チェコの巨匠ラファエル・クーベリック(1914~1996)が「バイエルン放送交響楽団」と共に初来日公演を行ったのは1965年の春だった。 一行はこの年の「大阪国際フェスティバル」に参加、その後「北九州」、「名古屋」とまわり最後に「東京」で4日間の公演を行った。筆者も当時会場の「東京文化会館」に足を運んだ思い出がある。
東京公演の初日、4月21日の公演はブルックナーの大曲「交響曲第8番ハ短調」で始まった。当時の日本ではこのようなブルックナーの大曲が演奏されることはまれで外来オーケストラでも1959年のカラヤン&ウィーン・フィル(「第8番」日本初演)や1962年ハイティンク&アムステルダム・コンセルトヘボウ初来日公演時の「第5番」が思い起こされる程度である。残念ながら当時のこれらのライヴ音源は残されてないが初来日時の「クーベリック/バイエルン放送響」のこのほかの一部のコンサート・ライヴが今から十年ぐらい前に「NHK放送音源」から「CD化」された。写真(上)はその東京公演(4月23日・24日)のライヴを収めた2枚でこのほか「大阪公演」の4月12日・13日公演の一部もCD化(Altus/ALT008)されている。(Altus-ALT009・010、写真上/東京公演)
因みに東京公演(東京文化会館)のプログラムを列記する次のようになる。
4月21日 (水) ブルックナー 交響曲第8番ハ短調
4月22日 (木) ベートーヴェン 交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」
バルトーク 「管弦楽のための協奏曲」
4月23日 (金) モーツアルト 交響曲第35番ニ長調「ハフナー」(*)
ヒンデミット 「ウェーバーの主題による交響的変容」(*)
フランク 「交響曲短調」(*)
4月24日 (土) シューベルト 交響曲第8番(現、第7番)ロ短調「未完成」(*)
ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死(*)
ドヴォルザーク 交響曲第9番ホ短調 作品95 「新世界から」(*)
(*印=CD化、このほかに4/23のアンコール曲、ワーグナー/歌劇「ローエングリーン」第3幕への前奏曲もCD化)
尚、大阪公演のCD化はワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲と4/13のバルトーク「管弦楽のための協奏曲」・アンコール曲、ドヴォルザーク「スラヴ舞曲作品72-2、-7」 (以上 大阪フェスティバル・ホール)
(クーベリックのサインを表紙にした1965年東京公演プログラム)