日本の鉄道が正確に運営されて居るのには、江戸時代からの日本人の日常生活にも遠因があり、その運営に尽力した多くの人々がいましたことは、前回で述べました。
しかし、鉄道がダイヤ通りに運営されるのには、現実の問題として、色々な障害があります。
鉄道のシステムが実験室のような環境であれば、今の運転士の技術を持ってすれば、秒単位で正確に運営されるでしょうが、残念ながら運転を妨げる要因が沢山あり、あらかじめ対策がとれるものもありますが、中には事前には対策が取れないものもあります。
この要因との闘いこそが、我々利用者の目にはあまり触れることのない、鉄道で働く人の仕事でもあります。
この要因には、乗客、自然現象、事件、設備装置の故障、ヒューマンエラー等が挙げられます。
今日は、まず乗客がどのように正確な鉄道運営に支障をきたすのかを述べてみます。
実験室の運転と大きく違うのは、乗客の乗り降りにあります。
鉄道は「乗客」を乗せて初めて鉄道となり、社会において機能するのであって、列車ダイヤには、「停車時分」が定まれています。
しかし、皮肉なことに、鉄道としては「乗客」が多いことは、鉄道企業にとって有難く重要なことですが、その乗客の乗り降りに要する時間は、状況によって変化することで、時間通りに正確さを妨げる原因となっています。
乗客が理論通りの運行を妨げているのです。
でも、ラシュアワー(例えば毎日160万の人が行き交う新宿駅などの大都市の駅)での状況でも本来なら、乗客が転んだり、階段で将棋倒しなったり、身体が触れ合って喧嘩やパニックになることでしょう。
しかし、ここでは一つの流れがあり、秩序があります。
これは、国民性もありますが、それより鉄道員と乗客とが受けてきた長年にわたる訓練の成果なのです。
今日の絵は、ドイツ、ハイデンブルグ、旧町への門です。F10号