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鳩山由紀夫新内閣の布陣を見て

2009-09-17 23:55:39 | 現代日本政治
 朝日新聞朝刊4面(政治面)に次のような記事が載っているのだが、
参院民主3人 野田氏外し
 ちらつく小沢氏の影
 「組閣は鳩山、党人事は小沢」という仕分けで選ばれた内閣は、党内グループ間のバランスを最も重視した。鳩山、菅、小沢、羽田、前原、旧社会、旧民社の各グループから少なくとも1人が入閣。
 しかし、1面の閣僚一覧には、小沢グループと表記されている者はいない。
 鳩山を含む除く18閣僚の所属グループ(ないし政党)の表記は次のとおり。

鳩山グループ 鳩山由紀夫首相、小沢鋭仁環境相
菅グループ 菅直人副総理兼国家戦略相
羽田グループ 北沢俊美防衛相
前原グループ 前原誠司国交相、仙谷由人行政刷新相
旧社会グループ 千葉景子法相、赤松広隆農水相
旧民社グループ 川端達夫文科相、直嶋正行経産相
国民新党 亀井静香金融相
社民党 福島瑞穂消費者相
表記なし 原口一博総務相、岡田克也外相、藤井裕久財務相、長妻昭厚労相、平野博文官房長官、中井洽国家公安委員長

 表記なしの中に事実上の小沢グループがいるということなのだろうか。
 しかし、事実上はどうあれ、閣僚一覧がこうなっているのだから、読者は誰しもが不審に思うことだろう。

 小沢グループの入閣者とは誰を指すのだろうか。

 記事はこう続く。
ただ、組閣にはノータッチのはずだった小沢一郎幹事長の影もちらついている。
 その象徴が3人の民主党参院議員の閣僚だ。「参院枠」にこだわったのは輿石東参院議員会長。総選挙後の党人事で「小沢幹事長」を強く主張した輿石氏は、参院から複数の入閣を求めた。3人はベテランで、年功序列の点では順当。輿石氏は16日、「鳩山代表には参院に配慮して頂いた」と記者団に説明した。
 小沢氏に近い閣僚も複数生まれた。中井洽国家公安委員長は、旧新進党解党後に小沢氏率いる旧自由党に参加した重鎮で、小沢氏の信頼が厚い。赤松広隆農水相は、鳩山代表と岡田克也外相が争った5月の代表選で、小沢、輿石両氏の意を受けて旧社会グループを鳩山氏支持でまとめようと動いた経緯がある。
 赤松は旧社会グループとされているから、小沢グループと目されているのは中井だろうか。藤井も小沢との関係は深いはずだが、最近は西松建設事件で代表辞任を説き、疎遠になっていると聞く。
 では中井には何故所属グループが表示されないのだろうか。

 それにしても、小沢グループと明記される閣僚がいないということは、それなりに小沢支配批判に配慮しているのではないだろうか。
 参院出身閣僚の増加についても、今回衆院選での大勝は、前回参院選で第1党を獲得した流れを受けてのことなのだから、参院優遇は当然だろう。
 閣内には、代表選で岡田氏を支えた前原誠司元代表や仙谷由人元政調会長も入っている。「非小沢」にも配慮したかにみえる人選だが、隠れた意図がかいま見える。
 「小沢氏が幹事長になれば党を支配される」。総選挙投票日の8月30日午後。岡田氏を擁立した中心メンバーの6人がひそかに東京都内のホテルに集まり、岡田氏に幹事長続投を要請した。
 内閣・党人事で「反小沢」が主導権を握ろうというこの会合を小沢氏は知り、今月初め、対抗心をあらわに周囲に語ったという。「覚悟を決めてかかってこいって」
 会合の出席者は、入閣有力と報道された野田佳彦幹事長代理をはじめ衆院当選5~7回の入閣適齢期だが、1人も起用されなかった。前原、仙谷両氏はこの会合には出ておらず、岡田支持派内でも処遇が明確に分かれた。
 特に今回、野田氏のグループへの打撃は深刻だ。党内グループで唯一閣僚を出せなかった一方で、当選4回の松本剛明氏を小沢氏が衆院議院運営委員長に起用。松本氏は野田グループ幹部ながら、昨年秋の代表選で野田氏の出馬に強く反対し、小沢氏の無投票3選に貢献している。
 岡田氏を支持した中堅議員のぼやきは止まらない。「徹底的に干す気なんだ。恐ろしい人事だよ」

(松田京平)
 しかし、人事とは得てしてそういうものではないか。
 野田佳彦をはじめ、干された人々には、腐らず、時を待てと言いたい。

 野田はたしかに入閣候補と言われていたし、党内グループを率いる身だが、当選5回にすぎず、党代表はおろか、党3役をこなしたこともない。また、前原代表の下での国対委員長時代に、いわゆる永田メール問題で失態を見せたことも記憶に新しい。
 今回、衆院当選5回で入閣したのは、鳩山側近である平野官房長官を除けば、原口総務相のみである。
 野田の非入閣の理由に、松田京平記者が記したような事情もあるのかもしれない。だが、それを考慮に入れても、それほどおかしい人事だとは思えない。

 民主党は寄り合い所帯と言われるが、自民党もまたそうだった。自由社会の堅持という一点で共闘できた人々の集まりであり、多様な人材を擁していた。それこそが自民党の強みだった。
 民主党もまた、自民党政権の打破という一点で糾合した人々である。自民党政治の否定以外に、共通の目標を見出すことは難しい。だから、鳩山新政権の針路が今ひとつ不透明なのもいたしかたない。
 これから、わが国の政党政治は、下野した自民党も含め、大きく変わっていくのだろう。その中で、野田グループの出番もいつ訪れないとも限らない。
 多様な人材を抱えていることは強みとなり得る。そのことを、今回干された人々や、それを不満に思う人々には記憶しておいてほしいものだ。


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1 コメント

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期待できますね (トム)
2009-09-18 09:44:46
愚民化教育を行い、国民を騙し盗んだ「自民党・官僚政治」の解体、実に痛快です。
新政権は、国民全員で応援し、支援してゆきましょう。
「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望著 日新報道社)を読むと、前政府の無能と誤りが明瞭に分かります。まさに、目からうろこの本です。国民全員が読むべきです。
若者の学力を低下させ、不登校やニートにし、国家を衰退させた自民党・官僚政治の傲慢と愚かさは、許しがたいものです。
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