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「みどりの風」議員によるNHK取材拒否の説明を読んで

2013-03-21 08:19:21 | 珍妙な人々
 BLOGOSで、「みどりの風」参議院議員の舟山康江による「NHKに対する取材拒否について」という記事を読んだ。

 「政党」要件は、公職選挙法、政党助成法、政治資金規正法に規定されており、これによると、(1)「所属する国会議員が5人以上」または、(2)「直近の衆院選か最近2回の参院選で全国を通じた得票率が2%以上」の政治団体を「政党」として扱うとしています。

 みどりの風は、5人以上の国会議員がいますので、れっきとした政党です。しかし、NHKがどうしても認めようとせず、もう一つの政党要件である「得票率2%以上」も満たさないと「日曜討論」には出さないと主張しています。そして、この判断は、「報道機関としての自主的な編集権」であると強弁しています。(NHKからの回答は末尾に掲載)

 この理屈では、まだ選挙に参加していない新しい政党は公共放送が取り上げないということになります。法律では、前記(1)または(2)いずれかを満たしていれば政党であり、両方ではありません。民間放送ではなく国民の税金を使った公共放送が、公職選挙法とは異なる独自の基準を用いて政党を選りすぐることが、果たして編集権の範囲なのか大いに疑問です。

 ちなみに、NHKは先日、NHK予算について「各党」に説明したい、「みどりの風」にも説明したいと時間を要求し、説明にやってきました。自分達の都合によって政党扱いしたりしなかったり非常に独善的であり、国が付けた予算にふさわしい組織だとはとても思えません。

 このような中で、残念ながら、誠意ある回答をいただけるまで、みどりの風として一切の取材をお受けできない、という立場をとらせていただきました。

ネット上で賛否両論、議論されているようですが、誤解がないように背景をお伝えします。
〔太字は原文のまま、機種依存文字である丸数字はカッコ数字に直した〕


 しかし、記事末尾に掲載されているNHKからの回答を読むと、「「得票率2%以上」も満たさないと「日曜討論」には出さないと主張して」はいない。

(参考)NHKからの回答

平成25年3月1日
みどりの風代表
谷岡郁子様

日本放送協会報道局
政経・国際番組部長馬場弘道

 「みどりの風」の皆様には、日頃からNHKの放送に対して、深い御理解をいただき、誠にありがとうございます。

 「日曜討論」で御出演していただく政党につきましては、放送時間や討論番組としての物理的な制約などから、国政選挙の結果や国政への参加の状況などを踏まえ、報道機関としての自主的な編集権に基づいて判断しています。

 同番組では、様々な形式での討論番組を企画しております。例えば、与野党の代表者に同席していただく討論の場合、公職選挙法上の政党の要件を2つ満たす政党を参考にして御出演をお願いする企画や、公職選挙法上の政党の要件を1つ満たす政党を参考にして御出演をお願いする企画、与党第1党と野党第1党による討論などです。これは、その時々の政治状況を踏まえて、NHKが独自に判断しているものです。

 なお、公職選挙法上の政党の要件を2つ満たす政党を参考にして御出演をお願いする企画の場合、直近の衆参両院の国政選挙に示された民意と国会議員の数など国政への参加状況をあわせて参考にしつつ、討論番組としての制約などを考慮して判断しているものです。

 「日曜討論」では、これまで、その時々の政治状況に応じて御出演をお願いしてきました。今後につきましても、今の政治状況を踏まえて、政党討論の枠組みを検討していきたいと考えております。

 こうしたNHKの考え方について、ぜひともご理解いただきますよう、お願い申し上げます。


 この回答によると、与野党の代表者による討論の場合、
・「公職選挙法上の政党の要件を2つ満たす政党を参考にして御出演をお願いする企画」
・「公職選挙法上の政党の要件を1つ満たす政党を参考にして御出演をお願いする企画」
・「与党第1党と野党第1党による討論」
などがあり、「その時々の政治状況を踏まえて、NHKが独自に判断している」としている。

 そして、「日曜討論」も「その時々の政治状況に応じて御出演をお願いしてき」た番組であり、今後も同様であるとしている。

 したがって、この回答は「「得票率2%以上」も満たさないと「日曜討論」には出さないと主張」するものではない。

 にもかかわらず、何故舟山議員はこんな記事を書いたのか。
 次のようなことが考えられる。
・NHKはこの回答より前に、得票率2%以上も満たさないこと理由であると伝えており、それが舟山議員の念頭にあった
・NHKはこの趣旨の回答をしたが、「みどりの風」の誰かが誤読して舟山議員に伝えた、あるいは舟山議員自身が誤読した
・NHKはこの趣旨の回答をしたが、その内容自体はもっとも至極で反論しがたいので、「みどりの風」は敢えて、NHKは得票率2%以上を満たさないことが理由であると主張していることにして、それに反論した

 いずれにせよ、これではNHKからの回答を添付している意味がない。
 読者はいちいちNHKからの回答などは読まないだろうと、馬鹿にしてかかっているのではないか。

 舟山議員は「国民の税金を使った公共放送」とも言うが、NHKの主な収入源は税金ではなく受信料である(国際放送や政見放送は国費で賄われている)。
 舟山議員はまた、「国が付けた予算にふさわしい組織だとはとても思えません」とも言うが、NHKの予算が国会の承認を必要とするのは、受信料を強制的に徴収する公共放送であるため、その収支について国民の了解を得る必要があるという趣旨によるものであり、国がNHKの予算を策定しているわけではないので、「国が付けた予算」という表現は不適切であろう。

 こんなことは、NHKと国との関係や受信料制度の意義について多少なりとも疑問をもったことがあれば常識だと思うのだが、舟山議員は、しばしば「某国営放送」などと揶揄されるNHKを、本当に税金で運営される国営放送だと勘違いしているのではないか。

 「誤解がないように背景をお伝えします」としているのに、これでは、NHKからの回答を読まない読者はさらに誤解を重ねてしまう。
 「みどりの風」のレベルが知れると言えるだろう。

 この党の議員のうち、亀井静香を除く4名はいずれも当選1回の参議院議員で、今年改選を迎える。
 何人が生き延びられるだろうか。



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