○ドヴォルジャーク 「ルサルカ」 ヤロスラフ・キズリンク/東京フィルハーモニー交響楽団、新国立劇場合唱団他 2011年11月29日(ライヴ)
この国立劇場の公演は聴きに行きたいと思いつつも、果たせず、心残りがありました。NHKが公演を収録したという情報がありましたので、首を長くしつつ放送を待ち望んでいましたが、ようやく、昨日、BSプレミアムで放送されました。
実は、放送が待ち切れず、デアゴスティーニでちょうど、パリ・オペラ座のDVDが発売されていたので、購入しました。しかしちょっと舞台が前衛的というか、特に2幕の舞台がベットルームだけで、なんか意図していることがまったく理解できなかったので、いやがうえにも、国立劇場での公演への期待が高まっていました。
それで、国立劇場の舞台ですが、全編にわたりとても美しく、また声楽陣、オーケストラも、めりはり良く、場面場面を適切に描写していて、申し分ありません。
月に寄せる歌のあと、月が降りてきて、そこから魔女が現れましたが、オリジナルなのか、演出家のアイデアなのかはわかりませんが、中々意表をつく演出と思いました。1幕の最後、ルサルカと王子が出会う場面、オーケストラによる描写と舞台がマッチし、とても印象的でした。そして、ルサルカが疲れて横になっている王子に手を恐る恐る触れる場面などぞくぞくさせられました。
2幕のポロネーズも演出、演奏とも、パリ・オペラ座のものと比べ、断然素晴らしいです。
それと2幕始めのいわゆるスボン役、とても滑稽で楽しめました。料理人役の加納さんが、食器を並べながら歌うのには感心させられました。またお盆に多くのワイングラスを載せていて危なっかしいと思っていたら、最後にお盆を傾けてもワイグラスが落ちないという落ちを見せてくれました。
3幕では、ベッドの脚を片方折って傾かせていて、呪いを受け入れなくてはならないルサルカの心境を見事に表出しているように感じました。そして最後のルサルカと王子の場面は、静かにそして熱く盛り上がりを見せます。
この演出では、最初、普通の少女が鏡の中に引き込まれルサルカになり、最後はまた元の少女に戻るという設定になっています。
イメージは、国立劇場のチラシ(借用しました)