坊主の家計簿

♪こらえちゃいけないんだ You
 思いを伝えてよ 何も始まらないからね

臆病者

2007年01月31日 | 坊主の家計簿
 1月31日

 雑費  mixベリージュース        390円
     漫画喫茶             210円
     ペット水             120円
 外食  担々麺らいす           760円
 食類  豚バラ              195円
     ひじき              138円
     しめじ              100円
     菜種漬け             198円
     甘エビ               88円
     なんか白身の刺身         298円
     もずく              100円
 
 合計                  2597円
 1月累計              193353円

 私は1.5リッターの炭酸飲料は買わない。何故ならペットボトルに入っているからだ。
 当然、一気に飲めれば問題はないのだが、一人で1.5リッターもの炭酸飲料を飲み干すのはビール以外では無理やし。
 いや、別に炭酸が軽く抜ける程度はエエねん。でも、もっと重大な原因があって、あのでっかいペットボトルはどうしても冷蔵庫の扉の裏側に入れんと入らん。いや、ヨコにしたら、なんかペットボトルから漏れそうやん。だから、どうしても冷蔵庫の扉の裏に収納してしまう事になる。
 すると、コップ一杯分だけ飲んだコーラなんかを冷蔵庫に入れて冷蔵庫の扉を閉める。
 「ん?ひょっとして今扉を閉めた振動で中のコーラにショックが加わり、『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』になってないだろうか?」と気になるのだ。
 気になるとどうしても観たくなる。心配性で小心者の私は外出時に団地の階段を下りる途中で「あれ?鍵しめたかな?」と、もう一度玄関まで確認しに行くようなヤツやし。だから冷蔵庫を開けて確認する。
 「あ~、良かった。炭酸で爆発して冷蔵庫の中が『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』なってなくて良かった、良かった。」
 と、冷蔵庫の扉を閉める。
 「ん?さっきは大丈夫だったが、これで短い時間の間に2回も振動を与えてしまったわけだ。2回、っちゅう事は倍の振動を与えてしまった事になる。。。うわ!ヤベー!」
 と、冷蔵庫の扉を開けて確認する。
 「おお!大丈夫やったか。なんせ冷蔵庫の中で『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』になってたら大変やしなぁ。。。」と、扉を閉める。電気代勿体ないし。
 「おお!何をしとるねん。冷蔵庫の扉を閉めたら、そのショックでコーラが『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』になってたら大変やで。しかもこれで3回もショックを与えてもうたわけやんけ。3回っちゅうたら3倍のショックやで、2倍からでいうても1.5倍のショックを与えてもうてんから、今度はあかんかも解らん。。。ああ、冷蔵庫の中で『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』になってたらどうしよ。。。」
 と、扉を開ける。
 まだ、大丈夫だった。これは私の日頃の行ないの良さと、私が近年まれにみる好青年だからコーラも気を使ってるのかも知れんなぁ。。。と安堵して扉を閉める。
 「うわ!何をしとるねん!今回こそあかんかも知れんぞ!!!」
 と慌てて冷蔵庫の扉を開けて確認する。
 「なんじゃい!まだ『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』状態になっとらんやんけ!もっと気合い入れんか、このクソコーラが!」
 と、乱暴に扉を閉める。
 「わっちゃ~。。。なんか、ワケ解らん事になってるぞ。そんな乱暴に扉を閉めたら冷蔵庫の中でコーラが『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』になってるに決まってるやんけ。大丈夫かな?」
 と冷蔵庫を開け
 「なんじゃい!まだなっとらんのか?お前ホンマに炭酸入っとるのか?炭酸飲料やったらもうそろそろ『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』になってもエエやろ!」
 と冷蔵庫の扉をおもくそ閉める。
 「ハアハアハア。。。落ち着け。俺は何をしてるねん。そんなに乱暴に冷蔵庫の扉を閉めたら冷蔵庫の中で『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』になってまうやんけ。そうや、とりあえず落ち着く為にビールでも飲んでタバコ吸って考えよ」
 と冷蔵庫の扉を開けてチルドに入れてあるビールを取り出してタバコを吸う。
 「ん?そういや、さっきビールを取り出す時に冷蔵庫の中でコーラが『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』になってなかったかな?あかん、あかん。ここで焦って冷蔵庫を開けたら、また、さっきと同じ状態やんけ。ここはまずは落ち着く事が先決や。」

