今週の東洋経済の人権特集は「良薬口に苦し」で、
年に一度あるかないかの秀逸な内容である。
人権問題に鈍感な日本企業の弱点が重大なリスクになることを
今号の特集の熟読により経営・管理層は真摯に学ぶべきであろう。
40頁に米企業の株主提案で浮き彫りになった人権リスク一覧がある。
これは近い将来、必ず日本企業にも襲来する人権リスクでもある。
中国のカントリーリスクは今後、益々大きくなる。
昔から言われているが、リスク分散を進めるとともに
人権面での情報収集と分析を怠らず、政府と共に働きかけを強めるべきだ。
同時に、多額のODAをミャンマーの民主化に活用しない
日本政府(特に外務省)の人権感覚の異常さも糾弾すべきである。
(経済界にとっても優秀な人材を獲得する絶好の好機でもあるのだ!)
エントリーのサブタイトルは特集PART2「日本企業と外国人労働者」より。
こちらも日本企業、ひいては日本社会の大問題で、非常に鋭い。
もうベトナム国内に日本の悪評が拡散してしまっており、
日本でやる仕事は低賃金の重労働だと知れ渡っている
という恥ずべき状況であるとか。。
当ウェブログが前々から指摘しているように
この政治的腐敗は歴代の自民党政権がもたらしたもので、
親日感情の強いベトナム社会において日本の声望を毀損するばかりか
今後の両国関係にも罅を入れかねない大問題である。
腐敗したベトナム共産党と腐敗した金権自民党が結託し、
国内の低生産性分野の人手不足対策として単純労働者を受け入れる限り、
日本経済のみならず日本社会の重大な禍根となろう。
ガラガラポンが大好きなリベラルは「廃止するしかない」と、
当人も単純労働移民の労働による低価格を享受している癖に
無責任な発言をしているが、それでは数少ない良心的な雇用主に打撃が大きい。
技能実習生は数を大幅に制限し、転職制限を緩和し、
より高所得を得られるようにして人権問題を解決するとともに、
企業が奨学金付きで直接ベトナム現地で選抜し雇用できるように
より高度な人材を受け入れる体制に改めるべきである。
今後の経済政策についてはサブ特集の「新興国ユニコーン」が重要。
印だけでなくブラジル、インドネシアでも新興ベンチャー続々で、
人口規模の左程大きくないトルコですら日本を追い上げてきている。
人口動態を見ると明らかに若年人口の多い国でユニコーン企業が多く、
長らく少子高齢化を放置してきた日本の人口面での無為無策が
ユニコーンが中々増えない根本的な要因として浮上してくる。
反面、今号で最も評価できないのは佐藤優氏の連載コラム。
北方領土が返ってきさえするのであれば、米国の
中距離ミサイルは配備しないとロシアと約束すべきという
安全保障リテラシーも外交リテラシーも酷く低い内容で仰天。
アメリカの中距離ミサイル配備は、安全保障においても
対中・対北外交においても最大限に有効なカードである。
正確に言えば、敵性国家に示しつつ容易にカードを切らないことで
最大限の効果を発揮する強力な切り札なのだから、
それを自ら放棄するなどあり得ない。
氏は、暗愚な安倍の内向きポピュリズム外交により
北方領土でロシア系住民が増え、直接投資も増えてしまい
益々返還への距離が遠ざかったという厳然たる事実を直視すべきである。
北方領土が返って来るなど狼少年のような言説を軽々しく振りまくべきではない。
ロシアが相当弱っていない限り、北方領土返還に過大な対価を求めるのは自明だ。
◇ ◇ ◇ ◇
週刊ダイヤモンドの「塾・予備校」特集は、ICTの弱みを
逆に浮き彫りにする結果と言えるのではないだろうか。
CMばんばん打っているスタディサプリでは8割もの生徒が
「能動的に使いこなせず」「長続きしない」という始末。。
サプリ側もそれに悩んで高価なサポート付きコースを創設したらしいが、
今回の記事に出てこないということは余り成功していないのだろう。
天下の河合塾も映像部門だと「最も役立った」と回答する
生徒の数が4分の1以下に激減するというアンケート結果も象徴的だ。
