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『週刊エコノミスト』8月7日号 -「日本の生活保護は非効率的、貧困率が低下していない」小黒一正氏

2012-08-03 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』の特集は「漢方で勝つ!」でした。
何が「勝つ」なのかよく分かりませんでしたが。。

本当に医療費削減効果があるのなら検討する価値はあるでしょうが
医療予算の内容から見れば社会的入院や終末医療にメスを入れない限り
削減効果は限定的になるだろうと思います。

あと日本国内で複数の企業が漢方薬材料の生産に参入していると聞きます。
新しい動きは他にもある筈では。

『エコノミスト』2012年 8/7号


メイン特集以外の見所が二つあります。

P48では小黒一正氏が日本の生活保護を分析されていて、
公的扶助総額の対GDP比を国際比較すると日本とアメリカだけ乖離しており
公的扶助が非効率的である(=貧困改善に寄与していない)との指摘です。

あれだけ就労支援・予算が手薄で貧弱なままで
深刻な長期受給を放置しているので当然と言えば当然でしょう。

また、P82のギリシャ海運業のリポートは必見です。
ギリシャ政府と国民が苦境の最中にある時に
観光に次ぐギリシャ第2の産業である海運は「我が世の春」で
非課税特権を利用して蓄えたキャッシュで投資に次ぐ投資だとか。
ギリシャ人口の2%近くに相当する雇用のため政府も課税できない。

どっかの島国の大企業仲良しグループがこうならないことを祈る。
仲間内への減税を要求しながら損得だけで平然と企業を国外移転するのが「ギリシャ化」だ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

週刊東洋経済は恒例の読書特集。
特に経済書はイマイチだと思う。

過剰貯蓄が日本経済の宿病だとの論理は正しいが
そう考えるのであれば貯蓄課税すべきである。
成長率が1%を下回れば自動的に貯蓄課税して雇用政策に投入するスキームも良い。

『週刊東洋経済』2012年 8/4号


全部読んだ訳ではないが、2位が「新自由主義の復権」というのは
我が国の経済論壇がいかに貧弱であるかということの証左だろう。
一度当ウェブログで書いたと思うが事例として出ているカナダは
そもそも新自由主義ではない。いい加減な論理はやめて欲しい。

今は政府が市場をいかに利用するかという新しい時代に入っており、
単純で知的怠惰に溢れた新自由主義的発想はもう古い。
以下に挙げる本での市場と政策の分析の方が遥かにレベルが高い。

▽ スウェーデンは競争力の高い合理的な国





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


▽ 高収益で賢いノルウェーの漁業

『日本の魚は大丈夫か―漁業は三陸から生まれ変わる』(勝川俊雄,NHK出版)


▽ 高収益で多くの雇用を生み出している欧州の林業

『日本林業はよみがえる―森林再生のビジネスモデルを描く』(梶山恵司,日本経済新聞出版社)



▽ あと、政治でも経済でもどうしてこちらが取り上げられていないのか理解できない

『TPP 知財戦争の始まり』(渡辺惣一郎,草思社)


    ◇     ◇     ◇     ◇

週刊ダイヤモンドの特集は「JRvs私鉄」。
こちらについてはまだ後ほど。

『週刊ダイヤモンド』2012年 8/4号


鉄道警察の話などダイヤモンドならではの面白い切り口がある。
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