一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

経済原則には経済原則で

2008-08-19 | よしなしごと

サンマ漁船230隻、一斉休漁 燃油高騰で苦境アピール
(2008年8月18日(月)11:18 朝日新聞)

全国のサンマ漁船約230隻が18日、一斉に休漁した。燃油の高騰で経営が苦しい現状を訴えるのが狙い。今後数日はとれたての新サンマがやや高くなる恐れがあるが、休漁は1日だけで冷凍サンマが店頭に並んでいるため、食卓への影響は大きくはなさそうだという。

これ、マスコミの一時的な話題にはなっても、誰に対して何を訴えるのかがいま一つ明確でないので、そのうち忘れられてしまいそうですね。
ニュースを聞く側にも赤字だけど契約があるから休めないよ、という人も多いと思いますし。

いっそのこと日本の市場・消費者が安値しかつけないのなら国内に卸さずに中国に持っていって高値で売るぞ、というようなことをしたほうがいいのではないでしょうか(サンマは中国人の嗜好に合わないとか冷凍して輸送するコストの問題とかあるのかもしれませんけど。)。
みんなで燃料費高騰を嘆きあうよりは、資源価格高騰に耐えられる経済力をつけないと国がじり貧になる(そのうち日本人は魚を食べられなくなって、中国の加工食品の残り物しか食べられなくなる)ということを意識すべきなのではないかと。


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『イタリア的』

2008-08-18 | 乱読日記

日本での(そして北欧・北アメリカ人の)イタリア人に対するステレオタイプのイメージの背景には、「悪いことを外部に見せない、楽しいことだけを見せる」というイタリア人の特徴があり、その根底にあるイタリア人の心性を描こうとする本です。

僕としては今まで読んだことのない切り口の本で楽しめました。

著者のランベッリ氏はイタリアで東洋研究で博士号を取得し、アメリカで教鞭をとった後、現在は札幌大学の比較宗教論、文化記号論、日本宗教・思想史の教授をしている人です。 

著者曰く、イタリア人には「途上国のエートス」があり、現代にあってもなお多くのイタリア人は精神的には貧しく権威主義的な社会、植民地化された途上国に生きている、といいます。
それが能動的な不信、イタリア語でフルビツィア(furbizia)と言われる権威、権力への不信の文化・生活の知恵につながります。
家族や友人という「身内」のネットワークの外にいる人も不信の対象であり、イタリア人の特徴とされる「明るさ」はそれらを操り、利用するための武器でといいます(イタリア人同士だと文化的コードを知っているのである程度信用できる明るさとできない明るさの区別がつくそうです。)。

また著者はイタリアのマルクス主義思想家であるアントニオ・グラムシの

理性の悲観・意志の楽天

という言葉を引いてイタリア人の悲観主義には「受動的運命論の拒否」という特徴があり、イタリア人は悲観主義者なのに(だからこそ)自分の人生や社会を絶えず変えようとする「変化への憧れ」があるといいます。
そしてタフな状況を生き抜く知恵、イタリア語でいうarte di arrangiarsi(直訳すれば「うまく切り抜ける技術」)、外部から見たズルさにつながるといいます。


著者はイタリアサッカーの象徴する「カテナッチョ」もイタリア人の悲観主義の象徴として説明します。

1950~60年代にはイタリア人選手は栄養が低い食事しか取れず、背が低く、北欧や南米の強豪チームとは体格的にも技術的にも劣位で、それを乗り越えるためにカテナッチョという方法が工夫されました。

 カテナッチョは本来厳しい守備だけではない。勢い込んで攻撃する相手に対して、相手が気づかないうちに逆襲するのがポイントである。つまりサッカー場における「狡猾さ(フルビツィア)」そのものである。(中略)相手が強くて対等には闘えないので、自分の仲間を守りながら相手の弱点を利用してやっつけるという方法。この意味でカテナッチョもまた、先述した社会的レベルでの当局や権力に対する不信と家族主義、国際関係上でのイタリアの途上国の意識と同様に、「無力な人の力」のひとつの表象と言っていだろう。
 戦前、イタリアはサッカーワールドカップを二連覇したが、そのときは上述した身体的な劣等感と同時に精神的な優越感が働いていた。(中略)
 しかし、現在イタリアは明らかに途上国ではない。そこにまさに今のイタリアの大きな問題の一つがある。時代遅れの心性や社会の幻想がそれを生んだ状況が克服された後にも生き残り、現在の状況に合わなくなってしまっているのである。サッカーもそうである。80年代以降イタリアはサッカー大国になり、他国の代表の方がイタリア代表に対して劣勢を感じだした。そして彼らがイタリアに対して行うカテナッチョに、イタリア代表はうまく対応ができなくなってしまった。チームのメンバーはそれぞれチャンピオン選手だが、チーム全体としての考え方にはおそらくなんらかの形で昔の劣位感が残り、今なおサッカー場での力関係の逆転を追及し続けているようである。この場合もイタリアの「狡猾さ」は自己破壊に結びつく。

