民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

軍隊は国民を守るのか

2015-07-20 07:41:12 | 政治

 沖縄では米軍が上陸すると、守備隊として派遣された軍隊による有形無形の圧力により、男は皆殺しにされ女は強姦されて殺されるとおどされ、住民の集団自決が各所で起こりました。軍の強制があったとかなかったとか、裁判での争いとなったりしました。日本軍は沖縄住民を守ったのでしょうか。沖縄の人々にとって、軍隊とは何だったのか。そして、今の米軍・自衛隊の駐留は何なのか考えてしまいます。日本軍が流した残虐な米軍の噂や脅しは、よく考えてみれば自分たちが侵略者として中国で戦争していた時に、実際にやっていたことだったのです。だから、日本軍が語るそうした話は脅しではなくリアリティーのある話として伝えたことでしょう。仕返しをされるとおそれたのは、大陸での戦の経験のある兵士だったと思います。兵士だった経験は、南方戦線での飢えや病気、米軍との死闘は語られても、中国でのことはあまり語られることはありません。そして、戦争はアメリカに負けたと意識づけられています。以前に聞き書きをした話者のおじいさんが、これは中国での戦争で殺した敵のものだといって、黒く血のりのついた布を見せられたことがあります。この方は、単純に中国での自分の手柄をほめてほしかったのでしょうが、こんな人はめったにいません。中国での自分の蛮行は記憶の底に沈めてしまっている人が多いのです。そしていつしか、蛮行はなかったことに、被害者の訴えはねつ造へと変わってきました。

先の大戦では軍隊の守るべきものは国民ではなく「国体」でした。国民を犠牲にしても「国体」は守らなければならないと。国体とは誠にわかりにくいものです。天皇を中心とした国の形です。今やそのようなものはないと思うのですが、では今軍が守るべきものとはなんなのでしょうか。


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