用漢字に残っているが、ほとんど使わない漢字もある。とはいえ、代用漢字が大手を振っていいものか。読解力の妨げになる。

 「附」が「付」に代用された。「附」は主要なものに付くという意だから附則、附録、附随であり、附帯事項や附属高校となる。付属ではしまりがない。一方「付」は与える、授けるという意であるから交付、配付、給付がそれなる。

 「濫」が「乱」に替えられた。「濫」は、みだりに、むやみにといった意で、濫用、氾濫、濫伐に用いる。「乱」はごたごたすることで乱世、反乱、騒乱の用語になる。乱用ではごたごたするだけだ。

 「遵」を「順」に置き換えた。「遵」は遵法、遵守など法令に従うこと。「順」は従順、順応などでわかるように、よりそうことだ。順守では間が抜けている。

 「虞」は心配や憂いのこと。「恐」は恐いから恐怖の用語になり、おそれという意味から恐縮に使う。「宝くじを買えない恐れがある」は恐いわけではなく、買えない心配である。 
 「日本語が乱れる虞がある」のであって「恐れがある」のではない。
 
 マスメディアの影響が大きいのでディファクト・スタンダードにされた感がある。