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医療予算をOECD加盟国平均並みにしたいなら、負担もOECD平均水準が必要-経済リテラシーの欠如

2010-11-10 | いとすぎから見るこの社会-全般
医療関係の方々の多くが決定的に見落としていることは、
「医療費は誰かが払わなければならない」という現実です。

屢々「日本は医療費や医師・看護師の数をOECD並みに引き上げるべき」と
主張されますが、このロジックには重大な欠陥があります。
日本の国民負担率はOECD加盟国よりもかなり低い水準にあり、
医療予算を大きく増やせる筈がない
のです。
つまり今の日本の税率ではOECD並みの医療予算は不可能です。

少子高齢化に伴う医療財政の逼迫にも備えが全くなく、
巨額の国債利払いに政府財政が圧迫されている現状に無関心な人が多いは
信じられません。本当にぞっとします。

もし日本の医療関係者が医療予算の増額を求めるなら
自らの所得税率の引き上げを申し出る以外にあり得ません。

医療従事者の賃金はこのデフレの下でも高止まりしています。
医師で5~6%、看護師で2~3%程度なら充分に負担可能です。
医療予算に充当するよう政府と交渉すべきです。

税率を抑えたまま国民皆保険を維持しようとした怠慢が
今の政府債務累増を招いた「A級戦犯」のひとつです。


社会保障費大幅増など訴え国民集会(Careerbrain)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/30367.html

”日本医療労働組合連合会(田中千恵子・中央執行委員長)など14団体が実行委員会を
 構成した「社会保障費を大幅に増やし、医療・介護の拡充を求める10・21国民集会」
 が東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で開かれた。全国各地から医療・介護従事者ら
 が集まり、医師、看護師、介護職員の大幅増員などを求めた。集会後には都内中心部
 でパレードを行い、「社会保障費を増やせ」「夜勤を減らせ」「診療報酬を改善せよ」
 などとシュプレヒコールを上げた。
 主催者によると、今回で5回目となる集会には、雨天にもかかわらず5000人以上が
 参加。会場は雨がっぱに身を包んだ人々で埋め尽くされた。
 まず、実行委員会を代表して挨拶した田中氏は、これまでの取り組みの成果を評価す
 る一方、看護師の過労や介護職員の賃金の低さなどを例に挙げ、「地域医療の崩壊は
 まだまだ止まっていない」と指摘。その上で、医療費のOECD(経済協力開発機構)
 加盟国平均並みへの引き上げや介護職員の賃上げ
などを、「(わたしたちの)運動で
 実行させたい。安心して患者や国民が医療・介護にかかれる時代を築き上げよう」と
 呼び掛けた。
 〔中略〕
 その後「増やせ、減らせコール」と題して、参加者全員が厚生労働省に向けて「医師
 を増やせ」「残業を減らせ」「病院つぶしをやめろ」などと訴えた。
 医療・介護従事者らによる「トーク」では、全国医師ユニオン代表の植山直人氏が、
 医師の多くが過労やうつ病などを抱えていると指摘。「国民の安全を守るためにも、
 医者の労働環境をよくしないといけない」と述べた。
 広島市立広島市民病院で看護師として働く廣岡奈緒美氏は、夜勤人員が不足している
 窮状を説明し、「心と生活にゆとりを持ち、患者に寄り添うよい看護がしたい。その
 ためにも医師、看護師の大幅増員を」と訴えた。
 すこやか福祉会の介護職員である米沢哲氏は「介護報酬のプラス改定や介護職員処遇
 改善交付金で賃金が上がったのは事実だが、全産業の労働者の平均賃金の約6割とい
 われる。働き続けられる賃金にしていくには、まだまだ不十分だ」と述べ、制度改善
 の必要性を強調した。
 集会では最後に、「医療費を先進国(OECD)並みに確保し、社会保障制度の拡充を」
 「医師・看護師・介護職員を大幅に増やし、地域医療の確保を」「患者・利用者負担
 を軽減し、安全・安心の医療・介護の充実を」の3項目から成る集会アピールを採択。
 再度全員で「増やせ、減らせコール」を行った。”

 → この集会では社民党や共産党が政治活動を行っており、
   「医療費や社会保障の増額には負担が必要」
   という厳然たる事実を無視していることが分かります。

   きっとキューバのような貧しい国に転落しないと
   目が覚めないのでしょう。


厚労省の医師不足調査は「誤った認識与える」―医師ユニオン声明(Careerbrain)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/30101.html

”勤務医でつくる全国医師ユニオンは10月7日、厚生労働省が9月下旬に発表した
 「病院等における必要医師数実態調査の概要」について声明を出し、「初めて現場
 の実態を調査したという点で一定の評価はできるが、大きく誤った認識を国民に与
 える可能性が高い」との見解を示した。
 同調査は、医師不足の実態を明らかにしようと、全国の病院と分娩取り扱い診療所
 の計1万262施設を対象に、必要医師数や勤務形態などを調べたもの。
 声明では、同調査の手法が「各医療機関の意識調査」で「経営的視点も含めた主観
 的調査にすぎない」と指摘。また、地域によっては医師不足で医療機関が廃院にな
 っており、「病院が存在しない地域の必要医師数が0人となってしまう」など調査
 の不備があるとしている。
 さらに同調査の最大の問題点として「現在の低い診療報酬や医師の労働基準法違反
 を前提とした調査になっていること」を挙げ、「様々な医療問題を解決する上での
 あるべき医師数と、病院経営上可能な医師の求人とは全く別のもの」として、当直
 を課している全医療機関で、交代制勤務を導入した場合の医師数を調べるべきとの
 見解を示している。
 また、約2万4000人の医師不足という必要医師数の調査結果については、OECD
 (経済協力開発機構)加盟国の人口1000人当たりの医師数が平均3.1人なのに対し、
 日本は2.0人との現状を示し、「OECD並みの医師数にするためには最低でも現状
 の1.5倍の13万人の医師が必要」
で、すべての医療機関が対象ではない今回の調査
 で得られた結果について、「数字が一人歩きすることを危惧する」としている。
 こうした調査の問題点を踏まえて声明では、「関係省庁には、本来あるべき医師数
 を明らかにし、医療再生へ向けた医師増員と公的医療費・研究費・教育費の増額を
 求める」としている。”

…医師の労働負担が実は一部に偏っている実態も明言しないと。

OECD並みの医師数を確保する主張も結構ですが、
OECD諸国では医師のような高額所得者の税負担が日本より遥かに高い
(最低でも実質的に手取りが100万は減る)
という不都合な事実も認識して下さい。

米山医師のように「開業医の総量規制」など
現実的な策を選択してゆかないとこの日本そのものが没落します。





『医療格差の時代』(米山公啓,筑摩書房)

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