トラッシュボックス

日々の思いをたまに綴るブログ。

犬の遺伝子バンクを作るとか。

2007-02-26 00:36:47 | 生物・生態系・自然・環境
 『朝日新聞』の25日朝刊の1面にこんな記事が。

優秀な盲導犬増やすため、遺伝子解析 精巣などの保存も(朝日新聞) - goo ニュース

 引用しているネット上の記事には省かれているが、紙面での記事には、鈴木教授の話として、

《「3年間で1千匹分はデータを集め、麻薬犬や検疫犬の繁殖にも貢献したい。犬の遺伝子の解析は、人間の疾患の予防や治療にも役立てることができるのではないか。」》

とある。
 また、コメントとして、「ヒトと動物の関係学会」発起人代表の林良博・東大大学院農学生命科学研究科教授の、
《盲導犬のような職業犬は厳しい作業が求められ、病気があると務まらない。遺伝子解析を進め、遺伝病の危険性などを少なくすることは、犬の福祉のためにも必要だ。犬の遺伝情報は人間の個人情報とは違い、倫理的な問題はないと思う。》
との話を載せている。

 私は、この記事を読んで、こういった動きを肯定的に評価するだけでいいのかと思ったが、そういう感想は少数派なのだろうか。
 これって、いわゆる優生思想によるものだろう。

「犬の遺伝子の解析は、人間の疾患の予防や治療にも役立てることができるのではないか。」
「遺伝子解析を進め、遺伝病の危険性などを少なくすることは、犬の福祉のためにも必要だ。」
 ならば、人間の遺伝子を解析することは、人間の福祉のために必要だということにならないか。

 人間の遺伝子を解析して、遺伝病の因子を持つ者を強制的に断種すれば、遺伝病をなくすことができるし、「優秀な」遺伝子を持つ人間の情報をデータベース化し、希望に応じて提供すれば、「優秀な」人間を増やすことができる??
 「劣等な」人間を断種すれば、世界には「優秀な」人間しかいなくなる??
 そういった考え方は生命倫理に反するものとして、タブーになっているわけだろう。
 それを、犬には「必要だ」として、安易に進めていいのかな。
 犬で可能になれば、同じ哺乳動物であるヒトでも簡単に転用できるようになるだろう。
 これは植物の品種改良などとは次元が違う。
 もっと慎重に対応すべき問題だと思うがなあ。


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