現代イタリア社会の問題をサッカーの代表に託してかたるあたり(そしてサッカー代表のほうをより心配しているように見えるあたり)はさすがイタリア人ですねと言ったら怒られそうですが(笑)

 

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ダレガプロ?

2008-08-17 | あきなひ

ウチはアーバンコーポレーションとは違いますよ、という面白いリリースが一部で話題になっているようです。

株式会社アルデプロ(8925:マザーズ)
当社の無担保転換社債型新株予約権付社債に関するお知らせ
(平成20年8月14日)

当社は、第2回CBおよび平成19年8月28日にGSTK4を引受先として発行した第1回無担保転換社債型新株予約権付社債について、ゴールドマン・サックスおよびGSTK4を含むゴールドマン・サックスの関連会社との間で、当該各社債要項に記載される条件を変更することとなり得るスワップ契約および当社の買戻義務を定めたその他いかなる契約等も締結しておりませんので、お知らせいたします。

ちなみにアルデプロ社の株価の推移はこんな感じです。


風評被害に巻き込まれたくない、というリリースだとは思うのですが、こう書かれると(第三者との三角スワップとか、社債要綱の条件を変更しない契約は結んでいるのか、という揚げ足取りはさておき)、ではこちらはどんな社債なんだろうという興味がわきます。

そこでアルデプロ社の
第三者割当により発行される転換社債型新株予約権付社債の募集に関するお知らせ
(平成20年8月6日) を見ると

第1回CBの発行以降、不動産業界を取り巻く環境は大幅に変化したものの、①サブプライムローン問題に端を発した不動産業界全体の混乱が一巡した後に、当社の不動産再活事業に対する中長期的な需要の高まりが期待できること、②当社の保有物件の将来的な売却により収益寄与が期待できること、についてゴールドマン・サックスの理解を得ることができたため、第1回CBの発行総額と同額の第2回無担保転換社債型新株予約権付社債(以下、「第2回CB」といいます。)をGSTK4を引受先として発行し、第2 回CBと平成20年8月27日に償還期限を迎える第1回CBを相殺することを決定いたしました。

おいおい、昨年発行した社債の償還資金がないのでジャンプしてもらったんじゃないか・・・

2. 調達する資金の額および使途第2回CBの発行総額は10,002,720,000円であり、これを平成20年8月27日に償還期限を迎える第1回CB(総額10,002,720,000円)と同日に相殺いたします。このため、新たに調達する資金はありません。

と、アーバンコーポレーションとは違うといっても威張れる内容ではありません。

第1回の転換価額33,600円が今回は3,850円になり、潜在株式が297,700 株から2,598,100 株になったわけで、発行済株式数4,217,839株ですから全部転換されるとGSは38%の大株主になります。

ただEDINETを見ると、転換社債自体は株式分割又は株式無償割当て以外は転換価額の修正がないのでMSCBでもなく、利率も0、発行価格も額面100円につき金100円、転換価額も前日の終値と、このご時勢かなり有利になってます。

これは想像ですが、GSとしても昨年のCBの引受けの目論見がはずれたので、いま社債の償還ができずにデフォルトされるよりは1年つないで回復を待つか、資金繰りに詰まったら第三者割当てで子会社化してどこかの会社とM&Aさせる等で資金回収を図る、というシナリオなのではないでしょうか。

既に昨年の時点で社外取締役としてGSのMDを送り込んでいるようですし。(昨年10月の定時株主総会の招集通知参照。この人は三洋電機やイーモバイルの社外取締役にもなっているようです。)意に沿わないこと(民事再生とか)をしようものなら・・・というにらみを利かせているのではないかと思います。

アルデプロ社のHPによると、社名の由来はつぎのとおり。

ARDENT 『熱心な、熱烈な、火のような、燃えるような、熱い、輝く等・・・・』の意味。
 そのような火のように燃え、輝きつづけるプロ集団でありたいとの願いを込め、私たちは社名を『ARDEPRO』といたしました。

