みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

安倍新首相に早速の試練 - 対北朝鮮政策に「切り札」はあるのか?

2006-10-11 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
安倍首相は得意の外交で得点を稼ごうとしたと思われますが、
どうも上手くいっていない模様です。

日中首脳会談、実利優先の和解で火種は消えず(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20061009ddm003030075000c.html

田中明彦 教授のコメントが鋭いです。
中国側の立場を最も正確に見抜いているのではないでしょうか。
(中国政府の対日外交は、常に中国国内問題の一環ですから)

” 「賭け」の部分が残っている。安倍首相は靖国神社に「行かない」とは言って
 いないだろうし、中国側も「批判しない」とは言っていないだろう。危ういと
 言えば危ういが、外交的な知恵であることは確かだ。アジア的な言い方をすれ
 ば「メンツを考えてほしい。そうすれば我々もあなたのメンツをつぶさない」
 ということ。安倍首相が靖国神社を参拝すれば、再び外交問題にならざるを得
 ない。”

この表面的な和解をどうしたら「フリーハンド」と解釈できるのでしょうか。

中西輝政 氏のコメントは不要だと思います。
著書には素晴らしいものもありますが、そもそも近現代史の専門家ではないですし、
常日頃の発言は研究者ではなくイデオロギストそのものです。
(参考まで、どちらが信頼できるのかウィキペディアでも御覧下さい)
結論が初めから決まっているなら、分析の必要もないでしょう。

… 或いは単なる「ガス抜き」のための掲載でしょうか?

   ◇     ◇     ◇     ◇

で、そうしている間に核実験の一報が。

北朝鮮が核実験、安倍首相は単独制裁を言明(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20061010k0000m010030000c.html

北朝鮮からの輸入・入港を全面禁止(共同通信)
http://www.excite.co.jp/News/politics/20061011233741/Kyodo_20061011a146010s20061011233741.html

単独制裁は、日本国内の世論を考えれば不可避ですが、
もちろん効果はほとんどありません。
もともと核実験はアメリカに向けて行われたものであり、
日本からの軍事的な圧力は皆無、経済的な圧力にも限度があるのですから、

「 効果が乏しいと分かっているが強硬な態度を取らざるを得ず、
 しかも日本国民がその効果のなさに注目するのを抑止する 」

という高等戦術が必要です。
日本の国内世論は一般に気紛れで移り気ですから、
日本政府が強い態度を取っても事態が改善しない場合、
フラストレーションのため「責任は日本政府に(も)ある」と
矛先を変えてくる可能性が高いです。

現情勢への冷静な分析を知りたい方は、次の記事を御覧になると良いでしょう。

アメリカの選択肢は少なく、当面は安保理と中国への働きかけか(共同通信)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20061010k0000m030057000c.html

” 米国は独自制裁として、北朝鮮に出入りする船舶の臨検強化や、金融制裁の
 対象拡大などを検討。しかし現時点で軍事攻撃の選択肢はなく、打つ手は限
 られているのが実情
だ。このため当面は、安保理が「直ちに行動を起こす」
 (スノー大統領報道官)よう旗振り役となり、制裁決議に沿って各国が北朝
 鮮に厳しい制裁を科すよう促す方針。特に、食糧やエネルギーの供給元に
 なっている中国
に強い圧力をかけ、金正日体制の封じ込めを目指す。”

太字はいとすぎによるものです。
勇ましい手段も時には必要ですが、政治はリアリズムです。

中国政府にとっては、北朝鮮が崩壊し朝鮮半島に強力な統一国家が生まれるか、
アメリカや韓国から強い干渉を受けるかの二者択一であり、
いずれにせよ相当の不安定要因です。
悪辣非道な独裁国家であっても、中国政府には危険が少なく、
資本主義国との緩衝帯になってくれる北朝鮮は貴重な存在ですから、
簡単に見捨てはしません。

つまり日本が北朝鮮問題を解決するためには、中国との協力が重要だ
ということです。安倍首相の前途には、思想的かつ政治的な難局が
待ち構えているものと思われます。

… 少しでも失策があると日本の世論が許してくれませんので、
難しい局面が続きそうです。(前門の東アジア情勢、後門の参院選)
もちろん、簡単に得点を稼げるステージは現状では残念ながら皆無です。

※ このエントリーは月曜に出来ていたのですが、誤って消してしまったので
 (涙) 改めて記載を追加してアップした次第です。。。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『週刊ダイヤモンド』10月... | TOP | 『週刊エコノミスト』10月... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界