毎年、12ないし13回の満月があるのに、なぜか特別扱いされる中秋の名月は、いつなのでしょうか?
「八月十五日」と書いて「なかあき」と読みますが、なかあき=中秋のことで昔から八月十五日の月を「中秋の名月」と呼んできました。
旧暦では、春夏秋冬のうち1,2,3月を春、4,5,6月を夏、7、8、9月を秋・・・・とし、さらにそれぞれの季節に属する月には「初、中(仲)、晩」の文字をつけて季節を細分化して使っていました。
例えば、旧暦の四月は、「初夏」となります。
この考えでいくと八月は、秋の真ん中で「中秋」となります。
旧暦の日付けはその時の月齢に対応しますので、八月の半ばの15日はだいたいにおいて満月となります。
古くから日本では、八月十五日に秋の澄んだ空に昇る満月を「中秋の名月」と呼んで観賞する習慣があり、このような風流さは、日本独特の自然への感受性、もののあわれや情緒が形として、生まれたものの一つです。
しかし、実際の月齢を調べると、中秋の名月の日は、実は満月ではない場合が多いのです。 これは旧暦の一日(ついたち)は「新月」となる瞬間を含んだ日ですので、0時0分も23時59分も同じく「一日」になり、旧暦の15日の月齢は、最小13.0、最大15.0で平均14.0となります。
つまり新月から満月までの平均日数は、約14.76日で、これが本当の満月の月齢となります。
ちなみに昨年の中秋の名月の日(旧暦の八月十五日)は、新暦では9月18日で満月の日も9月18日でしたが、今年の旧暦における中秋の名月の日は、新暦では10月6日となり、本当の満月は10月7日が満月で、1日の誤差が生じています。
従って、本当の満月の日付けと旧暦の八月十五日の日付が異なる場合が多い事になります。
と言っても「中秋の名月」は、一種のお祭りであり、日本人の情緒の問題であって、厳密に満月の日でなくとも良いのではないでしょうか?