ぜひとも投資銀行のプロであるGSに食い物にされて燃え尽きることのないように会社経営のプロとしてもがんばってほしいものです。


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大量の大量保有報告書

2008-08-16 | あきなひ
昨日のアーバンコーポレーションのエントリのつづき

件の7月7日の大量保有報告を見ると、担保の実行にともなう売却(前のエントリでは代物弁済で金融機関に取られたのかと思ったら売却していたんですね)は以下の通りです。

6月23日 150,000株 0.07%
6月24日 467,300株 0.21%
6月25日 500,000株 0.22%
6月26日 150,000株 0.07%
     CB発行の開示
6月27日 732,700株 0.32%
7月1日 2,000,000株 0.88%
ここで累計1%超→5営業日後の7日に大量保有報告書提出義務が発生。
7月2日 2,000,000株 0.88%
7月2日 15,000株 0.01%
7月3日 2,000,000株 0.88%
7月4日 12,800,000株 5.64%
7月4日 2,000,000株 0.88%
7月4日 2,000,000株 0.88%
7月4日 3,000,000株 1.32%
7月4日 500,000株 0.22%

CB発行の開示の前の売却はちょっと微妙な感があります。

これによって、売却前37,390,600株あった房園氏の保有株数は、28,315,000株売却して9,075,600株にまで減少したことになります。

ただ、このあと房園氏からは7月10日に変更報告書14本訂正報告書4本が一挙に提出されています。
訂正・変更の大部分が「当該株券等に関する担保契約等重要な契約」の部分で、当初の報告書には何も書いていなかったので、東証のほうから「担保の実行」だけじゃ誰に対するどういう担保に入ってたんだ、という指摘があったのでしょう。
しかも、相当混乱していたようで、重複がかなりあります。
(担保提供していた時点で大量保有報告書の変更が必要だったので小分けして出したということでしょうか?)
暇にあかせて解読してみると(正確性に自信なし)、こちらのようになります。

これを見る限りでは、真っ当な金融機関の借り入ればかりのようです。
見慣れない名前だと「ウツミヤ総合サービス」というのがありますが、名前からだと広島の地場のウツミ屋証券の関係会社ではないかと思われます(ただ、ネットで社名を検索しても出てこないしウツミ屋証券のHPにもグループ会社として出てきていないのはちょっと微妙かも)
さすがに東証一部上場企業なので、広島湾の牡蠣の肥やしになりたくないので売り抜けて返済に回しました、ということではなさそうですね。
まあ、もしあったとしても表には出ないのでしょうが・・・


ただこの集計によると担保提供している株式が12,138,000株と保有株数よりも多くなるのですが(あと、細かい話だとUBS銀行東京支店については大量保有報告だと「合計6,660,000株」となっていたりします。計算間違いかもしれませんが。)
金融機関は文句言わなかったんでしょうか。
それともやはり記載ミスがあったとか?


このへんの一連の取り引きは、いずれお沙汰があると思うので、実態の解明はそちらにまかせましょう。

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保岡、太田、野田、とかけて

2008-08-15 | まつりごと

首相、靖国参拝見送り 中韓両国への配慮した形
(2008年8月15日(金)19:53 共同通信)

 終戦記念日の15日、福田康夫首相は昨年の安倍晋三前首相に続き靖国神社参拝を見送った。現職首相の靖国参拝に反対している中韓両国に配慮した形。閣僚で参拝したのは保岡興治法相、太田誠一農相、野田聖子消費者行政担当相の3人。

今日は都内の道はガラガラだったのですが、靖国通りだけは神保町から市ヶ谷にかけて終日渋滞だったようです(タクシーのカーナビで渋滞情報を見せてもらいました)。

参拝した現役閣僚の顔ぶれを見るとカラーは相当違う(特に「やかましい」の太田農相と野田消費者行政担当大臣の組み合わせは面白い)ので、靖国という補助線も自民党内でけっこう微妙なところを通っているのかもしれません。

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紙切れを償うに紙切れをもってせよ

2008-08-15 | あきなひ

引き続きアーバンコーポレーションの件

7月7日のリリース
主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ

1.異動が生じた経緯
当社の筆頭株主である当社代表取締役社長房園博行が個人として金融機関9社に当社株式を担保提供していましたが、当該金融機関のうちの6社において担保権が実行され当社株式が売却されました。それに伴い、房園博行個人より主要株主である筆頭株主に該当しなくなったとの連絡が当社になされたことによるものです。当社は、房園博行個人を提出者とする大量保有に関する変更報告書を本日財務局に提出するとの連絡を受け、本件開示を行なうものです。

