トラッシュボックス

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タカ派で何が悪いの?

2006-09-30 23:25:50 | 現代日本政治
 今月発売のテレビ情報誌『telepal f』を読んでいると、総理候補としての安倍晋三を2ページにわたって紹介している記事があったが、どうも「タカ派」の連呼が目に付く。 
「安倍さんって根っからのタカ派だから。世の女性がもつソフトなイメージとは正反対の人だよ。憲法改正するって始めから言ってるんだから。」
「顔はハトでも中身はタカよ。」
「憲法改正に大反対するのはまず女性たちだと思うよ。支持するなら、そのへんのことを覚悟した上で、したほうがいいよね」
などと浅草キッドの2人が述べているが、何なんだろう、こんな娯楽誌にも、読者を誘導したがるマスコミ人の習性が見え隠れしていて、ちょっと不快になった(念のために書くと、同誌はテレビ情報誌としては特に女性向けの編集方針をとっている)。
 なるほど、タカ派、ハト派の二分法で言うなら、安倍はタカ派だろう。憲法改正も志向している。しかし、それは悪なのか? 女性としては反対すべきなのか?
 そもそもタカ派、ハト派とは何か? たしかベトナム戦争の頃の米国で言われ出した言葉だったと思う(今ネットで調べたが、確認できず。ネットもその普及以前のことになると、あまり役に立たない)。この戦争に積極的な人々をタカ派、消極的な人々をハト派と呼んだことに始まり、戦争全般について、あるいは安全保障政策について、用いられるようになったのではなかったか。
 しかし、タカ派が戦争を起こし、ハト派が平和を志向する、だからタカ派は危険であり、ハト派を支持すべきであると、そう簡単に言えるのか。第2次世界大戦期以後の歴史は、むしろその逆を示しているのではないか。ナチス・ドイツのチェコスロヴァキア侵略に対して宥和政策をとった英仏は、今で言うハト派だと言えるだろう。しかしそれはドイツをさらに図に乗らせ、結局第2次大戦の開戦をもたらしたのではなかったか。米国の民主党はハト派、共和党はタカ派とのイメージがある(個々の人物は必ずしもそうとは限らないようだが)が、民主党のケネディ、ジョンソンの時代にベトナム戦争が拡大し、カーターの時代にソ連がアフガニスタンに侵攻し、クリントンの時代に北朝鮮の核危機が高まったのではなかったか。そして共和党のニクソンの時代に米国はベトナムから手を引き、中国との関係を改善し、レーガンの時代にはソ連との冷戦を終結させたのではなかったか。
 日本においても、ハト派と称される宮沢喜一や加藤絋一、河野洋平らは、少なくとも安全保障の問題ではどれほどのことをなしてきたというのか。拉致問題で結局北朝鮮側が認めた拉致被害者全員を取り戻せたことは小泉政権の大きな業績だと思うが、これも小泉がタカ派寄りとされる森派の出身であり、さらに側近に安倍晋三がいたことが大きいのではないか。
 「タカ派」「ハト派」とは、一昔前の「反共」「リベラル」にも似た、左寄りの人々によるレッテル貼りにすぎない。「女性たち」も改憲の必要性ぐらい理解した上で、支持しているのだと思うよ。タカ派=改憲=軍国主義の復活=危険といった使い古しの連想で危機感をあおるのはもうやめていただきたいものだ。


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1 コメント

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ラベル貼り (Viewforests)
2006-10-01 22:52:10
曖昧な基準によるラベル貼りには私も反対ですが、老人・弱い者いじめで捻出した金で軍拡、特に、効果も不確かなミサイル防衛システムの構築などをするのは願い下げにしたい。
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