ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ノア 約束の舟

2014-06-07 16:54:44 | な行

誰もが知ってるあの話を
視覚化したとなれば、やっぱり気になる。


「ノア 約束の舟」57点★★★


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ノア(ラッセル・クロウ)はある夜、
世界が水没する恐ろしい夢を見る。

それは堕落した人間を滅ぼし、
世界を創り直そうとする、神からの宣告だった。

ノアは夢に従って、
妻と3人の息子、養女のイラ(エマ・ワトソン)とともに
巨大な箱舟を造りはじめる。

が、その計画を知った敵が
箱舟を奪おうとやってきて――。


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「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督が
旧約聖書の「創世記」に記述され、
語り継がれてきたあの「ノアの箱舟」の伝説を映画化。

先発隊でご覧になってた批評家さんたちのコメントが
けっこう悪くなかったから期待したんだけど

うーん、やっぱりこういう感じだったか。

ファンタジー色強め、神もしっかり降臨、
教育的指導しっかりめ、という映画ですね。

ただ、アロノフスキー監督らしさと
挑戦は感じる。

まずは
洪水のスペクタクル映画だけでなく
ノアを悩める人間として描いたことが特徴。

世界すべての人間を見殺しにして
自分の家族と動物のつがい1組のみを助ける行為の
(ほかの動物たちは見殺しだもんね)
その正当性って、ホントにあるのか?というところですね。

それは人間の抱える根源的な善悪の矛盾であり、

人殺しはいけないけれど
自分の子を守るためなら、人を殺さないと言い切れる?とか
じゃあそれが“国”とかになったらどうなの?とか
そこを突こうとしているんでしょう。

そのために
人間の残虐性をグロめに描いたり、
父と息子の葛藤なども盛り込んではあるんだけど

まず残念ながらセリフが響かない。

ストーリーの運びもいまひとつで
舟に隠れている敵の存在とか、
つまらないことにイライラさせられっぱなし。

こいつのせいで、
つがいの動物たちがどんどん減ってくじゃないか!(怒)

「どう考えてもこんな舟、ノアだけじゃ作れないよね?」の疑問には
あの手を

「動物たちはおとなしくしてたの?」の疑問には
この手できたか、と

都合よすぎだけど、なんとなく腑に落ちさせる
割り切り感は悪くない。

2時間18分をさほど長くは感じなかったこと、
あと
エマ・ワトソンの諭しがまずまず響いたのが良いところかな。

大量の水で洗われて
スッキリした気分にもなりました。

★6/13(金)から全国で公開。

「ノア 約束の舟」公式サイト
コメント
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