Dalla Cucina

イタリアの旅の記憶を中心に
あれこれ書いています。

☆バポレットのシニョーラ

2020-11-04 23:24:00 | ☆イタリア 記憶の風景




Veneziaの記事を書く時、

ふと思い出してしまう出来事がいくつかあります。

先日もそうでした。

その中の一つが Veneziaには欠かせないバポレット(水上バス)の中でのこと。

それが、ジュデッカの路線だったか、

カナルグランデだったのか、

友人と一緒だったのか、ダンナとの旅だったのかは

思い出せないのですが、

ただ バポレットがすごく混んでいて、

デッキ周辺にいた私は、連れとも離れ離れになって、

学生や観光客の群れの中で身動きできないような状態でした。

若者で溢れる群れの中に、小柄なイタリア女性がいました。

パッと見た限りでは、私よりだいぶ年上のようなかんじ。







ぎゅうぎゅう押されて、

小さいシニョーラは沈んでしまいそうに私には見えたのでした。

思わず近ずいて「シニョーラ、よかったら私の手に捕まってください」と

申し出ました。

その人はにっこり笑って、

「ありがとう、あなたの手はとても暖かいのね」

と言って、私の手をぎゅっと握ったのです。

 ー この人を守っていこう ー

と、思う間も無く、

シニョーラは、私の手を握ったまま、

「はいよ、ごめんなさいねー」と、若者の波を押しのけて、

椅子席のある中に入って行きます。

その力はかなり強くて、びっくり。

「ちょっと通してね。はいはいごめんなさいね」

と、すごく慣れている感じがしました。



夕方のバポレットは中も満員でしたが、

椅子の若者はシニョーラがそばに立つと、

スルスルと立って、席を譲ります。






いくつか席が空くと、シニョーラは私を窓際の席に座るように招き、

「あなたはどこで降りるの?」と聞きます。

私が目的地を告げると、

「まだ先ね。私は次で降りるの。ではまたね、ありがとう。」

と、去って行きました。

座ったばかりなのに・・

あ、だから満員のデッキでも立っていたんだ。。。。

彼女を守るつもりが、反対にお世話になってしまったとは。。。



それにしても 小柄なシニョーラ、

力強い引っ張り方で頼もしかったなあ。



もしかして、年上ではなかったのかも。。。ね。





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