診療報酬を巡る日本医師会と健保組合の利害対立が
最近になってからいよいよ明確になってきた。
単細胞な論者は何か諸悪の根源があって
日本の医療が悪化していると決めつけるが、
そのような煽動を迂闊に信じてはならない。
ごく狭い仲間内の都合しか眼中にない医療関係者も、
問題を先送りする傾向の極めて強い行政関係者も、
低い国民負担率で手厚い医療を求める無責任な有権者も、
有権者に迎合してバラまき医療を助長してきた政治家も、
みな今日の日本医療の危機的状態に対し責任がある。
↓ この当然のことすら理解されていない
医療予算をOECD加盟国平均並みにしたいなら、負担もOECD平均水準が必要-経済リテラシーの欠如
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/cd4c3425d006dc6dfc83ce7f363406dd
北原茂実氏は関係者の利害で身動きの取れない日本の医療界に
完全に見切りをつけているが、至極当然だと思う。
▽ 少子高齢化と予算不足で医療崩壊が生じると80年代に予見
もし医療関係者が本気で医療予算を増やしたければ、
国民負担率を欧州並みに近づけ手取りを減らさなければならないし、
自由開業・自由標榜のような特権も見直し必須である。
情報開示や夜間休日診療についても
有権者を説得できるだけの努力が必要だ。
▽ 実は欧州の方が医師への規制が厳しい
医師の方々には日頃世話になっており、知人も幾人かいるだけに
彼ら彼女らが真面目で勉強熱心であることはよく知っているが
こと医療政策に関して理解不能な主張が多いのは不思議で仕方ない。
仕分け結果による予算編成に反対-日医、診療報酬ネットプラスを要望(キャリアブレイン)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36125.html
”政府の行政刷新会議による「提言型政策仕分け」で、2012年度の診療報酬改定につ
いて本体部分の引き上げに反対する評価結果が出されたことに対し、日本医師会は
2日の定例記者会見で「決して、このままの形で予算編成すべきではない」と反論
し、診療報酬全体での引き上げを求める見解を発表した。
中川俊男副会長は会見で、12年度の予算編成と診療報酬改定に向けてまとめた見解
を説明。この中で、▽診療報酬は全体で引き上げる▽改定率は、あらかじめ入院と
外来に配分せず、中央社会保険医療協議会(中医協)の議論にゆだねる▽診療所と
中小病院を中心に、(再診療の見直しなど)「不合理な診療報酬項目の是正」を行
う――の3点を要望するとした。
政策仕分けでは診療報酬本体の引き上げ反対に加え、勤務医と開業医、診療科間の
報酬配分の見直しや、勤務医と開業医の収入の平準化などが提言された。この結果
について、中川副会長は「精緻なエビデンスのあるデータに基づいた議論が必要だ」
と批判。退職金相当額を留保する必要がある開業医の年収は勤務医と比較できない
といった点や、診療科間の年収比較の客体数不足など、議論に用いられたデータの
不備を指摘し、「報酬配分を見直すという評価結果を誘導している」と強調した。
また、11月28日の財政制度等審議会財政制度分科会でも、診療報酬引き上げを容認
する意見がなかったことについては、地域医療が依然として厳しい経営環境にある
ことを当日のヒアリングで説明したとして、「必ず理解が得られると思っている」
と述べた。”
→ 「開業医は退職金が必要だから診療報酬を引き上げよ」
「診療報酬配分の見直しにつながるデータは容認できない」
という趣旨にも読めるのですが違うのでしょうか。
依然として都市部に開業医が集中していること、
生活保護の医療扶助の問題が顕在化していること、
病院での勤務医不足に改善の兆しがないことなどには
全く関心がないのだと思われます。
診療報酬引き上げは「国民の理解得られぬ」-健保連など6団体が要請(キャリアブレイン)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35948.html
”健康保険組合連合会(健保連)など、中央社会保険医療協議会(中医協)の支払側
6団体は11日、2012年度診療報酬改定について、プラス改定の反対を掲げた要請書
を小宮山洋子厚生労働相あてに提出した。厳しい経済情勢や各保険者の財政状況を
踏まえ、国民の負担増につながる報酬引き上げは、「理解と納得が得られない」と
している。
要請は、健保連と国民健康保険中央会、全国健康保険協会(協会けんぽ)、全日本
海員組合、経団連、連合の連名。白川修二・健保連専務理事ら支払側委員が、外口
崇保険局長に手渡した。
要請書では、保険料収入を上回る医療費の伸びや、高齢者医療制度に対する支援金
などが医療保険財政を圧迫している現状を説明。医療経済実態調査の結果から医療
機関の経営状況は「おおむね改善傾向にある」とし、患者負担や保険料負担のアッ
プにつながる報酬引き上げに反対している。
一方で ▽勤務医の負担軽減などニーズの高い分野への評価 ▽入院期間の短縮とい
った医療の効率化 ▽介護報酬との同時改定を踏まえた連携強化 ▽東日本大震災の
被害への対応-については重要性を強調。診療報酬のみでは対応が難しいとして、
「補助金を確保することが必要」と訴えている。
白川専務理事は同日の記者会見で、「『前回改定は、大病院や急性期医療に手厚か
ったから、次は中小病院や診療所の番だ』という考え方は受け入れがたい」と主張。
その上で、薬価の引き下げ分を本体のプラス改定財源として、ネット(総額)での
引き上げを避ける場合は反対しないとの考えを示した。”
健保組合側には何としても保険料負担増や患者負担増を回避したいとの
強い意志が窺えるが、勤務医への配慮を見せた点などは
日医よりも大人の態度だと思う。
最近になってからいよいよ明確になってきた。
