ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

エベレスト3D

2015-11-05 13:01:37 | あ行

運命を分けるのは
やっぱり「判断」なんだよねえ。


「エベレスト3D」69点★★★★


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1996年。

ニュージーランドで登山ガイド会社を運営する
ロブ(ジェイソン・クラーク)は
エベレスト商業登山の道を切り開いたパイオニアだ。

この年の登頂ツアーには世界各国から
アメリカ人医師のベック(ジョシュ・ブローリン)や
著名登山家の難波(森尚子)ら8人の顧客が集まった。

ロブは妊娠中の妻(キーラ・ナイトレイ)を家に残し、
エベレストへと出発するが――。


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1996年5月に起きた
実際の出来事が基。

「ビヨンド・ザ・エッジ」を見たし
登山家・田部井さんにもお話を伺っていただけに
初登頂から43年後の状況の変化が、実に興味深かった。

国を背負った時代から変化し、
観光ビジネスとなったエベレスト登山の実態が
描かれているんですね。

5000メートル超の高所にあるキャンプの大混雑(うげー)
クレバスにかかったハシゴを渡るための順番待ち(うげげー)

そして「初の」や「国家」を競った時代とは違う
安全性や登頂成功率で、客を獲得するための競争……

もちろん自然の怖さは圧倒的なんだけど
それとはまた別の“危険”が潜む感じが、怖いんです。


この映画に出てくるツアー客は
何百万も払って参加し、しかも選ばれた人々のようで

この時代からさらに20年たったいまは
また違うんだろうなあ、と。

でも
「命を賭してでも登りたい」という登山家の思いは
いつの時代も変わらないんだな、とも感じました。

そして、少しのアクシデントやトラブル、
我を通す誰かのわがままや、
しっかり者の正義感
進むか否かの一瞬の判断が、生死を分ける、ということもつくづく。

3Dで見るエベレストは
ものすごく美しく、リアルな高さを感じて怖いけど

しかし
これほど冷たさや、痛さ、辛さを感じない
雪山映画も珍しい気がする。

映像が綺麗すぎるのか?
それとも、雪山映画に、慣れてきちゃったのだろうか。

その恐怖と凍え度と、悲惨さが目に焼き付いている
ワシのベストはやはり
「アイガー北壁」だなあ。


★11/6(金)から全国で公開。

「エベレスト3D」公式サイト
コメント
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