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流出雑記 

2012/7/14

2012年07月15日 | Weblog

曇り時々晴れ間もあり時雨もあり

午後から大阪で仕事。

仕事場のアトリエは住宅街のなかにあって、アトリエの隣の家はいつも荒れている。玄関先がごちゃごちゃしている。金柑の木が植わっていて、時期になるとたわわに実るのに金柑に興味がないようで、収穫されないまま落ちて腐った実がそのままほったらかされている。かつてはいたのか今は空き家になっている犬小屋の上には雨ざらしで色あせた座布団が2枚乗せられている。アトリエに3年ばかり通っているが、未だこの家の住人を見たことはない。がさつだなあと思いながらしかしこの家の前を通るのを毎回楽しみにしているのはそこに猫がいるからだ。

サビ柄の猫で耳が垂れている。ちょっとヒマラヤンみたいに目の離れた忘れられない間抜けな顔をしていた。はじめて見たときは子猫だった。その家で餌付けをしている猫が産んだようだったが、目やにと鼻水も出ていた。もしかしたらあんまり丈夫な子じゃないかも知れないと思った。

その後しばらく見かけず、もしかしたらだめだったのかなと思っていた頃、また出会った。無事に育っていた。触らせてはくれないが、近くには寄れる。舌がちょっとはみ出したやはり間抜けな顔をしていたし、よく見ると左の前足の指が奇形だったがとにかく生きていた。それからしばらくいたりいなかったり、いるときにはにおいを覚えてもらおうと指を差し出して嗅いでもらった。

ここ数ヶ月姿を見ていないので気がかりだったが先週、久々に例の犬小屋のぼろ座布団の上にいるのを見つけた。あっと近寄って、あることに気付いて立ち止まる。見るからに痩せて毛艶も悪く、目つきも朦朧としている。いつもなら逃げる距離を一歩近づいたがほとんど声を出さずに鳴いて逃げる気力もない。様子を見るに死期が近かいことはあきらかだった。

今日また家の前を通ったが出会わなかった。

外にいる猫は病気になるリスクが高いし、家猫のように何十年も生きられない。病気になったり、野良が増えて苦情が出て保健所なんて猫を増やすくらいならと野良に積極的に避妊、去勢手術をする動物愛護団体もある。

先月まで野良だった我が家の小麦。徐々に家の生活が馴染み、押入れにお気に入りの場所を作ったり、朝起きると朝ごはん早く頼みます、とそばに来る。小麦は左耳の先が切れている。この野良は避妊済みであるという印で切り取られている。お腹の傷跡は毛に覆われてもう見当たらない。切れた耳の端に触ると、良かれと思ってしていることもそうでないことも人間の勝手な事情に過ぎないと思い知らされる。それでも一緒にいたい。少しでも幸せな気持ちで暮らしてほしいとただ思っている。ざりざりの舌で痛いくらい手を舐めてくれる小麦。

 

2件の仕事を終えて帰ったのは11時。河原町から京阪に乗り換えるとき地上に出たら宵ヶ山で四条は賑わっていた。襟を抜くをはるかに通り越しオフショルダーに浴衣を着る女子高生。浴衣着たい。

家に帰るとタンドレスのケーキがあった。誕生日、食事には行ったけどケーキを買ってなかったからと買ってきてくれた。ピスタチオとフランボワーズのムース、いろんな濃度のかぼちゃクリームを重ねたケーキ、キャラメルりんごとチョコレートのケーキ。どれも濃厚で材料、食感、組み合わせの端々にこだわりがびしびし伝わってくる。贅沢で胃が満ちる。

テレビのニュース。九州で大雨。川が氾濫して水浸しになった町がうつる。

夜中京都でも豪雨。