矢張り日本経済が貧困化した結果、学外教育費に支出が難しくなり、
個々人によって教育効果の差が出易い「安かろう、悪かろう」のエデュテックで
益々能力と成果の格差が拡大するという深刻な病巣が生じつつある。
アメリカの研究ではテクノロジーでは教育の質は改善せず、
教える側の熱意が重要な鍵ではないかとの説が出ているが、
日本の嘆かわしい現状と丁度合致する。
役立ちランキングで下位に沈んでいる個別指導系は業績では寧ろ悪くない。
しかし大学教員は今の大学生の主体性、覇気のなさを嘆いていると仄聞する。
今回の特集は、18歳人口が減少し続ける少子化の中で大学を粗製濫造し、
人材の劣化が着実に進む日本の現実を映し出したものと言えよう。。
武田塾のように問題集だけで合格をという視点(←派手な広告が質を疑わせる)、
塾通いの必要ない学校を評価するという視点も日本の貧困化の証左であり、
(本来ならより自由で多様な教育コンテンツで豊かな人材育成を目指すべき)
実質的に画一的な教育しかできない大人数の一斉授業では
確実に取りこぼしを出している筈なのだ。
ダイヤモンド誌には安易なヨイショより健全な批判と冷静な検証を期待する。
期待した「鉱物資源の価格が10年間は上昇を続けるといえる理由」は
意外と想定内で、脱炭素の影響は少し前のエコノミストで記事になっていた。
コモディティそれぞれに分けてより精緻な分析が必要かと。
◇ ◇ ◇ ◇
次週の注目は東洋経済、但し玉石混淆の可能性が高い。(オードリー・タンも入っていない。。)
▽「TED並みのプレゼンを2時間で」ってのは明らかに誇大広告だろう
▽ 何度目かの日立特集、グローバル市場では全然「最強」などではない
▽ 有益さでは断然、エコノミストが一番!!
休養十分の誌面に期待、但し超円安はまだ先の話と思う。
年に一度あるかないかの秀逸な内容である。
人権問題に鈍感な日本企業の弱点が重大なリスクになることを
今号の特集の熟読により経営・管理層は真摯に学ぶべきであろう。
40頁に米企業の株主提案で浮き彫りになった人権リスク一覧がある。
これは近い将来、必ず日本企業にも襲来する人権リスクでもある。
中国のカントリーリスクは今後、益々大きくなる。
昔から言われているが、リスク分散を進めるとともに
人権面での情報収集と分析を怠らず、政府と共に働きかけを強めるべきだ。
同時に、多額のODAをミャンマーの民主化に活用しない
日本政府(特に外務省)の人権感覚の異常さも糾弾すべきである。
(経済界にとっても優秀な人材を獲得する絶好の好機でもあるのだ!)
エントリーのサブタイトルは特集PART2「日本企業と外国人労働者」より。
こちらも日本企業、ひいては日本社会の大問題で、非常に鋭い。
もうベトナム国内に日本の悪評が拡散してしまっており、
日本でやる仕事は低賃金の重労働だと知れ渡っている
という恥ずべき状況であるとか。。
当ウェブログが前々から指摘しているように
この政治的腐敗は歴代の自民党政権がもたらしたもので、
親日感情の強いベトナム社会において日本の声望を毀損するばかりか
今後の両国関係にも罅を入れかねない大問題である。
腐敗したベトナム共産党と腐敗した金権自民党が結託し、
国内の低生産性分野の人手不足対策として単純労働者を受け入れる限り、
日本経済のみならず日本社会の重大な禍根となろう。
ガラガラポンが大好きなリベラルは「廃止するしかない」と、
当人も単純労働移民の労働による低価格を享受している癖に
無責任な発言をしているが、それでは数少ない良心的な雇用主に打撃が大きい。
技能実習生は数を大幅に制限し、転職制限を緩和し、
より高所得を得られるようにして人権問題を解決するとともに、
企業が奨学金付きで直接ベトナム現地で選抜し雇用できるように
より高度な人材を受け入れる体制に改めるべきである。
『週刊東洋経済』2021年9/25号 (ビジネスと人権) |
今後の経済政策についてはサブ特集の「新興国ユニコーン」が重要。