5.代表取締役房園博行からのお詫びならびに報告
当社株式を担保提供することになった経緯につきましては、個人としての金融商品への投資ならびに所有を目的とする不動産の取得のほか、一部ベンチャー企業への投資に伴い複数の金融機関より資金の融資を受けていました。しかしながら、当社株価の下落に伴い担保提供の追加が必要となり担保となる当社株式が増加しました。金融機関による担保権の行使に際し、可能な限り当社株式の売却を避けるための方策を模索しましたが、結果的に個人が保有する当社株式の売却という事態にいたりました。

個人で受けた融資について担保が実行された、ときけば一見気の毒にも見えますが、6月26日にパリバへのCBの発行を発表して、株価が高いうちに売り抜けた、とも考えられます。

また、担保の実行をした金融機関は株を換金するわけで、12.6%、2800万株もの売りが出れば、(この時点では公表されなかった)スワップ契約の「下限株価」を下回ってCBで調達してパリバに還流した資金が目論見どおりには回収できなくなることは当然予想されます。


一連の行為が会社存続のための(公正な)努力、とはなかなか思えなくなってきます。

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「私は既に死んでいた」と言われてもねぇ

2008-08-14 | あきなひ

アーバンコーポが再生法を申請、今年最大の倒産で負債総額2558億円
(2008年8月13日(水)19:15 ロイター)

当社の民事再生手続開始の申立てに関するお知らせ

・・・しかしながら、米国におけるサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融市場の混乱及び信用収縮、これを受けた日本の不動産投資市場の沈静化により、昨年末以降、当社は、新規融資による資金調達や短期借入金の借り換えが困難となるとともに、開発済不動産の売却も困難な状況に陥りました。

2008年3月期の有価証券報告書を見ると、SPCを使った不動産開発の棚卸資産=ノンリコースローンの対象が本体の倍もあるので、「当社の借り換え」が困難になったのではなく、そっちのリファイナンスがつまったのでは、とか「ノンリコース」なんだから資産を捨ててデフォルトさせてしまえばいい、というわけにもいかないというのがビジネスモデルの構造としてあるんじゃないか、というあたりも興味があるのですが、それよりもまずいんじゃない?というのが

(訂正)「2010 年満期転換社債型新株予約権付社債の発行(第三者割当)のお知らせ」

【訂正箇所】
2.調達する資金の額及び使途
(2)調達する資金の具体的な使途
(訂正前)
本件取引により調達する資金につきましては、財務基盤の安定性確保に向けた短期借入金を始めとする債務の返済に使用する予定であります。
(訂正後)
本件取引により調達する資金につきましては、割当先との間で締結するスワップ契約に基づく割当先への支払に一旦充当し、同スワップ契約に基づく受領金を財務基盤の安定性確保に向けた短期借入金を始めとする債務の返済に使用する予定であります。
【訂正の理由】当社は、BNP Paribas S.A.(以下「BNP パリバ」といいます。)を割当先として2010 年満期転換社債型新株予約権付社債(以下「本新株予約権付社債」といいます。)を発行するに際して、発行時の2/6状況下における資金調達及び資本充実の高度な必要性等を踏まえ、BNP パリバと協議の上、BNP パリバとの間で、平成20 年6 月26 日及び7 月8 日にそれぞれスワップ契約(以下あわせて「本件スワップ契約」といいます。)を締結しております。
(中略)
当社は、上記のとおり、本新株予約権付社債により調達した300 億円を一旦本件スワップ契約に基づくBNP パリバに対する当初支払に充当しつつ、上記のような本件スワップ契約の特徴から当該支払後直ちに日々相当額の支払がBNP パリバから短期間でなされることを想定し(当時の株式出来高から7 月8 日付スワップ契約に基づくBNP パリバからの支払は1 ヶ月程度ですべて行われると想定)、当該支払を受ける都度短期借入金を始めとする債務の返済に使用することとしていたために、本件お知らせにおいては、かかる最終の使途のみを開示いたしました。しかしながら、本件スワップ契約において、出来高加重平均株価の算定の基礎となる当社株式の価格に一定の下限が設定されていたところ、当社の市場株価が本件スワップ契約締結時の当社の想定を超えて大幅に下落したため、本日までの本件スワップ契約に基づくBNP パリバから当社に対する支払額は、当社の当初の想定を大幅に下回っています。
(中略)
当社は本日民事再生手続開始の申立てを行いましたが、当該申立ては、本件スワップ契約の終了原因に該当し、その結果、本件スワップ契約に基づくBNPパリバからの支払いを当初の想定どおり当社債務の返済に充当することもできないことが確定するとともに、本件スワップ契約に基づき当社に58 億円の営業外損失が発生することが確定しました。

