ジェンダーからみるカンボジア

カンボジア社会について、ジェンダー視点から色々な情報をお届けします。

被害者インタビュー:有名な児童労働事件

2014年01月25日 | 女性の自立

 

大金持ちの女性が、「養子にする」という口実で、実は家庭内労働者として搾取し、10年にわたって身体的虐待をした事件の被害者2名にインタビュー。彼女たちは、身の安全が確保できないため、いつシェルターを出られるかわからない状況。

被害者は二人とも17歳で、「貧しいくて、父親が死んだあと、母親が自分を知りあいの女性に託した」少女と、「両親が死んだあと、叔母にひきとられたけれど、育てられないという理由で知りあいの女性に預けられた」という少女。引き取り先の「育ての親」になるはずだった女性に、連日拷問され、精神的にも肉体的にも想像を絶するダメージを負わされた二人。

この事件は、新聞や雑誌でも大きく取り上げられていて、わたしも雑誌で事件の記事を読んだことがある。Toulkokの巨大な家に監禁されていた少女二人が、保護され、体中に傷を負っていたいたしい様子が報道されたのだ。

被害者の一人は、一度逃げ出したのだけれど、見つかってしまい、拷問を受けて二度と逃げられないと思ったそう。でも、「このままだと死んだほうがましだから、逃げたい」とずっと思っていた。拷問を受けるときは、裸にされて、硬いロープや棒で殴られた。

 

ある日、たまたま、門に鍵がかかってないことを発見したもう一人の被害者が、勇気をだして家を二人で飛び出したそう。家のちかくで見つけたバイクタクシーに、「バッタンバンにいる叔母が死にそうで、とにかく連れて行ってくれ」と頼んで、ガソリンがなくなったりタイヤがパンクしたりとトラブルがあったものの、ドライバーはバッタンバンまで連れて行ってくれたそう。バッタンバンは、被害者のうち一人の出身地、でも10年も離れていたので、地理もわからないし知りあいもいないし、バイクタクシーは事情を分かってくれてお金を請求しなかったけれど、二人だけで道端に取り残されて、「このまま死んじゃうんじゃないか」と思ったとのこと。

通りかかった人が助けてくれて、とあるNGOへ案内してくれて、そのあとは警察が保護、シェルターへ連れてきてもらった。

↓蓮の花がカンボジアらしい、CAFEでの仕事は日課

 

「家には、5歳くらいの男の子が2人いて、その子たちもひどい目にあってた。警察にその話をしたんだけれど、家にいったら子どもはいなかったと聞いた」

この事件は、裁判所送りになったんだけれど、加害者が裁判所にたぶん賄賂をはらって刑事訴追は取り下げてもらい、被害者には13000ドルずつ支払ったそう(ちなみに銀行口座を開設してちゃんと受け取ってるとのこと)。

家が貧しかったから、学校には通ったことのない二人。シェルターで、文字を学んで、洋裁を学んで、「シェムリアップにみんなで観光につれていってくれて、とても楽しかった」と笑う彼女たち。

すでに1年ほどシェルターにいるから、精神的なダメージからも肉体的なダメージからもかなり立ち直っているけれど、たぶん身体中に傷痕がのこっていて、それは一生きえない。

彼女たちに、どうすれば困っている女性たちへの支援が効果的にできるかを聞いたら、「大人にお願いしたいのは、子どもを養子に出したりしないこと」、「貧しい人を助けてほしい」。

安全のため、まだ当分はシェルターで生活することを与儀なくされている二人。親と親族から養子に預けられた経緯があるので、加害者は彼女たちの身元を熟知しているのだ。つまり、実家や10年前にいたところには戻れない。

将来の夢が語れるくらい、彼女たちが前向きになれる日は、いつくるんだろうか。

 

 

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。