単細胞な論者は何か諸悪の根源があって
日本の医療が悪化していると決めつけるが、
そのような煽動を迂闊に信じてはならない。
ごく狭い仲間内の都合しか眼中にない医療関係者も、
問題を先送りする傾向の極めて強い行政関係者も、
低い国民負担率で手厚い医療を求める無責任な有権者も、
有権者に迎合してバラまき医療を助長してきた政治家も、
みな今日の日本医療の危機的状態に対し責任がある。
↓ この当然のことすら理解されていない
医療予算をOECD加盟国平均並みにしたいなら、負担もOECD平均水準が必要-経済リテラシーの欠如
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/cd4c3425d006dc6dfc83ce7f363406dd
北原茂実氏は関係者の利害で身動きの取れない日本の医療界に
完全に見切りをつけているが、至極当然だと思う。
▽ 少子高齢化と予算不足で医療崩壊が生じると80年代に予見
『「病院」がトヨタを超える日 医療は日本を救う輸出産業になる!』 | |
もし医療関係者が本気で医療予算を増やしたければ、
国民負担率を欧州並みに近づけ手取りを減らさなければならないし、
自由開業・自由標榜のような特権も見直し必須である。
情報開示や夜間休日診療についても
有権者を説得できるだけの努力が必要だ。
▽ 実は欧州の方が医師への規制が厳しい
『失われた「医療先進国」』(岩本聡,講談社) | |
医師の方々には日頃世話になっており、知人も幾人かいるだけに
彼ら彼女らが真面目で勉強熱心であることはよく知っているが
こと医療政策に関して理解不能な主張が多いのは不思議で仕方ない。
仕分け結果による予算編成に反対-日医、診療報酬ネットプラスを要望(キャリアブレイン)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36125.html
”政府の行政刷新会議による「提言型政策仕分け」で、2012年度の診療報酬改定につ
いて本体部分の引き上げに反対する評価結果が出されたことに対し、日本医師会は
2日の定例記者会見で「決して、このままの形で予算編成すべきではない」と反論
し、診療報酬全体での引き上げを求める見解を発表した。
中川俊男副会長は会見で、12年度の予算編成と診療報酬改定に向けてまとめた見解
を説明。この中で、▽診療報酬は全体で引き上げる▽改定率は、あらかじめ入院と
外来に配分せず、中央社会保険医療協議会(中医協)の議論にゆだねる▽診療所と
中小病院を中心に、(再診療の見直しなど)「不合理な診療報酬項目の是正」を行
う――の3点を要望するとした。
政策仕分けでは診療報酬本体の引き上げ反対に加え、勤務医と開業医、診療科間の
報酬配分の見直しや、勤務医と開業医の収入の平準化などが提言された。この結果
について、中川副会長は「精緻なエビデンスのあるデータに基づいた議論が必要だ」
と批判。退職金相当額を留保する必要がある開業医の年収は勤務医と比較できない
といった点や、診療科間の年収比較の客体数不足など、議論に用いられたデータの
不備を指摘し、「報酬配分を見直すという評価結果を誘導している」と強調した。
また、11月28日の財政制度等審議会財政制度分科会でも、診療報酬引き上げを容認
する意見がなかったことについては、地域医療が依然として厳しい経営環境にある
ことを当日のヒアリングで説明したとして、「必ず理解が得られると思っている」
と述べた。”
→ 「開業医は退職金が必要だから診療報酬を引き上げよ」
「診療報酬配分の見直しにつながるデータは容認できない」
という趣旨にも読めるのですが違うのでしょうか。
依然として都市部に開業医が集中していること、
生活保護の医療扶助の問題が顕在化していること、
病院での勤務医不足に改善の兆しがないことなどには
全く関心がないのだと思われます。
診療報酬引き上げは「国民の理解得られぬ」-健保連など6団体が要請(キャリアブレイン)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35948.html
”健康保険組合連合会(健保連)など、中央社会保険医療協議会(中医協)の支払側
6団体は11日、2012年度診療報酬改定について、プラス改定の反対を掲げた要請書
を小宮山洋子厚生労働相あてに提出した。厳しい経済情勢や各保険者の財政状況を
踏まえ、国民の負担増につながる報酬引き上げは、「理解と納得が得られない」と
している。
要請は、健保連と国民健康保険中央会、全国健康保険協会(協会けんぽ)、全日本
海員組合、経団連、連合の連名。白川修二・健保連専務理事ら支払側委員が、外口
崇保険局長に手渡した。
要請書では、保険料収入を上回る医療費の伸びや、高齢者医療制度に対する支援金
などが医療保険財政を圧迫している現状を説明。医療経済実態調査の結果から医療
機関の経営状況は「おおむね改善傾向にある」とし、患者負担や保険料負担のアッ
プにつながる報酬引き上げに反対している。
一方で ▽勤務医の負担軽減などニーズの高い分野への評価 ▽入院期間の短縮とい
った医療の効率化 ▽介護報酬との同時改定を踏まえた連携強化 ▽東日本大震災の
被害への対応-については重要性を強調。診療報酬のみでは対応が難しいとして、
「補助金を確保することが必要」と訴えている。
白川専務理事は同日の記者会見で、「『前回改定は、大病院や急性期医療に手厚か
ったから、次は中小病院や診療所の番だ』という考え方は受け入れがたい」と主張。
その上で、薬価の引き下げ分を本体のプラス改定財源として、ネット(総額)での
引き上げを避ける場合は反対しないとの考えを示した。”
健保組合側には何としても保険料負担増や患者負担増を回避したいとの
強い意志が窺えるが、勤務医への配慮を見せた点などは
日医よりも大人の態度だと思う。