この社債を発行当時は、アーバンコーポレーションの株価にとってpositiveなニュースとして受け止められていたと思うのですが(当時あまり詳しくは見てませんでしたが)、同日付のスワップ契約で資金を還流しているというのを黙っていたとしたら、適時開示の問題以上に風説の流布(不利益な情報を流布しなかった?)にはならないのでしょうか。

しかも上記リリースの末尾のスワップ契約の概要を見ると「各計算日において当社株式が下限株価以上で取引した取引のみから計算した売買高加重平均株価」をベースに支払額が計算されることになっています。
この下限株価は250円(7月25日までは175円)です。

ところが実際の株価の推移はこのようになっていて


 

ほとんどの期間で下限株価にヒットしていて支払いがなされていなさそうです。
そればかりか、社債発行当時の株価自体が下限株価に近く、そもそもこの契約の経済合理性には疑問があります。
また下限株価を社債発行当初だけ低く設定していることも、この社債発行によって株価が上昇するという「一発勝負」にかけた感じがします。

ここにきてさすがにまずいと思ったのか、民事再生を申し立てるにあたって申立で代理人弁護士から言われたのか、同日付の平成20年度第一四半期の決算短信にも後発事象としてちゃっかり書いてあります。



ライブドアMSCBは社債の発行条件として転換価格調整のメカニズムが織り込まれていたので届出や開示の対象になり、その調達の是非(巧拙)が話題(+市場のターゲット)になりましたが、その轍を踏まずに裏側でスワップ契約を結ぶことで開示を逃れて起死回生を狙ったように思えます。


同社の「不動産流動化事業」のキャッチフレーズは

あらゆる角度から、他にない価値を創造すること。

のようですが、ちょっとやりすぎのようで。

 

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今日もいい天気

2008-08-13 | よしなしごと

お盆休みということで昔話など。

先日のエントリで「天才バカボン」のアニメの主題歌の歌詞を聞き間違えていた、という話をしましたが(・・・みたいな。さん、ナイスコメントありがとうございました。)、「サザエさん」のアニメの主題歌にも子供心にひっかかるところがありました。

その場所はアニメでは2番として歌われている冒頭(正しくは3番の歌詞のようです。歌詞全文はこちらを参照)  



♪  
買い物しようと街まで出かけたが 
財布を忘れ 愉快なサザエさん


ここを日本語として普通に読むと、サザエさんは自分で財布を忘れたことに気がついて、愉快な気持ちになっている、ということになります。
「あら、いやだ。財布忘れちゃった。ふふふふふ・・・」ということですね。
でも、それはちょっと能天気すぎないでしょうか。

ここは、一番の  



♪  
お魚くわえたドラ猫 追っかけて 
はだしでかけてく 陽気なサザエさん


同様、そういうそそっかしいところがあるサザエさんを第三者が見て愉快なキャラクターだと言っているのだと思うのですが、そうだとすると「て」というのは言葉遣いとしておかしくないでしょうか。
それなら「財布を忘れる」の方が正しいように思います(でも、こっちは歌うには語呂がよくないですね。)。


ということで、このフレーズを聞くたびに「財布を忘れてもそれを愉快と感じるpositiveなサザエさん」と「おっちょこちょいのサザエさん」の間で揺れ動く私であります。



余談ですが、今回初めて気がついたのは、正式な歌詞が「出かけた」でなくて「出かけた」であること。
この辺の口語文語の混在も意図的なのでしょうか。



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グルジア問題のメモ

2008-08-12 | よしなしごと

ロシアとグルジアの軍事衝突について、背景を説明している記事があったのでメモ代わり。

やはり欧米の方が利害関係者でもあり関心は大きい、というか、もともとグルジアのNATO加盟問題も大きな火種だったわけで、和平の仲介役として名乗り出るわけにも行かないし、国連も安保理の常任理事国であるロシア相手に有効なカードは切れないところが難しいです。


