坊主の家計簿

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 思いを伝えてよ 何も始まらないからね

悪人ゆかりの地

2010年07月13日 | 坊主の家計簿
 母校の夏合宿。なんだが、仕事の都合で日帰り。
 様々な刺激を頂いたのだが、その話は『置いといて』、母校は京都・岡崎にある。交通の便が悪い。最寄りの電車駅から徒歩15分(で、行けたっけ?)であり、もしくはバスである。バスなら一本で大阪市内まで帰って来れる電車に乗れるのだが、最寄りの電車駅からなら三条で乗り換えであり、え~。。。帰りが危ない。
 一応、午後10時に今日の予定が終了だったのだが、午後10時からなら、我が家に帰って来れるか微妙である。一番の安全パイは三条、もしくは丸太町までタクシーを使う事なんだが、「それやったら車で行っちゃえ」と、車で出かける。まあ、行きしなだけ阪神高速700円を使っても、結局安上がりだし、何よりも安心である。

 大阪方面から京都市内に行く時には国道一号線を使う。で、国道一号線から堀川通りへ。堀川通りには西本願寺がある。信号待ちで西本願寺前に。なにやら看板に「新撰組ゆかりの地」とかウンタラかんたら。車は堀川丸太町で右折して岡崎方面へ。途中『黒谷さん』っちゅう名前で有名な寺の看板に、これまた「新撰組ゆかりの地」とかウンタラかんたら。
 「ん?」と、疑問に思う。「これって、『第6師団ゆかりの地』って、書いてあるのと変わらんよなぁ。。。」と。ちなみに東本願寺は確かめていない。
 
 んが、まあ、『第6師団(別に他でもエエのだが)ゆかりの地』と書いてあっても別にエエ、っちゅうたらエエんだが、やっぱし印象が違いまんがな。まあ、同じ『軍隊』なんだし、殺戮集団である事には変わりがない。でも、印象が違う。少なくとも私の中では印象が違う。『第6師団ゆかりの地』と書いてあるのならば、「戦争協力をした事を反省しとらんのか?」なんだが、『新撰組ゆかりの地』ならば、「おお、『新撰組ゆかりの地』という事で観光客に入って来てもらって、そこで多少でも仏教に触れてもらったらエエ話やのぉ。。。」になったりする。
 でも、まあ、同じやんけ。

 昨日、選挙報道を見つつ、飽きたので録画していた龍馬伝を見る。岡田以蔵が殺された。
 と、まあ、『岡田以蔵が殺された』と書いてしまう。武市半平太よりも岡田以蔵に私は感情移入してしまう。ちなみに、以前読んだ小説では武市半平太から毒まんじゅうを渡された=武市半平太から見捨てられた→自白した、みたいな流れだったと思うので。「へっへっへっへ。。。武市さんよ。あんただって俺と同じ赤い血が流れてるんだろ」みたいな感じで、武市半平太に使われて見捨てられる岡田以蔵に感情移入してしまったりする。
 で、理由は様々なんだろうが、岡田以蔵も結構人気があると思ったりするのだが。
 岡田以蔵は人殺しである。理由は様々であれ、人殺しである。なんせ『人斬り以蔵』である。

 録画して見ていないのだが、土曜だったかな?NHKで永山則夫の番組をやってた。永山則夫も岡田以蔵と同じやろ。

 千葉法務大臣が落選した。一説によると原因のひとつに千葉法務大臣が死刑に反対であるからである、という説があるらしい。

 山内容堂や後藤象二郎が千葉法務大臣であって、「以蔵、お前の死罪を許してやろう」とか言ったなら、それこそ御涙頂戴物語ではないのか?「死罪は出て居るが、死罪を断行するには私の許可がいる。私はお前の斬首の許可を絶対にしない」等と云ってたら、御涙頂戴物語であって、それこそ「容堂公は名君じゃ」と。昨日の放送でそういうシーンがあれば、涙無くしては見れない名シーンではないのか?それこそ、幕末の美談として語り継がれる話ではないのか?
 だが、現実には「以蔵を殺せ!」であり、「首謀者の半平太を殺せ!」と、死刑賛成の意見が多いみたいである。

 そういうのは『ご都合主義』ではないのか?死刑賛成派なら、「以蔵を殺せ!」であり、「半平太を殺せ!」である。しかし、過去の事であり、その素性を知れば知る程、その死に、殺される事に対して涙する。
 「遺族の気持ちを考えろ!」であるのならば、以蔵に殺された人達の遺族は龍馬伝には出て来なかったはずであるが、半平太が首謀者となって殺した吉田東洋を義理の叔父に持つ後藤象二郎は龍馬伝では『なんとなく悪役』であったりする。
 「吐け!お前が東洋様を殺したのだろう!」と以蔵を厳しく虐待し、半平太に強く迫り、嘘の証言で「俺が吉田東洋を殺した」と言った坂本龍馬を殺そうとした立場に、「そうや、後藤象二郎。お前がどれだけ悔しい思いをしたのか」と。坂本龍馬や、テレビの向こうで半平太や以蔵に感情移入している人達に対して「遺族感情を考えろ!俺の気持ちを考えろ!」と。
 しかし、龍馬伝では『なんとなく悪役』である。これは死刑賛成派の人達を悪役にしてしまっている『立場』の人達と変わらん。

 新撰組も第6師団(別に他でもエエのだが。。。)も戦闘部隊であり、殺人集団である。でも、イメージが変わって来る。新撰組がイヤなら奇兵隊でもエエ。『奇兵隊ゆかりの地』と書かれた平和を願う寺でもエエ。

 平和を願う、平和ボケかも知らんが、死刑反対であり、戦争反対の平和ボケの寺に、

「敵を恨むな、敵を討つな、復讐の連鎖を絶て」

 という法然上人の伝統をくむ、浄土宗、浄土真宗の寺に、デカデカと『新撰組ゆかりの地』みたいな事が書かれてあった。

【「仏心とはなにか。たとえば殺人を犯した人がいたとする。真の仏心とは、殺された人の立場にたって殺人者をにくむことではない。むしろその逆である。殺人者に、君、からだは大切にしなさいよ、と声をかけることである。」】(花山信勝氏 但し『中公文庫 小林弘忠 巣鴨プリズン 187ページより)