トラッシュボックス

日々の思いをたまに綴るブログ。

嫌なことは下の者に丸投げする政府

2008-11-13 00:35:18 | 現代日本政治
 昨日の朝日新聞に次のような記事が(ウェブ魚拓)。

定額給付金の所得制限、設定は自治体に丸投げ 与党合意

 自民、公明両党は12日午前、新総合経済対策の定額給付金は1人あたり一律1万2千円とし、18歳以下の子供と65歳以上の高齢者には8千円を上乗せすることで合意した。所得制限は法律では定めず、年間所得1800万円を下限の目安としたうえ、制限を設けるかどうかは各自治体の判断に任せる

 下限の目安こそ示したものの、所得制限については給付金の申請や給付で窓口となる各市町村に「丸投げ」した格好だ。与党は「現場の実情が配慮される決め方をしなければならないと腐心した」(公明党の山口那津男政調会長)としているが、自治体の対応によって給付条件が異なり、混乱する可能性が高い。事務負担を考え、所得制限を設けない自治体も多く出そうだ。

 麻生首相は同日昼、自治体が混乱するのではないかと記者団に問われ、「それはあなた(記者)の希望であって、全然現場は混乱しない。所得制限をかける、かけない、手間の話やらなにやら、各市町村がやる」と語った。(太字は引用者による)

 福田前首相の「あなたとは違うんです!」を思い出した。
 混乱の発生が「あなたの希望」だとは、またずいぶん失礼な言い分だろう。
 混乱など発生するはずがないというならともかく、普通に考えれば、これは混乱を招くだろう。
 市町村によって所得制限に差が生じた場合、被給付者にそれをどのように納得させるのか。
 結局、やっかいな部分は「地方分権」の名の下に自治体に丸投げしたとの印象が強い。
 それでなくとも、市町村の事務負担は膨大になるだろうに。

 共同通信は46道府県庁所在市に緊急アンケートを行った結果を次のように報じている。(ウェブ魚拓

 9市が所得制限しない意向 定額給付、緊急アンケート

追加経済対策に盛り込まれた総額2兆円の定額給付金の対象に所得制限を設けるかどうかを市町村の判断に委ねるとした与党合意について、共同通信が12日、46道府県庁所在市に緊急アンケートを実施した結果、「批判が出そうなところを地方に丸投げしている」など、厳しい批判が相次いだ。9市が所得制限を実施しない意向を示した。

 アンケートは各市の市長や担当者が対象。与党側が自治体に所得制限の判断を委ねたことについて、福島など15市が「無責任で市町村には迷惑」、金沢など3市は「緊急性からやむを得ない」と答えた。

 所得制限を実施するかどうかについては、和歌山など8市が「制限しない方向で検討」、新潟市が「制限しない」と回答。一方、山口市は「制限する方向で検討」と答えた。他の多くの市は「担当部署も決まっておらず、今後検討する」などとして方針を明らかにしなかった。

 幸山政史熊本市長は「本来なら国の責任でやらなければいけないことを地方に転嫁した。乱暴な話」と批判。中村時広松山市長は「話にならない。やり方によっては批判が出るかもしれないところだけ地方に丸投げするのは間違い」と厳しく指摘した。加藤浩一水戸市長も「地域格差を招き、事務の煩雑化や混乱を招く、現場の実態を無視したやり方」として、制度の見直しを求めるコメントを発表した。



 各市長の言い分はいずれももっともだと思う。
 昨日晩のNHKのニュースでは、麻生首相は「地方分権なんだから、これでいいでしょう」という趣旨のことも言っていた。
 地方分権だと言うなら、財源も地方に渡せ。
 その上で、給付金にするのか、定額減税にするのか、あるいは何もしないのか、そういった判断を決定する権限も地方に与えよ。
 自治体を国の下請けにして、重要な判断の責任をも自治体に丸投げしておいて、言うに事欠いて何が地方分権だろうか。

 そもそもは定額減税という話だったはずだが、いつのまにか給付金にすり替わってしまっていた。
 何でも、減税なら、所得税を納めていない者にはメリットがないので、給付金方式に変わったと聞く。
 そうまでして非納税者を優遇しなければならないものだろうか。