これは極上!
「ローマに消えた男」79点★★★★
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イタリア最大の野党を率いる
書記長エンリコ(トニ・セルヴィッロ)は人気低迷中。
疲労しきった彼は
「ひとりになりたい」と置き手紙をして
姿を消してしまう。
困った側近(ヴォレリオ・マスタンドレア)は
エンリコの行き先を訪ねるべく、彼の兄を捜し出す。
現れた兄ジョヴァンニ(トニ・セルヴィッロの二役)は
なんと、エンリコにそっくりで――?!
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タイトルと宣伝ビジュアルから
完全にミステリー系かと思ったら
“入れ替わり”という古典素材を
見事に料理した作品でした。
「湖のほとりで」(07年)「ゴモラ」(08年)
そして
「グレート・ビューティー/追憶のローマ」(2013年)の
俳優トニ・セルヴィッロが
一人二役を巧みに演じ分け、
その妙技に心酔。
「映画だからこそできる、おもしろさ」を
堪能いたしました。
顔は同じなのに
いかにも不景気~不人気~なエンリコと
抜群のキャラクターを持つジョヴァンニ。
ジョヴァンニは
遁走した弟の身代に政治家のふりをすることになり
独特の人身掌握術に長けた才能で、
周囲の人々と国民を魅了していく。
いっぽう、ある場所へ逃げ込んだ弟エンリコもまた
そこで、別の顔を生き生きと見せ始める。
この決着は、どう着くのか――?と思うと
ほう!という展開になっていくんですねえ。
にしても
トニ・セルヴィッロ、
危うさをはらんだ笑みが、誰かを思わせるなあと思ったら
あ、堺雅人氏かも!(歳、全然違うけど!笑)
あと、ひょうひょうとした立ち振る舞いは
「相棒」の水谷豊氏のようでもあった。
謎が煙のように残るラストもいいですよう。
★11/14(土)YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。
「ローマに消えた男」公式サイト