傷ついたプライドのせいで発火、南オセチアの偶発戦争――フィナンシャル・タイムズ
(フィナンシャル・タイムズ 2008年8月10日初出 翻訳gooニュース)

この軍事衝突の原因となったのは、グルジアのきわめて親欧米的な態度であり、何としてもNATOに加盟したいという決意のほどだ(米国はこれを応援しているし、4月にブカレストで開かれたNATO会議で事実上承認されたも同じだった)。ロシアは今回の戦いを通じて、グルジアやウクライナのような国々は、NATO加盟が許されるような信頼のおける国ではないと見せつけようとしているのだ。さらには、旧ソ連領内の秩序を維持できるのは(その手段がいかにむごたらしいものでも)、ロシアしかいないのだと、改めて誇示するという目的もある。

そしてもうひとつ、この戦いは「敬意」のための戦いなのだ。米国やEUの指導者たちがロシアを見下している状況にあって、プーチン氏はロシアが本来受けるべき敬意を再び勝ち取ろうと、そのこと一点に執着している。そしてプーチン氏は特にサアカシュビリ氏を、不快に思っているのだ。  

・・・グルジアが国際的に批判されてきた最大の要因は、アブハジアと南オセチアの問題で、サアカシュビリ氏はどうもこの2自治州と折り合いがとれずにきた。  

・・・本当ならグルジアは、ロシアの最も忠誠な友好国となるべきだったのに、と。そうすればロシアは喜んで、(グルジアの)分離独立勢力などさっさと見捨てたものを。  

しかしだからといって、グルジアの友好国や同盟国に何ができるだろう? プーチン氏はグルジア支援を口にする欧米諸国のはったりを見抜いた上で、だったら何とかしてみろと突きつけているのだ。ジョージ・W・ブッシュ米大統領は、グルジア軍の育成のため、装備と訓練人員を大量につぎ込み、NATO加盟の後押しをしてきた挙げ句、今や手をこまねいているしかないほど現状に対して無力なのだ。

今年の4月・5月くらいに最初の緊迫した状況があったようですがそのあたりはfinalventの日記に参考になる記事があります(こちら

ちょうどその頃僕は呑気なエントリを書いていました。
ニュースの背景事情や情勢の緊迫感についての感度が低すぎですね(汗)


 

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休日はオリンピック

2008-08-11 | よしなしごと
オリンピックのテレビ放送を見るとはなしにつけていると、普段は見る機会のないスポーツに触れることができるのがいい点ですね。

「オグ」と「シオ」の区別ができるようになったりとか。


昨日は女子のグラウンドホッケーとボートの二人乗り(何ていうんだっけ)をやってました。

グラウンドホッケーはスポンサー探しに苦労したという話があり、選手も本業を抱えながら競技を続けているというエピソードが紹介されました。
中で、「大分県で教員をやりながら」というのがあったのですが、美談のときにあえて大分県を出さなくてもよかったような・・・

ボートは漕ぐ人数で「軽量級」「重量級」という言い方をするのを知りました。
中国の健闘が光っていたのですが「ボートでも中国の強化が目立ちますね」のコメントに別の「ボウト」を想像してしまった僕はバチあたりでしょうか。


昨日は女子柔道の中村選手が良かったですね。
何しろあの悔しがり方がいい。
競技人生の集大成として臨む選手と、これからも上を目指す選手の違いというのを目の当たりにしました。
この選手はもっと強くなりそうです。


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『アラバマ物語』

2008-08-10 | 乱読日記
休みを利用してようやくハーパー・リー『アラバマ物語』を読みました。

映画『カポーティ』→カポーティの小説『冷血』の流れで購入したものです。
ハーパー・リーはカポーティの幼馴染で『冷血』の取材旅行にも同行し、また上の映画では本作の大ヒット(と出来のすばらしさ)にカポーティがショックを受ける様子が描かれています。

原題は"To Kill a Mockingbird"。
1960年の作品で、ベストセラーとなり、1961年度のピューリツァー賞(フィクション部門)を受賞し、アメリカ文学の名作として今でも読み継がれているそうです。
また、グレゴリー・ペック主演で映画化もされています。

Amazonから届いたら、本の版型・装丁がペーパーバックと同じでちょっと驚き、出版社が暮らしの手帳社というのも意外でした。
また、400ページの二段組というボリュームにも恐れをなして、今まで後送りにしていたのですが読み始めたら一気に読了。
「いいものを厳選する」という暮らしの手帳社の選択眼はここでも健在でした(平成18年4月24日で35刷を重ねています)。


