golf130のクラシックお笑い原理主義

オッサンのしがない日常や妄想話とその日聴いた音楽。

音楽による殺人は可能か?

2008-04-26 22:35:02 | Weblog
可能かもしれませんね…。

推理小説でクラシック音楽がトリックに使われることが稀にあるようです。

未読ですが、交響曲の音の一撃が起爆剤となって爆弾を破裂させたりなど。

一方、推理小説の殺人トリックには、何らかの心理的方法で「自殺に追込む」というパターンもあります。

自殺せざるを得ない、自殺したくなってしまうという状況を作り出す訳です。

アラン・ペッタション(1911~1980)の交響曲は、こういう凶器になり得る危険性を秘めた作品です。

このスウェーデンの作曲家は、ストックホルムのスラム街に生を受け、貧困とアル中の父親の暴力など悲惨な少年時代を過ごしました。

その後、努力を重ねオーケストラに入ったが、重度の関節炎でビオラ奏者の道を断念せざるを得なくなる。

楽器演奏のみならず、この病は、作曲のペンも握れない痛みで彼を苦しめました。

思い腎臓病やガンも患い、生涯に平穏な時はほとんどなかったようである。

彼の一連の交響曲は悲痛の連続。16番まで作曲したが1番は破棄されたので15曲。この中で、5番以降が悲痛シリーズのように呼ばれています。

私が所有しているCDは、3,4,6,7,13番。残念ながらそれ以外は聴いたこと無い。

3,4番は、悲痛シリーズ前なので、まだどうということは無いが、6,7,13番はなかなかに強烈悲痛です。

クラシックの紹介本で、シューベルトの「冬の旅」のことを、クラシック音楽の中でもトビキリ暗い曲、みたいに紹介してあるのを読んだことがあるが、チャンチャラ可笑しいわい!

ペッタションの交響曲に比べれば、ウキウキ楽しいお気楽音楽みたいじゃねえか。て、ことはないけど、要はその位、真っ暗な曲なのである。

「交響曲第13番」
フランシス指揮BBCスコットランド響(cpo盤)

ペッタションを知ったのは何のキッカケかは失念したが10年ほど前。

或る日、会社から帰宅の電車で6番の交響曲を聴きながら来ました。

風邪気味だったのですが、暗く救いの無い音楽が症状を悪化させたのか、発熱による悪寒で、やっと自宅に辿り着きました。

床に就いてからも、悲痛な音楽が頭の中で鳴っていて辛かったですね。

その後、7,13番を知ったが、それはまた凄かったです。

7番は構成的には整っていますが、暗いところと、真っ暗なところが連続して、たまに真っ黒な雲間から微かな幻の様な光が差す、といった音楽。

今晩の13番は、暗さに加え、ちょっと壊れ掛けた感じの曲。

単一楽章、67分。音楽語法的には、現代というより近代の枠内の感じだが、壮絶な悲痛さの連続。

この曲に限らず、心身ともに安定している時で無いと聴けない作曲家です。

だから、殺人の凶器になる危険性もあるかな?

落ち込んでいる人を暗い汚い部屋に閉じ込め、ペッタションの交響曲を聴かせ続ける。

悲痛、悲惨、絶望、病苦、不幸…こういう感情に満たされ、自殺に追い込まれてしまう?

いや、結果は逆かもしれませんね。

凄惨な境遇の中を生き抜き、巨大な交響曲などの作品を残したペッタション。彼の生への強い意志、パワーを貰い、強靱さを身に付けるかもしれませんね。

この13番は悲痛さの反面、そのようなパワーも感じる曲です。

いずれにしても「取扱注意」の曲ですが、興味の或る方は聴いてみてください。


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