エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

楮(こうぞ)の花

2014年05月10日 | ポエム
楮の花・・・。
コウゾの花が咲いている。



この径の奥である。

まるで、緋扇を重ねるように咲いているのである。
その咲き方や色合いは、合歓の花のようでもある。







「重ねたる緋色の着物楮の花」







コウゾの花が、これほど愛らしいとは思わなかった。
この年になって、初めての「お目もじ」であった。

なんだか、とても嬉しい。
初めての出会いは、これほど嬉しいものなのかと思う。

しかも、楮の由来を知るともっと楽しい。
「日本書紀」には、610年(1400年前!)に高麗の僧が製紙技術を日本にもたらしたとある。
栽培種の楮も、このとき渡来したと思われるのである。



その後、和紙のことを、「楮紙(こうぞし)」と呼ばれるほど、楮は和紙の代表的な原料となった。
ぼくたちが良く知っているのは「三椏」であるけれど、一般的には楮とされる。

楮の名前は、「紙麻(かみそ)」→「かみぞ」→「こうぞ」に変化したとの説がある。
いわゆる「発音便」による変化である。



別名「紙の木(かみのき)」製紙原料になることからだろう。

花言葉は・・・
「過去の思い出」である。



床しい感じのする花言葉である。
それにしても、奥床しく見える花である。



       荒 野人