夏休みにオジサンの心の洗濯になるような良書でした。
正直言って、もっと早く、それも中学生か高校生の頃に読んでいてもよかった、と思いました。


物語は1930年前後のアラバマの田舎町を舞台にしています。
婦女暴行の罪に問われた黒人の弁護士の9歳の娘の視点から、黒人差別、大恐慌の影響、白人の貧困層、田舎の人々の因習などが描かれています。

テーマの普遍性やストーリー展開の見事さもさることながら、1960年の時点の常識や正義感から30年代のDeep Southを断罪することなく、あくまでも主人公である娘で語っているところがこの作品の魅力です。
「黒人差別はいけない」という大上段の構えでなく、また、「純粋な子供の視点」というようなステレオタイプな描き方でもなく、しばしば大人の言うことに反発したり素朴に疑問に思ったり、そもそも言うことを聞かなかったりする、好奇心旺盛で、意地っ張りで、でも気分が変わりやすく、そしてちょっと覚めていたりずるがしこいところもある9歳の女の子の視点から、ぶれずに一貫して描いているところです。

それが、本書を単なる昔話や道徳の本(あらすじだけ読むとそう思えます)でなく、時代を超えてリアリティを持って迫ってくるロングセラーにしていると思います。



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首都高速の事故 続報

2008-08-09 | よしなしごと

首都高速の事故の続報。


首都高、全面復旧に数カ月
(2008年8月9日(土)01:53 朝日新聞)

東京都板橋区の首都高5号線で起きたタンクローリー炎上事故で、首都高速道路(東京)は8日、補修には橋げたの架け替えが必要で、全面復旧まで数カ月かかるという見通しを明らかにした。  

炎上場所から遠い側の車線は損傷が軽微で構造安全性が確認できたとして、5号線は9日午前から片側1車線の暫定運用を始める。一方、炎上場所で5号線と交差する中央環状線は、内回りが熊野町ジャンクション(JCT)―西池袋、外回りが西新宿JCT―熊野町JCT間で通行止めが続く。

「遠い側の車線は安全」というのがいまひとつよくわからないのですが、片側の橋脚だけで支持するということなのでしょうか?


ところで、この事故の原因についてはほとんど報道がされていないようですが、(しつこいですが)僕はそもそもの設計に難があるように思えるので(参照)、そのへんの対策も必要だと思います。
 

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人民の勝利?

2008-08-09 | よしなしごと

 

開会式 ロケットで雨雲晴らす
(2008年8月9日 9時8分 NHKニュース)

8日夜に行われた北京オリンピックの開会式では、実は雨雲が近づいていたため、気象当局が小型ロケットを発射して雨雲を晴らす措置を講じていたことが明らかになりました。

・・・気象当局は、8日夕方から北京の21か所で雨を降らせやすくするヨウ化銀を装てんした小型ロケット1104発を上空の雨雲に向けて発射したということです。これによって、会場上空に雨雲が到着する前に周辺の地域で人工的に雨を降らせることに成功し、会場上空の雨雲を晴らしたとしています。実際、開会式が行われた時間帯に会場周辺で雨は降りませんでしたが、北京郊外では雨が観測されたほか、中心部でも開会式が終わるやいなや、雨が降り始め、「不思議だ」と首をかしげる住民もいました。

以前から話題になっていましたが、やはり実行したようです。
(小型ロケットというよりは高射砲みたいです。)
これも「人民の勝利」という評価なのでしょうか。

開会式では環境保護についても触れていましたが、このへんはやはり20世紀風の発想ですね。


これに限らず、Speedo社の水着といい、科学技術がどこまでアスリートを支援していいのかというのは、今回のオリンピックで議論されるべき問題なのかもしれません。

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080808北京オリンピック開幕

2008-08-08 | よしなしごと
北京オリンピックが無事開幕しました。
開会式の日取りは08年8月8日と中国で縁起のいい「八並び」に合わせたんでしょうか(そういえば開会式の開始も8時でした)。

個人的にも周辺もオリンピック本体についてはあまり盛り上がっていなかったのですが、結局開会式は実況で見ました(まだ入場行進が続いていますがそろそろ飽きてしまいました(笑))。


