徒然なるまま”僕の趣味と遊ぶ”

タイガース、水彩画、鉄道などの、僕の気ままな”独り言”

映画 「 ドクター・デスの遺産 」

2020年11月20日 13時03分29秒 | 映画・社会

実際、最近も社会面を賑わした安楽殺人事件がありましたが、この作品は、130人もの患者を安楽死させた実在の米国の病理学者で元医師(ドクター・デスと呼ばれていました)をモデルに描いたとされる作家・中山七里のサスペンス小説を映画化されたものです。

安楽死については賛否あるのですが、日本では所詮殺人犯罪です。
この映画の犯人も「人には生きる権利と死ぬ権利が平等にある」「死にたいあなたへ 最後は楽に 殺して差し上げます」と・・・・

      

映画は、雨の中、8歳の少年が公衆電話から110番に「お父さんが殺された」と泣きながら訴えるところから始まります。
少年は「知らない医者と看護婦が来て注射を打ち、その後、いつもの医者が来て死んだと言った」と告げ、不審に思った犬養(綾野剛)と高千穂(北川景子)は火葬場に急行し、火葬される寸前に司法解剖に回しました。
遺体から塩化カリウムと麻酔薬が検出されます。

     

犬養の娘は入院中で人工透析を続けており、自分の肝臓が娘に移植できないことを嘆き、ドナーが現れるのを待っている娘を励ます。

映画は、この警視庁の敏腕刑事の犬養とバディである女性刑事高千穂と新米刑事の沢田(岡田健史)捜査1課の麻生リーダー(石黒賢)それに犬養の娘(田牧そら)を中心に物語は進みます。

       

殺人犯と刑事たちの攻防戦はなかなか迫力のある場面が描かれていますが、その中に病気に苦しむ人たちの苦悩、そして犬塚自身の娘の病気に対する葛藤も折り込みながら、有力な証言をえられない焦燥感が、捜査は難航を極めてゆきます。


この物語の犯人も自らをドクター・デスと呼ばれており、実在の130人をも安楽死させた米国の病理学者(ジヤック・ケブオーキアン)を尊敬していたことから、この安楽死殺人を遺産としょうし殺人を繰り返したのでしょう。

そして、そこには疑問も・・・
殺害に対する報酬を受け取らないとか、又安楽死させる薬物の入手経路は描かれていません。 この犯人の背後には、これを操る真犯人がいるのではと思うのは邪推なのでしょうか・・・
そして、それこそが遺産なのかも知れません・・・

 


映画 「罪 の 声 」

2020年11月05日 21時53分27秒 | 映画・社会

今年3月以降、コロナ禍以来、初めての映画鑑賞となりました。
コロナ禍での映画館もご多分にもれず、検温、手のアルコール消毒、マスクの装着を入場時にしなくてはならず、館内では換気のため、上演中も時々扉を開けるとのアナウンスがありました。
しかし、今は席の間隔を空けることなく、かなりの観客が入っていました。

       

さて、この話は実際にあった昭和史に残る未解決事件を題材にした内容で、1984年(昭和59年)日本中を巻き込み震撼させた事件でした。

事件があったことは、僕自身、キツネ目の男が犯人だとかはニュースで、知っていたのですが、内容たるやまったくわかりませんでした。
食品会社を標的にした一連の企業脅迫事件で誘惑や毒物混入などの凶悪事件程度しか認識がありませんでした。

しかし、この映画は、あくまでフィクションであり、過去の事件を彷彿するものですが、物語が進むにつれて、実際に起こった錯覚さえ覚え、見るものを引き付け目の離せない展開で、142分が非常に短く感じました。

大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬は、2000年(平成12年)時効となっているこの未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、取材を重ねる日々を過ごしていました

一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)は家族3人と幸せに暮らしていました

     
     声の主の少年も今は幸せな家族三人で過ごしていたのですが・・・

ある日、曽根の父の遺品の中に古いカセットテープを見つけ、それがあの未解決事件で犯人グループが身代金の受け渡しに使用した脅迫のテープと全く同じ声で、それが自分の幼少時代の声だったとわかり、これがどのようにして録音されたのか、本人の意思とは関係なく犯罪に加担されたということを知ります。

その事件に巻き込まれたであろうあと二人の子供たちは、その後どのような人生を歩んだのか、子供達には何の罪もありません。
その疑問と向き合うことになり、ひょんなことからその事件を追っている曽根と会い、事件解明に奔走します。

つまり、事件を追う阿久津と、追いかけられる曽根の出会い、二人の意思、意図が通じる友情的なつながりが、事件を解決してゆきます。

     
    阿久津と星野は、事件を同じ思いで追いかけていました。

現実、世の中には様々な事件が起こっています。
しかし、その事件の門外漢なる人たちにとっては、当事者やそれにかかわった人たちの苦しみやそれにまつわる様々な出来事は、わからず、また知るすべもありません。

阿久津は、「過去を掘り起こすことの意義」にたどり着きますが、それは、当事者以外にも、まわりには知らず知らずに事件に巻き込まれ苦しむ人がいることを知らなくてはならないことなのです。

    
事件後、首謀者の一人、曽根の伯父達雄は、イギリスに潜んでいましたが・・・  

この映画には、イギリスでの出来事(株の操作や海外の類似事件)や、そのイギリスでの曽根の伯父 曽根達雄(宇崎竜童)と阿久津の会話にも、そして、最後に曽根の母 曽根真由美(梶芽衣子)の告白も興味深いもので、この映画が、単なる過去の事件を掘り起こすだけではないことを物語っています。