本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

ムササビの判例

2013-04-11 09:57:47 | Weblog
 明治40年に制定された刑法第38条第2項に「罪本重カル可クシテ犯ストキ知ラサル者ハ其重キニ従テ処断スルコトヲ得ス」とあった。
 こんな文語調では意味を理解しにくい。というわけで平成7年に刑法が全面改正になった。同じ条文は「重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはではない」としている。
 意味は分かりやすくなったが、格調の低い文になった。

 この条文で面白い判例があった。ムササビはある地方の方言で「もま」というらしい。
「被告は「もま」を法律で捕獲を禁じたムササビであることを知らず、これを捕獲しても罪にならないと信じて捕獲したときは法律の不知に該当するもので、罪を犯す意なしとすることはできない」という主旨で有罪としている。

 よくわからない判決だ。どうやら、ムササビは禁猟動物と知っていたが、この地方に住む被告が「もま」はムササビの方言と知らなかったとするのは不自然だということらしい。

 ならば、他国者が「あれは「もま」という動物です」と教えられて、ムササビとは違うものと認識して捕獲した場合には罪は問われないことになる。
 法の下の平等に反する気がする。