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『週刊エコノミスト』7月5日号 - 生産性を悪化させ続けたアベノミクス、デフレ脱却に囚われたのが元凶

2022-07-01 | 『週刊エコノミスト』より
エコノミストの世界市場分析は常識的な内容だった。
(マクロの分析では東洋経済の加谷氏の方が優れている)
マネックス役員の広木は早くも今年の東証最安値の予想を外しており、
いつものことながら楽観し過ぎて恥をかいてしまったようだ。。

ところで見逃せないのは、FRBが一転利下げに追い込まれて
急激な円高の可能性がある
との指摘だろう。
当ウェブログとしても、今年秋以降に十分あり得るリスクシナリオと思う。

マーケット分析としては市岡繁男氏の方も必読である。
氏は昨年11月の段階でNYダウのチャートが
1989年の日本株チャートと酷似していると指摘した。
その後の推移は周知の通りの金利上昇、米株下落だが、
更なるリスク要因として欧州銀の株価が回復していないこと、
それなのにECBが利上げに動いていること
を挙げている。

……バブルだと断言してきた当ウェブログとしても完全に同意見である。

『週刊エコノミスト』2022年 7/5号【特集:総崩れ! 世界経済】


エントリーのサブタイトルは翁百合氏の寄稿(80頁)より。
デフレ脱却などという妄言を繰り返して日本経済を衰退させた、
アベノミクスの大失敗を理路整然と説いており、納得の論である。
執筆者はアベノミクスでは潜在成長率が改善せず、
経済成長率も出生率も下がり続けたと指摘している。
生産性については正確には付加価値生産性が低迷で世界順位は悪化、
全要素生産性は下がり続けたというべきだと思うが、概ね妥当である。

最近流行りの財政支出拡大論にも辛辣で、
生産性向上などに寄与するかどうかも考えず
財政支出規模ばかりにこだわっている
と正々堂々の議論である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

東洋経済の「インフレと資産運用」特集だが、内容は凡庸であった。
先週、「遅きに失した、東洋経済のインフレ時代の投資特集」と書いた通りか。

特集内にGPIFのアセットアロケーションを見倣うべきとの
衆愚論があっておいおいと思ったが、
(GPIFは今まさに巨額損失を出している最中なのに!!)
特集後半の加谷氏のコラムだけ素晴らしい。
氏はメディアでは当たり障りない発言が多いが、
ここでは「楽観は禁物」とさり気なく書いているので、
氏は矢張りバブル崩壊を想定しているのだと感じた。

記事中ではインフレだった1970年代の米株インデックスと物価を比較しており、
株価は完全に物価に負けて停滞したままの惨憺たる有様なのだ!

確かに米金利は当時、信じられない程に高かったが、
現在はその代わりに中銀の拵えた壮大な緩和バブルが
利上げによって崩壊しようとしているから決して油断できない。

『週刊東洋経済』2022/7/2号 (インフレ時代の資産運用術)


佐藤優氏のコラムは相変わらずのロシア・サイド。
一貫性があるだけで鋭さはない。
ロシアが脅しに出ているのは苦境だからであって、
だからこそ予備兵力まで投入する羽目に陥っているのだ。
おまけに戦線が伸び切っているので必ず反撃を受けることになる。

ナポレオンや独ソ戦の事例を出すロシア側の言い分を垂れ流すのも論外で、
キーウ攻撃やミサイル攻撃を見ても明らかに侵略者はプーチンであり、
祖国防衛を騙るなどナチスのような詭弁に過ぎない。

ロシアの世論調査など自滅の兆候でしかなく、
プーチンが日中戦争の際の日本と同じ泥沼に陥ったというだけの話だ。
アフガン撤退した米国を嘲笑っていたロシアは、
ウクライナの泥沼でそれ以上の打撃を受け、
かつての同胞国と長らく敵対することになろう。
ウクライナはロシアのサイバー部隊の手の内を知っているし
人材も多いから、この分野でもロシアにとって大打撃となる。

ウクライナ支援によって米軍需企業は在庫一掃セールで大儲けしており、
中間選挙がどうなろうと大統領はバイデンのままなのだから、
人権重視の旗を上げてしまった点でも米国も引き返せない。

    ◇     ◇     ◇     ◇

ダイヤモンドの社外取締役特集はなかなか面白い。
特に女性の社外取締役はどう見てもお飾りで
女性活躍、男女平等と見せかけるためのアリバイだ。
(編集部にはぜひ、株主や研究者からの厳しい見方を取材してほしい)

『週刊ダイヤモンド』2022年7/2号 (社外取締役)


ところで愚昧な安倍政権下の企業ガバナンス改革だが、
そもそも効果はどうだったのだろうか?
日本経済としては効果がゼロに等しいのは明白だが、
経済界にとっても効果が大きかったようには思えない。
寧ろ、企業不祥事は増えたのではないだろうか。
今後の研究を待ちたいところ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週は東洋経済に注目、今まで少子化対策をサボってきた因果応報だろうけれど。

▽ 最近ビッグマウスで図に乗る明石市長は、実際は近隣から子育て世帯をかき集めただけなのだが

『週刊東洋経済』2022年7/9号(選挙後に迫る「年金危機」 人口減サバイバル)


▽ 金利高なら半導体は意想外の苦境に陥ると思うダイヤモンド特集

『週刊ダイヤモンド』 2022年7/9号(5年後の業界地図)


▽ エコノミストはいつもはタイムリーだが、このインフレについては最終局面が近いと思う



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