印だけでなくブラジル、インドネシアでも新興ベンチャー続々で、
人口規模の左程大きくないトルコですら日本を追い上げてきている。
人口動態を見ると明らかに若年人口の多い国でユニコーン企業が多く、
長らく少子高齢化を放置してきた日本の人口面での無為無策が
ユニコーンが中々増えない根本的な要因として浮上してくる。
反面、今号で最も評価できないのは佐藤優氏の連載コラム。
北方領土が返ってきさえするのであれば、米国の
中距離ミサイルは配備しないとロシアと約束すべきという
安全保障リテラシーも外交リテラシーも酷く低い内容で仰天。
アメリカの中距離ミサイル配備は、安全保障においても
対中・対北外交においても最大限に有効なカードである。
正確に言えば、敵性国家に示しつつ容易にカードを切らないことで
最大限の効果を発揮する強力な切り札なのだから、
それを自ら放棄するなどあり得ない。
氏は、暗愚な安倍の内向きポピュリズム外交により
北方領土でロシア系住民が増え、直接投資も増えてしまい
益々返還への距離が遠ざかったという厳然たる事実を直視すべきである。
北方領土が返って来るなど狼少年のような言説を軽々しく振りまくべきではない。
ロシアが相当弱っていない限り、北方領土返還に過大な対価を求めるのは自明だ。
◇ ◇ ◇ ◇
週刊ダイヤモンドの「塾・予備校」特集は、ICTの弱みを
逆に浮き彫りにする結果と言えるのではないだろうか。
CMばんばん打っているスタディサプリでは8割もの生徒が
「能動的に使いこなせず」「長続きしない」という始末。。
サプリ側もそれに悩んで高価なサポート付きコースを創設したらしいが、
今回の記事に出てこないということは余り成功していないのだろう。
天下の河合塾も映像部門だと「最も役立った」と回答する
生徒の数が4分の1以下に激減するというアンケート結果も象徴的だ。
矢張り日本経済が貧困化した結果、学外教育費に支出が難しくなり、
個々人によって教育効果の差が出易い「安かろう、悪かろう」のエデュテックで
益々能力と成果の格差が拡大するという深刻な病巣が生じつつある。
アメリカの研究ではテクノロジーでは教育の質は改善せず、
教える側の熱意が重要な鍵ではないかとの説が出ているが、
日本の嘆かわしい現状と丁度合致する。
役立ちランキングで下位に沈んでいる個別指導系は業績では寧ろ悪くない。
しかし大学教員は今の大学生の主体性、覇気のなさを嘆いていると仄聞する。
今回の特集は、18歳人口が減少し続ける少子化の中で大学を粗製濫造し、
人材の劣化が着実に進む日本の現実を映し出したものと言えよう。。
武田塾のように問題集だけで合格をという視点(←派手な広告が質を疑わせる)、
塾通いの必要ない学校を評価するという視点も日本の貧困化の証左であり、
(本来ならより自由で多様な教育コンテンツで豊かな人材育成を目指すべき)
実質的に画一的な教育しかできない大人数の一斉授業では
確実に取りこぼしを出している筈なのだ。
ダイヤモンド誌には安易なヨイショより健全な批判と冷静な検証を期待する。
『週刊ダイヤモンド』2021年 9/25号 (わが子にピッタリ! がわかる 塾・予備校) |
期待した「鉱物資源の価格が10年間は上昇を続けるといえる理由」は
意外と想定内で、脱炭素の影響は少し前のエコノミストで記事になっていた。
コモディティそれぞれに分けてより精緻な分析が必要かと。
◇ ◇ ◇ ◇
次週の注目は東洋経済、但し玉石混淆の可能性が高い。(オードリー・タンも入っていない。。)
▽「TED並みのプレゼンを2時間で」ってのは明らかに誇大広告だろう
『週刊東洋経済』2021/10/2号 (無敵の話し方) |
▽ 何度目かの日立特集、グローバル市場では全然「最強」などではない
『週刊ダイヤモンド』21年10/2号 (日立財閥 最強グループの真贋) |
▽ 有益さでは断然、エコノミストが一番!!
『週刊エコノミスト』2021年10月5日号 |
休養十分の誌面に期待、但し超円安はまだ先の話と思う。