ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

トランセンデンス

2014-06-22 20:09:16 | た行

ワシはね、けっこうイケましたよ。


「トランセンデンス」70点★★★★


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人工知能の専門家ウィル(ジョニー・デップ)は
研究パートナーで妻のレベッカ(レベッカ・ホール)と
「飢えも貧困もない、よき未来」を目指して、研究をしている。

しかし、あるとき
彼らの研究に反発するテロ組織が
ウィルに銃弾を撃ち込む。

死にゆく夫を前に、妻は
彼の脳をコンピュータに移植する実験を試みる。

果たして、そんなことが可能なのか――?!

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「トランセンデンス」は“超越”という意味だそうで、

めちゃ賢い頭脳を持つ博士(ジョニー・デップ)が
その頭脳をコンピュータにインストールすることで
“超越”の存在となるということを表しているんだと思います。



クリストファー・ノーラン製作総指揮×
ジョニー・デップ主演、という話題作ですが

タイトルのわかりにくさがそのままというか(笑)
思考させるSFというか、やや観念的で

情感はわき起こりにくいかもしれず
評価は割れているようです。


ワシはそんな「ぶっ飛んだ」話を
なんとしてもビジュアルで見せよう、と迫る情熱に
けっこうやられましたけどね。

監督は
「メメント」以来、ほぼ全てのノーラン作品を撮影してきた
ウォーリー・フィスター氏で


ビジュアルも「インセプション」にちょっと似た印象。
思考のSFのなかで、非常にシンプルな“愛”を描こうとする点など
目指すものにも、かなり共通点がある気がしました。


序盤、水滴が象徴的に描かれるシーンなど
叙情的なムードとテンポが
およそSFらしくなく

瞬間、寝落ちしましたが

実は、この水滴に大きな意味があるんですねえ!
ラストに行くと、わかるんですねえ!

こういうしかけ、割と好きよ(笑)。


まあ
肝心の博士と妻の愛は、
もひとつピンとこないんですが(苦笑)

ただ
博士が超越な頭脳を駆使して
「細胞を復活させて、人のケガを治す」ようなことをし始めると
ああ、なんかリアルかもと思った。

これってクローン技術とかips細胞とか
もはやあるかないかわからなくなってしまった、あの細胞とかの研究が
目指しているものと、
同じことなわけですよね。

誰だって
「病気を治してほしい」「老いを止めてほしい」となるのが普通で

そうなると、神の領域に踏み込むべきか否かみたいな話になる。


身勝手な思いと、世の摂理、倫理の間で揺れ、
「人類は、このまま進むべきなのか?」を考えさせる。
そこが作品の目指すところなのかな~と感じました。


★6/28(土)から全国で公開。

「トランセンデンス」公式サイト
コメント
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