 と、ビールを一口飲んでみたのだが、落ち着かない。どうしても頭の中は冷蔵庫の事が心配で心配でならないのだ。
 私が何故ここまで冷蔵庫の事を心配しているかと云えば、この冷蔵庫には想い出が沢山詰まっているのだ。この冷蔵庫は彼女と同棲時代に買ったものだ。それまでは一人暮らしで使ってた小さな冷蔵庫を使ってた。でも、二人で住むようになって、料理を互いに交代でするようになるとどうしても大きな冷蔵庫が欲しくなる。
 私は「頑張って仕事して、二人でお金を出し合って買おうよ」と云った。
 彼女は看護学生だった。仕事をしながら看護学校に通って居た。そして彼女は新しい冷蔵庫欲しさし夜勤と残業を増やした。昼間は看護学校があったので仕事はできない。だから学校が終わってから少しだけ仮眠して夜勤に早くから出て行った。前倒しの残業だ。
 そういう生活をどれくらい続けたのだろうか?冷蔵庫を買えた時には彼女の体はもうボロボロだった。新しい冷蔵庫とボロボロの彼女。彼女は体を壊して入院した。
 医者は云う「もう、長くは持たないと思います。」
 彼女もそれを気づいていたみたいだ。
 病院のベットで横たわったままで立ち上がる事も出来ない彼女に私は詫びた。
 「ゴメン。。。俺があの時に新しい冷蔵庫が欲しいなんて云わなければ君がこんな体になる事はなかったんだ。。。ゴメン。ホンマにゴメン。」
 彼女は私の手を握って
 「違うよ。二人の夢だったじゃない。私が死んでもあの冷蔵庫はずっと使ってね。」

 一度だけ仮退院で二人の部屋に戻れた事があった。私は彼女の為に新しい冷蔵庫をフルに使って料理をした。チルドルームで冷やした刺身と、冷蔵庫で冷やしたお茶。大きくなったフリーザーで大量に作った氷で冷やしたざるそば。彼女は笑いながら「やっぱり大きな冷蔵庫は便利だね」と云い、そのまま倒れた。
 意識は戻る事なく、彼女はそのまま死んだ。。。

 「あかん。そんな想い出の冷蔵庫の中が『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』になってたら大変やんけ!」
 と、私は冷蔵庫に急いで戻り、扉を開けた。良かった。。。大丈夫だった。。。しかし、油断してはならない。さっきから何度も扉の開け閉めをしているからコーラはパンパン状態なのかもしれない。私は静かに扉をしめた。よかった、これで大丈夫だ。今回は静かに扉を閉めたからそんなに衝撃はなかっただろう。
 すると、なんと云う事なのか、冷蔵庫のコンプレッサーが動きだした。
 「何しとんじゃワレ!今、コンプレッサーが動き出したらその衝撃で『ボン!シュポ!あわあわあわ。。。』になるかもしれんやんけ!!!」
 と、私は冷蔵庫のコンセントを抜いた。
 「ああ、よかった。。。これで安心して寝れる。」
 と、私は安堵して残りのビールを飲み干して寝た。朝になり、いつも通りに朝食を取らずに仕事に出掛け、帰って来たら冷蔵庫の中は無茶苦茶になってた。肉は腐り、氷は溶け、冷凍食品はすべてダメになっていた。

 こういう事があるから、私は炭酸飲料のでっかいペットボトルは買わない様にしている。
 私は臆病者である。
 それ以前に嘘つきなんだが。。。

 嘘をつく。弱さ。その場しのぎでしか生きられない。その場しのぎは、その場しのぎでしかなく、永遠には続くはずもない。私もこの本に出会うまではそういうビクビクした生活を送って居ました。しかしこの本に出会ってからはそういうビクビクした生活を送る事もなく、明るく前向きに生きられる様になり、嘘をつくその場しのぎの生き方も辞められる様になりました。あなたもこの本を一度是非手に入れて読んでみて下さい。なお、こちらから連絡する事はありません。

 嘘が止まらん。。。

 
 ♪嘘はつかなくてはならないものよ
  だから疲れただけなのよ
  フーテンだって泥棒だって眠ってなんかいないのよ
  ただ少しだけ横になって新しい唄
  覚えているのよ
  この世はあなたの正義と優しさばかり
  今に空さえ気が狂ってしまうわ
  (加川良『女の証』よりなんだが、歌詞はエエ加減かもしれん)

 嘘は嘘でしかないけど、その場しのぎの嘘をつかなくてはならない様な哀しい存在が、人間っちゅうやつじゃないかなぁ。。。
 臆病者でビクビクしてて、正直になれない。正直に生きる事が怖い。正直になる事によって相手を傷づけてしまう、という事で自己保身をしてしまう。本当は相手の反応を観る事が怖いだけなのに。結局自分から逃げてるだけなのに。
 でも、そんな、プライドが高く、故に臆病者で『よゐこ』でありたい。そういう哀しさがきっと誰にでもあるんだと思う。

【司祭は足をあげた。足に鈍い重い痛みを感じた。それは形だけのことではなかった。自分は今、自分の生涯の中で最も美しいと思ってきたもの、最も清らかだと信じたもの、最も人間の理想と夢にみたされたものを踏む。この足の痛み。その時、踏むがいいと銅版のあの人は司祭にむかって言った。踏むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番よく知っている。踏むがいい。私はお前たちに踏まれるため、この世に生まれ、お前たちの痛さを分つため十字架を背負ったのだ。】(遠藤周作『沈黙』より)