開会式の演出は映画監督のチャン・イー・モウ氏(そういえばスピルバーグに断られたんでしたよね)。
「中国の世界に誇る発明」というのをテーマに紙、活版印刷、羅針盤などを取り上げて中国をアピールしていました。
社会主義はおくびにも出さず、中国五千年の歴史を中心にしながら国威発揚と世界の調和バランスさせたうえで芸術性豊かに表現していたと思います。
(もっとも活版印刷の活字を浮き出させるところは、漢字の意味がわかるかどうかでウケはかなり違ったんじゃないかと思いますが。)


開会式で表現されていたそれまでの(孔子の時代の)竹管に文字を書いて伝えたことから紙が発明され携帯が容易になったことや活版印刷の普及で情報の伝達が格段に浸炭したことは、今のIT・インターネットの時代と情報管制の問題へ含意があるのかもしれません。

また、羅針盤による鄭和の大航海やその後の現代での宇宙飛行士(2003年の中国の有人宇宙飛行の成功を表しているらしい)は、現在の静止衛星によるGPSと、人工衛星破壊実験の問題などを暗示しているのかもしれません。


考えすぎ?


それはさておき、後半はお得意のワイヤー・アクションが炸裂したのもチャン・イー・モウらしくてよかったです。
地球儀の緯線に沿って(=地面と並行に)人が走る仕掛けはなかなかのものでした(アップで見て初めて緯線のレールからワイヤーで吊り下げられているとわかりました。)。


来週は時間に余裕もありそうなので、オリンピックと高校野球観戦ということになりそうです。

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上高地(食べ物編)

2008-08-07 | 飲んだり食べたり

涼しかった上高地を思い出しながら涼をとっている今日この頃です。


上高地はもともと穂高連峰への登山の拠点としてひらけたところで、現在は自然保護のために開発はおろか人や車の出入りも制限しているだけたあって、いわゆるリゾート地としてのインフラは用意されていません。

散策の後に紅茶とマフィンとかワインなど片手にのんびりできるオシャレなテラスのようなものはなく、ベンチでおにぎりをほおばる、という質実剛健さが求められます。

また、食べ物に関しては「これが」という名物はありません。
しいて言えば岩魚くらいでしょうか。
土産物や特産物としてお店で売っているものは、どれも「信州特産」ではあっても「上高地特産」ではないあたりが微妙な感はあります。
特に僕はそば粉アレルギーなので、「長野県=蕎麦」というステレオタイプな名産品・土産物が増えれば増えるほど選択の余地がなくなってしまいます。
上高地のバスセンターの売店で売っていた「おやき」までそば粉仕立てだったのにはがっかりでした・・・
また、「無農薬無添加地元の契約農家が作った野沢菜漬」というのもありましたが、そもそも野沢菜って冬のものだよな、などと考えてしまいます。どうやってこの時期に出荷できるのでしょうか?


学生の頃、ひとつ尾根筋の違う乗鞍の方にはよく行っていたのですが、そのころ地元で出された料理といえば花豆とか名前は知らないけど美味しいキノコ(トリップしていたわけではありませんw、取れる場所を教えるのも一子相伝、というようなまじめなものでした)とかで、見てくれは地味なものでした。
もともと山の料理ってそんなんですよね


で、結局岩魚の塩焼きなどを食べることになるのですが、さすがに写真にもあったように水のきれいなところにいるだけあって、川魚に対しては偏見のある僕でも満足できる美味しさです。

あとはちょっと贅沢して上高地帝国ホテルでランチ


オムライスとハッシュドビーフ、税サ合わせると3000円也という立派なお値段ではありますが、これは観光地価格というよりは帝国ホテル価格なんでしょう。



それから初めて食べたのが「信州サーモン」


信州サーモンは、長野県水産試験場が10年の歳月をかけ開発した、ニジマスとブラウントラウトから生まれた淡水魚です。
ニジマスとブラウントラウトを交配させた、信州独自の新品種で、「サーモンのような紅色の美しい身が特徴です。ニジマスに比べて肉のきめが細かく、肉厚で、豊かな味わい」が特徴だそうです(参照)。


実際に食べてみると、確かに川魚に特有の臭いはありません。
ただ、小ぶりな魚のためか身の締まりは若干本家には及ばない感じです。(刺身を厚めに切ってること自体で自白している感もあります。
ただ、さしの入り方や食感などは遜色がありませんので、刺身以外にもスモークとかサラダやマリネには活路があるかもしれません。


まあ、ここまで来たのであれば、美味しい空気と見事な景色だけで十分なおかずになるので、細かいことは気にしないほうがいいですね。


 

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